U-24日本代表 メキシコに勝利で突破に大きく前進【五輪サッカー】

サッカーU-24日本代表 Photo by Zhizhao Wu/Getty Images
東京オリンピックに出場しているU-24日本代表が、2連勝で決勝トーナメント進出へ大きく前進した。
7月25日のグループステージ第2戦でメキシコと対戦した日本は、ハードな守備から鋭い攻撃へ転じるプレーで、MF久保建英選手(レアル・マドリード)の2戦連続得点などで前半2点のリードを奪い、後半の相手の反撃を凌いで2-1の勝利を収めた。日本は次のフランス戦で引き分け以上であれば8強進出が決まる。
大会を勝ち進むには、修正力が不可欠だ。前の試合で出た課題を次の試合へ活かすことができれば勝利が近づく。
先発全員がフル代表の経験者という顔ぶれを揃え、3日前の大会初戦でフランスに4-1と快勝したメキシコに対して、日本は試合の立ち上がりからハードな守備と積極的な攻撃で挑み、勝利した初戦の南アフリカ戦から改善されたプレーで序盤のうちに2-0のリードを奪い、試合の主導権を握った。
先制は6分。相手の攻撃を凌いでマイボールにすると、DF酒井宏樹選手(浦和レッズ)が右サイドで出した縦パスにMF堂安律選手(PSVアイントホーフェン)が追い付いて、右サイドの深い位置から中央へマイナスのボールを送る。
すると、中央にトップスピードで走り込んだ久保選手が左のアウトサイドで合わせ、ゴールネットを揺らした。
久保選手は「堂安選手が左手で相手を抑えた時に、自分のところに出してくれるなと思ったので走り込んで、あとは落ち着いて決めるだけだった」と振り返った。
さらに先制から2分後、日本は再び大きなチャンスを得る。
南アフリカ戦の先発から唯一の入れ替えで今大会初先発の機会を得たMF相馬勇紀選手(名古屋グランパス)が、前線で果敢な仕掛けを発揮。
MF田中碧選手が左サイドの高い位置で相手ボールをカットしたのを起点に、相馬選手がペナルティボックス左に入ってFW林大地選手(鳥栖)からパスを受けると、相手を見ながらエリア深く鋭く切り込む。素早く切れのある動きに相手DFが足を出し、相馬選手は足を引っかけられながら中央へ折り返した。
このプレーにVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)チェックが入り、日本はPKを獲得。前半11分、メキシコのフル代表でワールドカップ4大会出場のベテランGKギジェルモ・オチョア選手が守るゴールに、堂安選手は真ん中へ力強く蹴り込んで、日本のリードを2-0とした。

サッカーU-24日本代表 Photo by Zhizhao Wu/Getty Images
仕掛けの意識
相馬選手は試合後、酒井選手と「ペナルティエリアの仕掛けが大切」と練習中から話していたと明かし、「それがつながった」と話した。
出鼻をくじかれた格好のメキシコは、細かいパスをつないで前半17分にはFWエンリ・マルティン選手にシュートを打たれるが、GK谷晃生選手(湘南)がしっかり反応してゴールを死守した。
日本は森保一監督が求める「いい守備からいい攻撃」を体現。攻守の素早い切り替えで試合を優勢に進めた。
特に、フル代表でも中盤で存在感を示しているMF遠藤航選手(シュツットガルト)は、この試合でも相手との激しい競り合いを制して攻撃の芽を摘み、ボールを前線に運ぶ場面を作った。
前半22分には相手二人に寄せられながら中央を持ち上がる強烈な推進力を発揮。速い展開で右サイドの堂安選手につなぎ、堂安選手が右クロスを上げた。これはゴール正面で相手選手にクリアされたが、そのリバウンドに相馬選手が左サイドで反応。左足を振り、ゴールを脅かす場面を作った。
また、初戦に続いて1トップを務めた林選手は終始献身的なハードワークを見せて、相手守備陣の裏を狙いながら広いエリアで相手と激しく競り合い、相手へプレッシャーをかけ続けた。
押し込まれた後半
しかし、後半に入ると、メキシコがボールを保持して日本を押し込む展開が増えた。
日本はDF吉田麻也選手(サンプドリア)、MF板倉滉選手(フローニンゲン)ら最終ラインを中心によく対応していたが、奪ったボールからシュートチャンスを作る機会が減り、簡単にボールを失う場面も増えた。
それでも日本は後半23分に、中盤からの縦パスに反応した堂安選手がペナルティボックスに持ち込む直前にDFヨハン・バスケス選手に倒された。
得点機阻止としてメキシコDFは一発退場となり、日本が数的優位を得た。しかし、運動量も落ちないメキシコは数的不利を感じさせないプレーで日本を押し込んだ。
後半半ばに交代出場したFW前田大然選手(横浜FM)をはじめ、後半35分には今大会初出場のMF三笘薫選手(川崎フロンターレ)、FW上田綺世選手(鹿島アントラーズ)をベンチから送り込み、状況改善を狙ったが、競り合いでファウルを獲られる場面も多くなった。
失点につながったFKを与えたのもそういうプレーの一つから。そこから交代出場したFWロベルト・アルバラード選手に直接決められた。
1点差に詰め寄られたが、日本は相手の追撃を振り切って2-1で勝利。勝点3を積み上げた。
勝点3がモノをいう戦いで、苦しい中でも粘り強く2-1リードを守って2連勝で勝点を6とした点は評価すべき点だ。しかも中2日での連戦では、勢いも勝ち進む上で重要な要素になる。
初戦でフランスに快勝したメキシコに、相手の勢いを削ぐ展開に持ち込めた。前線の選手からチーム全体でハードワークをして、相手に自由にプレーをさせなかった。
また、チャンスにしっかり決める決定力を発揮した点も非常に大きい。久保選手と堂安選手の呼吸が試合を経るごとに良くなっていて、今後へ期待を抱かせるものだ。
久保選手は「相手のつなぎのミスをしっかり奪って、自分たちが前がかりに攻めればと話していた。狙い通りの形」と話した。攻撃だけでなく守備でも相手にプレッシャーをかけ続けた。
森保監督も、「一人ひとりが球際で戦い、局面で勝っていく。そして個の頑張りをチームとしてつなげていこうと、いい守備からいい攻撃へと、試合に臨んでくれた」と評価。
「どんな相手と戦っても、自分たちはやれるという自信をもってファイトしてくれている。ゴールに向かって戦うことができたのは、選手たちの自信」と、選手たちの戦う姿勢を喜んだ。

サッカーU-24日本代表 DF吉田麻也 Photo by Zhizhao Wu/Getty Images
リードした後の試合運び
一方で、2-0という小さくないリードを奪いながら相手に押し込まれて危うい展開になるのは避けたい。ボールを持たせすぎれば、相手のペースに持ち込まれる危険性は高くなる。不利な展開を避けるゲームマネジメントは、今後の厳しい展開を考えると改善したいところだろう。
フル代表でのケースだが苦い経験もある。2018年ワールドカップの16強対決でベルギー代表に2-0リードから3点奪われてひっくり返された。
昨年11月の欧州遠征でのメキシコとの親善試合では、前半の好ゲームから一転して後半になるとボールを保持されてイニシアチブをとられ、2失点したゲームもあった。
今回の日本との対戦に、メキシコはその昨秋の試合を経験したOA3選手を含めた7選手が出場していた。
遠藤選手は、「自分のところでは常にボールを奪えるように、前向きに守備ができるようにと意識していた」と話して手ごたえも覚えながら、「後半の戦い方は課題を感じざるを得ない。もう少し相手が10人になったところでボールを動かしたかった」と話した。
吉田選手も、「この試合が大切だということは分かっていたので、全てを出し切るつもりでやろうと言っていた。次のフランス戦へもう1つギアを上げていきたい」と話した。
日本はこの勝利で勝点を6に伸ばし、28日のフランスとのグループステージ最終戦で引き分け以上であれば、4強入りした2012年大会以来の決勝トーナメント進出が決まる。
グループステージでは各組上位2チームが準々決勝へ進出できる。フランスも南アフリカに4-3と競り勝ち、初の勝点3を手にして突破の望みを繋いだ。
勝点6の日本がA組首位に立ち、以下、勝点3のメキシコ、フランス、2連敗で敗退の決まった南アフリカが続く。
波乱含みの今大会で、16チームの中で初戦から2連勝したのは日本のみだ。
ほかのグループでは、初戦を落としていたアルゼンチンがエジプトに1-0で勝利し、韓国もルーマニアを4-0で下した。ホンジュラスがニュージーランドに3-2、ドイツがサウジアラビアに3-2で競り勝って初勝利を挙げ、初戦を引き分けていたスペインもオーストラリアに1-0で勝利したが、ブラジルはコートジボワールに0-0で引き分けた。
日本は勝ち進めばB組の勝ち上がりチームとの対戦となるが、B組は韓国、ホンジュラス、ニュージーランド、ルーマニアと全4チームが勝点3で並び、得失点差で順位がつく混戦模様だ。
C組とD組も、敗退の決まったD組のサウジアラビア以外のチームが突破の可能性を残している。
メキシコ戦後、吉田選手は「まだ(突破が)決まったわけじゃない」と気を引き締め、勝点3で突破の可能性のあるフランスとの次戦を「難しい試合になると思う」と話した。
クラブやフル代表など別な舞台でのフランスとの今後の対戦の可能性も考慮して、それぞれの対戦機会で相手に勝つことが、将来的な日本の成功につながるという認識を示した。「僕たちがステップアップするためには、一つ一つ叩いていかなければいけない」と日本代表キャプテンは言った。
一戦一戦、レベルアップして勝ち進みたい。
取材・文:木ノ原句望