月収0円...プロ宣言も「胸を張って言えない」きらめいて見える女子プロゴルフ界の厳しい現実とそこで生きる選手達の日々

ゴルフ

2020.10.13


そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

百花繚乱、ニューヒロインきらめく女子ゴルフ。
しかし、千人を超すツアープロの中には年間の獲得賞金がゼロという選手が994人。なんと8割以上の選手は賞金を手にしていないのだ。それがツアープロの現実。

その世界の一歩手前に今日の主人公はいる。

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日本ではアマチュア資格を放棄して、プロを宣言すれば誰でもプロゴルファーになれる。この日集まった総勢30人の選手もそう。ゴルフを職業にし、それで暮らしたいと、プロを宣言した。しかし・・・「胸張って言えない」
彼女たちはプロ宣言はしたがプロテストに合格していない選手たちだ。収入源も保障もないまま次のプロテストを目指している。

DSPEは後ろ盾のない彼女たちを支援する団体。同じ立場の参加者がともに練習できる環境を整え、SNSを通じた広報活やスポンサー企業の仲介も手助け。さらに実戦感覚を磨けるよう月例競技会も開催している。

では彼女たちの暮らしぶりとは一体どんなものなのか?DSPE所属のゴルファーを愛知に訪ねた。

プロゴルファー・立浦琴奈はプロテストに合格した姉がいる

立浦琴奈はあるコンプレックスと戦い続けている。
5人兄弟の次女に生まれた22歳で、1つ上の姉もプロゴルファー。ゴルフを始めたのも姉と一緒。3歳の時からクラブを握り続けている。小さな頃、目立ったのは自分だった。特に苦労もなく結果を残す天才タイプで、努力家の姉を軽々と追い越してたくさん優勝した。

だが3年前、亀はウサギを追い越した。姉が合格したプロテストで妹は不合格になったのだ。試合に出られず月収0円の彼女とは対称に、姉は着実な成績で年に500万円以上を稼ぎ出した。姉を妹は羨むしかなかった。

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さらに賞金以外にも姉にはスポンサー料があり様々な支援も受けている。一方で道具代も遠征費も自腹の妹。妹はキャディのアルバイトをしてようやく費用を捻出している。

【動画】プロテスト合格を目指す女子ゴルファーの知られざる実態に密着!/Humanウォッチャー

テストを通ったツアープロと名乗ればなれるただのプロ。その現実は天才肌の彼女に努力を教えた。

プロゴルファー・乗冨結は親友のスター選手の活躍に焦っていた

そしてもう一人、DSPEメンバーの23歳の乗冨結(のりとみ ゆい)。
彼女はあせっていた。同級生にスターがいたからだ。十代から優勝を重ね天才少女と呼ばれた永井花奈。同い年の親友なのに差は歴然。高校を出て一緒に受けたプロテストも、永井は一発合格で自分は不合格だった。さらにその翌年、永井のツアー初優勝は会場で観た。まぶしかった。自分は結局、4年連続でプロテストに落ちている。もうダメかも。胸に沸く不安と常に戦っている。

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その不安を打ち消すのは練習しかない。パット練習に、3時間をかけ、それが終わるとラウンドへ。自分は天才なんかじゃない。そうわかっているから、努力で埋めるしかない。

勝負の時が近づいていた。ツアープロ以外も出場できる日本女子オープンの最終予選だ。DSPEからは乗富と立浦のほか計4選手が参戦した。本戦に出場できれば成績次第で賞金も入る。優勝すれば2千万円以上もらえる。

最終予選の通過ラインは60位。予選初日、69位タイだった立浦は最終日を終えてなんと60位。すれすれで予選通過を果たした。一方、乗冨は初日こそ好調で49位タイにつけていたものの、最終日を終えての順位は66位。あと一打に泣き本戦出場を逃した。もうかれこれ2年、公式戦への出場がない乗富。光はまだ見えない。

いつか報われる時を信じて

一週間後、彼女が足を向けた先は都内のジムだった。ゴルフのための出費は惜しめないと、苦しいけれど財布の紐をゆるめている。他にも色々物入りで、平均すると月20万円ほどの支出。ゴルフを続けるのも楽ではない。家族の理解と協力のおかげで、なんとかここまでやってきた。

プロテストに受かる保障はどこにもない。たとえ受かっても稼げるとは限らない。今23歳。不安と期待をはかりに掛ければ、まだ少しだけ期待が上回っている。

そして日本女子オープン出場者の最終調整の場となるDSPE月例会が開催された。そこには笑顔の乗富結の姿が。実は出場枠に空きができた関係で乗富は繰上げ出場が決定したのだ。この幸運をゴルフ人生にどう活かすかは自分次第だ。

きよらかに、慎ましやかに一歩ずつ。
その努力がいつか報われますように。