【朝日杯FS みどころ】君こそスターだ 次の時代を作る大物は現れれるか

写真:東京スポーツ/アフロ
年末が近づくにつれ、スターホースの去就に注目が集まる。この秋もマイルCSで有終の美を飾ったグランアレグリア、ジャパンCで実力を証明した三冠馬コントレイルが現役を去り、先日も香港Cを制したラヴズオンリーユーの引退が発表された。
まもなく開催される有馬記念でもクロノジェネシスがこのレースがラストラン。レース当日に引退式を行うことが予定されている。
スターホースの引退は寂しいことだが、競馬界には次のスター候補生たちが開花の瞬間を今か今かと待ちわびている。中でも今週開催される朝日杯FSではエントリーした15頭のうち、無敗でここまで駒を進めてきた馬が5頭もいる。
歴代の朝日杯FSの勝ち馬を振り返ると2014年に阪神へ移転してからもなかなか大物に恵まれなかったが、今年こそは次代の競馬界を担う大物が現れるかもしれない。
その筆頭格となりそうなのがジオグリフか。
勝つときはいつもブッチギリだった新種牡馬ドレフォンを父に持つ彼は、わずか2戦にして父同様の破天荒さを見せて、堂々の2連勝をマーク。
デビュー前から喉鳴りの兆候が見えるということで人気を下げた新馬戦では外から豪快に伸びて見事に快勝。涼しい顔のまま上がり3ハロン33秒3という鋭い末脚を見せたその姿は歴代の大物たちと比べてもそん色がなかったように思う。
そしてこの馬で驚かされたのが続く札幌2歳S。スタートから出遅れて最後方を追走することになったが、向こう正面過ぎの勝負所で早くも進出し、いわゆるマクリの形を取って最後の直線へ。
ここでもジオクリフの脚色は衰えるどころかさらに手ごたえ十分といった走りで加速。気が付けば2着のワイルドアスクモアに4馬身差をつけるブッチギリの圧勝を飾っていた。
軽いスピードで軽く相手をいなした新馬戦とは異なり、力づくでライバルたちをチギるワイルドなレース振りの札幌2歳Sとジオクリフのここまでは父も顔負けの破天荒そのもの。
競走馬としてまだまだ粗削りな分があるとはいえ、わずか2戦のレースで見せたパフォーマンスはホンモノのそれ。喘鳴症のことを考え、距離をマイル戦へと縮めてきたのも好都合と言えそうだ。父譲りのスピードを武器にここでも他馬をブッチギリ、クラシック戦線はおろか、次代のスターホースとして名乗りを挙げるか。
破天荒さならジオグリフだろうが、堅実なレースを見せる馬としては3戦3勝のセリフォスだろう。
スタートからスッと前に付けて流れに乗った新馬戦をはじめ、6番手を追走し、最内枠が一瞬で突き抜けた新潟2歳S、そしてソツなく4番手から押し切ったデイリー杯2歳Sなど、そのレースすべてがまるで教科書通りのお手本ともなりうる戦法で有無を言わせぬ勝ちっぷりを見せてきた。
それでいて上がり3ハロンのタイムも速いというのだからどう攻略していいのかもわからないほど。
今回が初騎乗となるが、この手の馬に乗せるとスピードをフルに引き出してくれるクリスチャン・デムーロの手綱さばきにもぜひ注目したい。
ジオグリフ、セリフォスともに重賞を制してここに臨むが、朝日杯FSはこのレース自体が重賞初制覇だったという馬がここ10年でも7頭いる。
つまり、レース時点での完成度も当然求められる要素だが、それ以上にこのレースにおいて爆発力はもっと必要。ならば萩Sを勝ってここに挑むダノンスコーピオンも勝機の芽がある。
自身同様、産駒は短距離での成績が印象に残る短距離型の種牡馬ロードカナロアを父に持ちながらもダノンスコーピオンがデビューしたのは父の最高走破距離となったマイル戦。ここを5番手から堂々と抜け出して快勝すると、秋の休養入り後に大きな変身を遂げた。
秋緒戦として選んだ、萩Sでダノンスコーピオンは先行勢を見ながら好位でレースを進めるという大人びたレース運びを見せて外から進出。最後はキラーアビリティとの叩き合いになったが、これをクビ差制して1着に。
極端なスローペースしか経験していない、そもそも少頭数のレースでしか走っていないなど、揉まれたときの対応力が未知数だが、ハナを主張するタイプでもないだけにヘンに絡まれることはないだろう。
この3頭はデビュー前、そこまで大きく注目されてきた馬ではなく、その走りで有力馬として朝日杯を迎えることになった馬だが、最後にデビュー前から大きな話題で包まれた良血馬、ドーブネについても紹介したい。
かねてから競馬好きで知られる藤田晋氏が、馬主デビューを飾る1年目の所有馬として千葉サラブレッドセール史上最高価格となる4億7010万円で落札。
残り少なくなったディープインパクトの忘れ形見ということ高額になるのは予想がついていたが、あまりの高額ぶりにその是非が問われたが......この馬がもつポテンシャルについてはデビューしてから実証してみせた。
9月に行われたデビュー戦では中団から切れ味抜群の末脚を見せて快勝すると、続くききょうSでは一転して逃げの手を打って押し切った。レース展開に合わせて動ける変幻自在の脚質は大きな武器となるのは間違いない。
たとえスターホースがターフを去ろうとも、次代を担う若駒たちが今か今かとその牙を研ぎだす日本競馬界の12月。新しい時代を作るのはいったいどの馬なのだろうか?
■文/福嶌弘