髙橋大輔アイスダンスデビュー「安住しない姿勢がかっこいい」町田樹が感銘を受けたこと

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2020.12.4



    【町田樹のNHK杯解説】

    先日、アイスダンスデビューを果たした髙橋大輔選手について町田樹さんに話を聞いた。
    先輩の新たなスタートに、嬉しそうな町田さん。
    シングルとカップル競技の大きな違いや、髙橋さんへの期待などを語ってくれた。

    ー髙橋大輔選手のアイスダンスデビューについて

    デビュー戦がNHK杯という、これ以上ない舞台が用意されたのではないかと思います。

    村元・髙橋組が始動してまだ10ヶ月、1年に満たない中でこれだけのパフォーマンスができるというのは素直に驚きました。それは私だけではなくてスケート関係者、一般視聴者の方々も思われたと思います。

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    コロナ禍ということもあり全然情報がなかったです。私はテレビ東京のいくつかのイベントで解説を務めていて、その中で村元・髙橋組の練習映像が入ってきてちょこちょこは見ていましたが断片の映像だけだったので、こういう演技になっていたんだと驚きました。そういう意味ではサプライズだったんではないでしょうか。ここまでの演技を見せてくれるんだということは、驚きだったんじゃないでしょうか。

    ー髙橋選手の良さが活かされていた部分は?

    アイスダンスの専門家ではないので細かい技術的なことは解説できないのですが、木戸章之さん(トリノ五輪アイスダンス代表)が村元・髙橋組が始動する時に、髙橋選手はシングルとしての競技歴が長く百戦錬磨で色々な舞台を経験していて、持ち前のステップだとかストロングポイントもあるので、一瞬である程度のレベルまでいくと思います、ということを予想されていました。

    ただその上で、アイスダンスの特徴は男女二人組でフォームを組みそのまま滑っていくこと。あの動きはアイスダンス独特の動きなので、それをマスターするには5年から10年はかかるということを言われていました。

    そういう意味では、シングルで培った技術や経験は大いに反映されるけれど、一方で言ってみればシングルとアイスダンスは全く別の言語、通用しない部分というのもあって、独特の技術や身体感覚はやはり5年から10年はかかると言うのはその通りだと思うんですね。

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    写真:YUTAKA/アフロスポーツ

    アイスダンスでの世界のトップは220点台を出しています。1年1年歩みながらジリジリといかにそこに近付けるか、あるいは一気にいくのか分からないですけれど、今がスタート地点だと思います。ここまで高いスタート地点を作れたのは、非常に良かったと思います。ただ世界の壁は高いし、日本の壁ももちろん高いです。今回3組出場しましたが、優勝した小松原・コレト組は長年の経験で培った技術や磨き続けてきたプログラム、1つの作品として届けるという力が今回も活きていました。日本にも切磋琢磨という状況が生まれています。

    でも、ちょっと前私が現役だった2014年くらいまではアイスダンスはまだまだカップルが少なくて、切磋琢磨という状況になっていなかったんです。村元・髙橋組が参入してきて他の2組もピリついたと思います。まだ10ヶ月にも満たないカップルに負けてたまるかというプライドもあったでしょうし、とりわけ優勝した小松原・コレト組は現・全日本代王者として、国内トップの座を明け渡さないという矜持が見えたし、競技成績や国内での立ち位置だのという邪念にもなるようなことは置いておいて、今ここで自分たちが磨いてきた作品を届けられるかという一番大事なところにもフォーカスが当たっていた演技でした。

    <動画>【前編】髙橋大輔、全日本選手権2018直前に語っていた思い「こんなに楽しんで過ごしていいのかな」

    結局何が言いたいかというと、今日本のアイスダンスが非常に良いムードにあるということです。ライバル同士が切磋琢磨していく状況が生まれつつあるということは本当に喜ばしいことだと思います。日本の競技力を上げていこうと思えば、国内でライバル同士がしのぎを削り合うような状況を作り出すのが一番手っ取り早いんですよ。

    間違いなく日本のアイスダンス界がこれから面白いことになっていくと思うので、この機会にぜひ視聴者の方々にはアイスダンスにも、そしてシンクロナイズドスケーティングという団体で踊る競技もありますので、目を向けて頂けたら嬉しいですね。

    ー髙橋選手の挑戦する姿勢について

    安住しない姿勢がかっこいいなと思います。言ってみればシングルであれだけの戦歴があり、知名度や人気もあり、アイスショーの世界でもバリバリ活躍できていたはずなんですよ。だけれどもそのポジションに安住せず、次のキャリアを開こうとしている、常にチャレンジャーであろうとしているその姿勢に非常に感銘を受けます。

    どんなキャリアでも一緒だと思いますが、必ず山あり谷ありなんですよ。木戸章之さんも仰っていたように、継続が大事なんです。5年10年継続することで二人一組が"2人で1人"みたいな次元までお互いのことを知って、パフォーマンスが融合していけば良いですし、私もそこまで極めて欲しいなと思っています。

    今回印象的だったのが、村元・髙橋組がデビュー戦だったこともあって特に密にコミュニケーションをとっていたことです。ちゃんと目を見て、なかなか普段人って目を見てコミュニケーションが取れないと思うんですが、相手をまっすぐ見据えて思い合うという姿勢がすごく印象深かったです。ダンスの領域では、男性が女性を立てるわけです。男性が前に出ていくということはあまりよろしくない世界です。その中でしっかりと髙橋選手が村元選手をサポートし、引くときは引いてというのがとても良いカップルだなと思いました。それを見て、このカップルは長く続いていくんだという確信が得られました。

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    写真:YUTAKA/アフロスポーツ

    本当に別の言語なんですよ。同じスケートで氷の上で踊っているんだけれど、やはりシングルとカップル競技というのは全く別の言語を話していると言っても過言ではないくらいに別なんですよ。髙橋選手は言うなれば、新しい言語を獲得しようとしている訳ですよね。その言語でプログラムを表現しようとすることは、「どんな感覚ですか?」、「シングルとどう違いますか?」ということをディスカッションさせて頂きたいですよね。

    村元・髙橋組だけでなく、日本のカップル全員が頑張っていますから、皆さんには日本のアイスダンス界全体を応援してほしいと思っています。