苦境に立つ選手に救いの手を!新設女子ゴルフ大会を立ち上げた男の想い

ゴルフ

2020.11.7




そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

炎天下のゴルフ場を駆け回る男の名前は和田泰朗(ひろあき)。
ティーチング・プロとして活躍し、人気の個人指導は3ヶ月先まで予約が埋まっている。指導者として世界の100人に入るとお墨付きも得た。

【動画】新設女子ゴルフ大会、発起人・和田泰朗さん大会開催への思い

しかしこの日は生徒なし。ひとり思案に暮れながらコースの上を行ったり来たり。実は和田、女子ゴルフの新たな大会『Thanks Women's Golf Tour』をゼロから立ち上げたのだ。

そもそも普段私たちがTVや新聞などで目にしている女子ゴルフは大手のスポンサーがついたJLPGAが開催するもの。だが出場資格を満たせず"試合に出られないプロゴルファー"も多い。和田が手作りの大会に着手したのはそうした選手を救うためだった。

観戦チケットは2万円とかなりお高め。もちろんワケがある。スポンサーも十分ではない中、選手により多くの賞金をと考えたからだ。和田の取り分はゼロ。それどころか集客によっては赤字を抱えることになる。

志は選手に響いた。出場希望者が続々と手を挙げたのだ。

人生の曲がり角に立つ23歳の岡村優

23歳の岡村優は人生の曲がり角に立っている。
ドライバーの飛距離は260ヤード。ツアープロ比べても遜色ない。しかし今は賞金ゼロの日々が続いている。



彼女には意外なスポーツ歴がある。実は5歳で始めたレスリングで、小学校2年生から全国大会4連覇しているのだ。

肝心のゴルフとの出会いは8歳。宮里藍に触発された父にすすめられたのがきっかけだった。そして2つのスポーツを天秤にかけ彼女はゴルフを選んだ。中学高校と順調に伸びプロが視界に入った。高校のひとつ下の後輩には畑岡奈紗がいて、団体戦で一緒に優勝したこともある。

高校卒業を同時にプロ転向を宣言した岡村。しかし今、それだけでは賞金があるツアーに出られない。年に一度の狭き門。20人ほどしか受からないプロテストに合格することがツアー出場への条件になっているからだ。プロ宣言しても、テストに受からなければ稼げない現実。岡村は去年までで4度の不合格を経験している。

プロテストは来年3月以降。その前に失った自信を取り戻したいと、今回の大会への出場を決めた。

キャディーのアルバイトを続けながら夢を追う高山かおり

そしてもう一人。練習環境を求めて故郷を離れ、一人暮らしをしてテストを待つ者もいる。

高山かおりは過去4度のプロテストを全て失敗している。



広島に生まれた高山は10歳でゴルフを始めた。多くのプロを生んだ専修大学に進み、私もと誓った。
でもまだ途上。キャディーのアルバイトを続けて夢を追っている。

和田の想いが形となる日

2020年9月24日、苦境に立つ選手に救いの手を差し伸べたいという和田の想いが形となる日がやってきた。予算はない。手弁当のボランティアが集まって運営する。優勝賞金100万円。選手に渡す賞金ボードはクリスマス用の装飾を使ってスタッフが手作りした。出場選手は48名でほとんどの選手にとって久しぶりの実戦になる。

予選はなく、1日18ホールでの勝負。岡村はトータル3オーバーで14位に食い込み、賞金3万5千円を手にした。

一方、高山は7オーバーの35位でフィニッシュ。残念ながら賞金はゼロという結果に終わった。

優勝したのは26歳の山口詩菜。4人のプレーオフを制し賞金100万円を手にした。



ある男が執念で漕ぎ付けた大会。無茶を貫いたその先に人の輪はでき、笑顔は咲いた。