日本代表DF吉田麻也「絶対に勝たなくてはいけない試合」韓国戦へ強い思い
2021.3.25
日本代表練習 吉田麻也 写真:日刊スポーツ/アフロ
サッカー日本代表が3月25日(木)に横浜の日産スタジアムで行われる国際親善試合で韓国代表と対戦する。DF吉田麻也選手(サンプドリア)は10年ぶりとなる長年のライバルとの対戦を前に、「日本代表で戦う以上、最も大切な試合。絶対に勝たなくてはいけない試合になる」と語り、若い選手たちに韓国戦の重要性を伝えたいと強い思いを示している。
「ずっと韓国との対戦を楽しみにしていた」という吉田選手が最後に韓国と対戦したのは、フル代表では2011年9月に札幌で行われた親善試合で、日本チームとしても親善試合での対戦はそれ以来。MF香川真司選手が2得点、MF本田圭祐選手が1得点して3-0で快勝した。
サッカー日本代表 10年ぶりの日韓戦「全力で戦います」
だが、韓国との対戦は厳しい試合が多い。国内組中心で臨んだ2019年12月の東アジア4ヵ国によるE-1選手権では0-1で敗れ、2017年の同大会では1-4で大敗し、当時指揮を執っていたヴァイッド・ハリルホジッチ監督の数か月後の解任につながった。
さらに遡ると、その前の2015年大会では1-1の引き分けで、2011年の札幌での顔合わせ以降は2013年の東アジア選手権での勝利の外は、1勝1分け2敗と負け越している。
日本は23歳以下のU-23代表で臨むオリンピックでも、2012年のロンドン大会の3位決定戦でも対戦して0-2で敗れ、1968年大会以来のメダル獲得を逃した苦い思い出もある。オーバーエイジの一人として出場していた吉田選手は、「本当に悔しくて、2度と韓国には負けたくないと思った」と当時を振り返る。認める存在だからこそのコメントだろう。
韓国とのサッカーでの闘いの歴史は長く、通算対戦成績は日本の13勝23分け40敗で、日本が苦い思いをしたものの方がずいぶんと多い。国内リーグでも1993年に発足したJリーグより先にプロリーグを開始するなど韓国が先行していた頃で、日本にとって韓国は追いつき追い越さなくてはならない存在として、刺激を受けていたことは間違いない。
今でこそ日本は6大会連続でワールドカップに出場し、2018年大会ではベルギー代表からリードを奪って8強入りへあと一歩と迫り、世界にインパクトを与える試合もあったが、かつてはワールドカップへのアジアからの出場枠も少なく、予選で日本の前に立ちはだかっていたのが韓国だった。
その対戦の歴史の中で変化の兆しが見え始めたのが1992年8月、日本代表初の外国人指揮官だったハンス・オフト監督の下で戦ったダイナスティカップで、韓国に延長PK戦で競り勝って優勝し、それまで1985年から続いていた韓国戦の連敗を6で止めた。今回の対戦で日本が負けることになれば、この時以来の3連敗となる。
その後、1993年の「ドーハの悲劇」で知られるアジア最終予選での対戦では日本が1-0で勝利を得たが、その次の白星は1997年11月にソウルで行われた1998年フランス大会のアジア最終予選まで待たねばならず、その間は3分け2敗だったが、この97年のソウルと翌1998年3月の横浜でのダイナスティカップでの対戦で日本は初の2連勝をマークする。1993年に発足したJリーグの発足によって力をつけてきたことが、代表戦にも反映されるようになってきたと感じられる結果の一つだった。
「子どもの頃、予選でバチバチに韓国と戦うのを見ていた」という吉田選手は32歳。「僕は年上の人たちに韓国戦の重要性やいかに勝たなくてはいけないかを伝えられたギリギリの世代。10年という間が空いてしまったがゆえに、その部分を伝えられていないことに、僕の中では若干危惧がある」として、「下の世代の選手たちに、この試合の意味を理解してほしい」と話す。
最近、若手の選手の中には韓国を特別意識しないと言う選手も少なくない。相手云々というより、あえて口にしない選手や自らをライバルととらえる選手もいるだろう。だが、互いに意識しあえて高みを目指せる存在は貴重なものだろう。
吉田選手は言う。「ちょっと前は、『足が折れても、体が壊れてもぶつかっていかなくてはいけない、勝たなくてはいけない』という表現をよくしていた。僕より下の世代に、そういう表現が合っているのか分からないが、確実にひとつ、『キャリアの中で一番大事な試合になる』ということは意識してほしい」と話す。
日本に対しては常に強い気迫を持って臨んでくる韓国に対して、気持ちで負けては勝負にならない。しかも、伝統的にフィジカルな競り合いに強みを発揮する韓国に対して、吉田選手は「1つ一つの球際。1つ1つの勝負に間違いなく勝っていくことが大切になる」と話し、勝利へ向けて、メンタルとフィジカル両面での強さを求めている。
今回の試合ではまた、フランスのマルセイユでプレーするDF酒井宏樹選手とDF長友佑都選手の招集がコロナ禍の影響で見送られたことで、最終ラインの構成も変わり、新たな顔ぶれでの組み合わせのテストにもなる。韓国戦から中4日の今月30日には、モンゴル代表とアジア2次予選で対戦も控えている。
吉田選手は、「こういう絶対に勝たなくてはいけない試合で、トライもしなくてはいけない状況は、おそらく最終予選で出てくると思う。こういう状況で試合ができるのは意義がある」と、前向きに受けて止めている。
「新しい選手が多く入っているので、チームとしていい組織を作らなくてはならない。新しいチームのベースを作る、やり方を浸透させるなど、短い時間でそこを作り上げていけるか」と新たな課題も見据えている。
久しぶりのライバル韓国との対戦で、選手たちは何を手にするだろう。
取材・文:木ノ原句望