W杯最終予選 森保監督 厳しい戦いを認識も選手の成長に手ごたえ

サッカー

2021.7.3


森保一監督(c)JFA

2022年ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の組み合わせ抽選会が7月1日にオンラインで行われ、7大会連続7度目の出場を目指す日本はオーストラリア、サウジアラビアなどと同じB組に入り、9月2日にホームでのオマーン戦でスタートすることになった。

ライバル韓国との同組は回避されたが、過去の対戦でも苦労してきたオーストラリア、サウジアラビアとの対戦が決まり、気の抜けない戦いが始まる。

日本と同組になったのはオーストラリア、サウジアラビア、中国、オマーン、ベトナムの5か国。もう一方のA組にはイラン、韓国、UAE(アラブ首長国連邦)、イラク、シリア、レバノンが入った。

日本代表を率いる森保一監督は、「どちらのグループに入ってもアジアで強豪ばかり。メンタル面でもフィジカル面でも2次予選とは別次元の厳しい戦いになる。覚悟して臨まなければならない」と話す。

韓国以外が全て中東勢というA組に比べて、日本はオセアニア地域にあるオーストラリアから中東、東南アジアと多岐にわたる地域への移動を伴う。特に10月のサウジアラビアへのアウェイからホームに戻ってのオーストラリアとの対戦は、相手の力量と時差を伴う移動の負担を考えると厳しい戦いになりそうだ。

また、1~2月の対戦は国内での連戦だが、日本国内のシーズンはオフにあたるため、国内組のコンディション調整が重要なポイントになる。

森保監督は、「いろいろなところでの試合で、気候や時差など簡単な試合にはならないと思う」としながらも、選手がここまで多くの経験を積んできている点に言及。

「自分たちの自信となることもたくさんやってきた。どんな条件や環境でもベストなパフォーマンスを出せるメンバーで戦えると思っている」と語り、選手の対応力に期待している。

また、日本代表指揮官は「初戦が大事なのは間違いないが、全ての試合が大事。これまでやってきたように、1戦1戦でベストを尽くす。しっかり相手を分析して、個の力、チームの力を100%発揮したい」と、1戦ずつ最善の準備で臨むという従来の姿勢を貫く意向だ。

コロナ禍の影響もまだ予断を許さない状況で、対戦国との渡航にもさまざまな制限や条件が伴うことが予想されるが、日本サッカー協会の反町康治技術委員長は「ホームでもアウェイでも一番いい状況をつくりあげていく」と話し、各国への移動や情報収集など最善の準備を図りたいとしている。

オーストラリア、サウジアラビアとは過去の予選で苦戦も

オンラインで行われた1日の組合わせ抽選会では、あらかじめFIFAランキングの順位でシード順が決定。それにより、アジア上位2チームである日本(28位)とイラン(31位)が別組になり、さらに抽選の結果、長年のライバルである韓国との闘いも回避できた。

しかし、オーストラリア、サウジアラビアとは過去の予選で苦戦を経験。最近大きな変貌を見せている中国も要注意で、決して楽観視はできない。

オーストラリアはFIFAランク41位だが、日本は過去3大会の最終予選で顔を会わせてきた。その成績は日本の1勝4分1敗で、特にアウェイでの3戦では2分1敗と勝てていない。

2006年ワールドカップ後にオセアニアからアジアへ移管してきたオーストラリアとはアジアカップの舞台でも対戦し、2007年準々決勝では延長1-1の末にPK、2011年大会の決勝でも延長にもつれ込み、いずれも日本が接戦を演じてきた。韓国とは異なる日本のライバルと言える存在だ。

元代表選手で現在チームを率いるグラハム・アーノルド監督の下、今回の2次予選ではクウェートやヨルダンと同じB組を8戦全勝で突破。

7月1日の組み合わせ抽選会後にもアーノルド監督は「アウェイでもしっかり勝ってきたことでチームは自信を深めている」とコメント。苦しい状況でも復活できる力も備えてきている点にも触れて、チームの成長に自信を示している。

サウジアラビア(65位)にも日本は手を焼いてきた。前回ロシア大会でも最終予選で戦い、日本は本大会進出が決まった直後の対戦で、勝利で突破が決まるサウジアラビアとアウェイで対戦して0-1で敗れた。

この時を含めて、日本はアウェイでの対戦では2戦2敗と分が悪い。2019年アジアカップの決勝トーナメント1回戦でも日本の1-0と僅差での勝利だった。

アフリカ諸国で実績を残し、モロッコでは2018年W杯ロシア大会出場に導いて本大会でスペインと2-2を演じたフランス出身のエルベ・ルナール監督を招聘して、2019年から強化を進めている。今回の2次予選ではウズベキスタンを抑えて6勝2分無敗でD組を1位で突破した。

ルナール監督は、「どちらの組もタフな組合わせだが、2022年本大会へ出場するには避けられない道だ。我々のモチベーションはとても高い」と述べている。

帰化選手が増えた中国、成長のベトナム

対戦相手の中でも大きな変化を見せているのが中国で、国内リーグで活躍する外国籍選手の帰化が2019年以降に進み、現在ではFWエウケソン選手、FWアラン選手らAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でも馴染みのブラジル出身選手を中心に数名が中国代表としてプレーしている。

2次予選ではシリアやフィリピンなどとのA組を6勝1分1敗の2位で終え、2位の中で1位に入り突破。ホームでの戦いでは1位になったシリアに3-1で勝つなど、8試合で30得点3失点は1位シリアの22得点7失点よりも良い数字を記録した。

日本は2019年12月の東アジア4か国によるE-1選手権での対戦を含め、公式戦過去10試合ではここまで6勝4分で無敗を維持しているが、最近の中国の変化には要注意だ。

変化という点ではベトナムも、FIFAランク92位ながら、近年成長を遂げているチームの一つだ。2次予選G組では5勝2分1敗で、1位になったUAEにアウェイで2-3を演じるなどで勝点1差に迫った。2位の中で4番手に入り、初の最終予選進出となった。

韓国出身のパク・ハンソ監督が若手の育成にも目を配りながらチームを育て、2019年アジアカップでは8強に進出。その準々決勝で対戦した日本はハードワークする相手に1-0で競り勝った。

パク監督は、「それぞれスタイルを持ったチームが揃っているので、対戦して成長する機会になる。1戦1戦、チャレンジ精神で臨みたい」とコメントした。

これらの相手との対戦を前に、日本は9月2日の初戦でオマーンと対戦する。

現在FIFAランク80位のオマーンには、日本はここまで9勝3分で負けなしだが、アウェイでの対戦では2010年大会3次予選(1-1)、2006年大会1次予選(1-0)でも手を焼いた。現在はイラン代表を2006年W杯出場に導いたブランコ・イヴァンコビッチ監督がチームを率いている。

「強いチームとの対戦でどの相手にも戦えることを示したい。」とイヴァンコビッチ監督。「競争心のあるチームであれば全てのことが可能だ」と話し、サプライズを狙っている。

日本は2次予選F組を8戦全勝で、2位のタジキスタンに勝点11差をつける圧勝で最終予選進出を決めた。8試合46得点は8組で最多、2失点は最小2位という好成績だった。

順調に歩みを進めてきているが、森保監督は「アジアで勝てる保証はない」と、レベルアップする最終予選へ気を引き締める。

日本は1998年に悲願の初出場を遂げて以来、韓国と共同開催をした2002年大会を含めて2018年大会まで6大会連続でW杯に出場。

2018年大会では2002年、2010年に続いてのベスト16入りを達成した。2022年大会ではステップアップとして初の8強進出を最終目標に掲げて、2018年9月からロシア大会でアシスタントコーチを務めた森保監督の下で歩みを進めてきた。

森保監督は、「1戦1戦ベストを尽くして結果をつかみ取り、ワールドカップにつなげたい。(本大会に)絶対に出るつもりで戦う」と、静かな口調に強い決意を滲ませた。

取材・文:木ノ原句望