届かなかった天皇杯、引退するセレッソ・大久保嘉人がチームへ期待を込めた置き土産
2021.12.13
第101回 天皇杯 準決勝 C大阪 大久保嘉人 写真:アフロスポーツ
浦和レッズが12月12日に埼玉スタジアムで行われた天皇杯準決勝でセレッソ大阪と対戦し、退団が決まっているDF宇賀神友弥選手の先制点などで2-0の勝利で3年ぶりの決勝進出を決定。
セレッソ大久保嘉人選手は有終の美とはならなかったが、クラブを去る選手の思いが滲む試合となった。
なお、浦和は目標とするAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得をかけて、12月19日(日)の国立競技場での決勝では、前回王者の川崎フロンターレに延長PK戦の末に競り勝った大分トリニータと対戦する。
今季5度目の浦和との対戦
優勝した2017年大会以来の決勝進出と優勝を目指したセレッソ大阪は、浦和に勝って決勝進出を決めたルヴァンカップ準決勝を含めて今季5度目の浦和との対戦で、戦績では2勝1分1敗とリードしていたが、望むような結果にはならなかった。
今季限りで引退を発表しているFW大久保嘉人選手にタイトル獲得で華向けを目指して、大久保選手を1トップ、トップ下に清武選手を置く従来とは異なる4-2-3-1のフォーメーションを採用して臨んでいた。
守備では善戦したものの、ボールを奪ってからの攻撃で苦戦。センタリングを上げて、浦和DFアレクサンダー・ショルツ選手らに跳ね返される場面が続いた。
それでも後半開始早々に、清武選手が相手と競り合って落とした為田選手のパスを受けてペナルティエリア内から狙い、その直後には喜田陽選手の落としたボールに、ゴール前に攻め上がった奥埜博亮選手がスライディングで合わせたが、いずれも枠を捉えることができなかった。
60分には、CKの流れから為田選手がシュートを狙ったが、GK西川選手に止められた。
今季はACLも戦い、ベスト16まで進出したセレッソだったが、リーグ戦では13勝9分16敗の12位で終了。総得点47に対して総失点は51だった。
「守備でハードに戦わない者は使わない」という小菊昭雄監督が8月下旬に就任し、前任のレヴィ・クルピ監督の下で25戦35失点から13戦17失点と、数字の上ではわずかながらも、ハードに相手と競り合う意識や規律を導入して守備の改善に努めた。
さらに、DF瀬古歩夢選手とDF西尾降矢選手の日本代表入りなど若手の成長も見られたが、攻撃についてはまだ道半ばの印象は否めず、その傾向はこの試合でも変わらなかった。
大久保からセレッソへのメッセージ
「試合入場の瞬間が好きだった」という大久保選手は64分までプレーして交代で現役最後の試合を後にした。プロ生活21シーズンで国内タイトルとは縁がないまま、現役生活に幕を下ろした。
「サッカーには勝ち負けがある。今日はチームとして何もできなかった。負けて当然の試合だったのでスッキリした」と話し、「上に行けるといいなと思っていたが、辞めると決めた時から悔いはまったくなかった」と大久保選手は振り返った。
そして、川崎在籍時代に3季連続でJリーグ得点王になった39歳FWは、チームの改善点を指摘してこう言った。
「改善点は攻撃も守備もすべて。セレッソは無駄に力を使って、みんなが間延びしてやられる。攻撃もセンタリングしかないことが多かった。それだけでは得点は伸びない。サッカーは守ってばかりでなく、点を獲らないと勝てない。先に点を取れば自信をもってプレーしていける。それはなんでかというのをみんなで考えないとトップには行けない。どう改善されるのか、自分は外から見て応援したい」
自身のプロ生活をスタートさせ、海外を含めていくつかの移籍を経てキャリアの幕を下ろすことになったセレッソへ、期待を込めた置き土産だった。
取材・文:木ノ原句望