4300勝以上の勝ち星を挙げた『武豊』を支え続けたジョッキーブーツ

その他

2022.1.6


世界が絶賛!日本の匠 ~競馬を変えたメイドインジャパン~

競走馬に騎乗する際、騎手はあらゆる馬具を装着してレースに臨んでいる。

競走馬をリードするための手綱に鞭、背中に乗るための鞍、そしてアブミにトップ騎手たちが絶賛してやまないブーツなど... そのすべてが激しいレースを走るために使われている。

武豊のハイパフォーマンスを支え続ける超軽量なジョッキーブーツ

鞍とともに、騎手にとって欠かせない馬具『ジョッキーブーツ』

「レースの時は体の一部みたいなもの。すごく大切なものです」

2021年の10月で通算4300勝を挙げるなど、日本競馬界のレジェンドとして君臨し続けてきた武豊。彼の脚を支え続けたブーツは親子2代にわたる職人の技術のものだった。

「荒川さんのブーツは先代のころから父(武邦彦)が使っていて」(武豊)

「親子も2代の付き合いになりましたね」(荒川さん)

ブーツ職人として、長年武豊を支えてきたのが荒川裕一さん。

その技術力は日本のみでなく世界レベルとして知られ、武豊がフランス遠征に出た際、履いていたブーツに注目が集まったことから一気に広まり、今や世界中で大人気のブーツ職人になったという。

実際、2020年の凱旋門賞を制したソットサス、2着のインスウープの騎手が履いていたブーツはともに荒川さんが手がけたもの。他にもウィリアム・ビュイックも荒川さんのブーツを愛用し、国内外で好成績を残している。

まさに究極のジョッキーブーツとも言える荒川さんのブーツだが、通常の乗馬用ブーツとは何が異なるのか...

最大の違いは重さにあるという。

一般の乗馬用ブーツは両足で1.1~2.5キロほどあるが、それに対して荒川さんの作るブーツはわずか300gほど。圧倒的な軽さに加え、騎手の激しい動きに耐えうる丈夫さも魅力で世界の名手たちが愛用している。

そんな荒川さんのブーツが作られているのは大阪府岸和田市。

一見すると、住宅街しかない街だが、狭い路地を通ったところにある荒川靴店でのみ、このブーツは作られているという。

騎手ひとりひとりの細かなオーダーに応えるため、裁断から縫製まですべて荒川さんの手作業。そのため、完成するのは1日に2足程度が精一杯だという

「同じのを作るだけだったら金型で抜いて作れば、たくさんできるけど......一人一人すべて違うからね」そう語った荒川さんが取りだしたのは、なんとブーツのオーダー票。

そこには騎手ひとりひとりのこだわりがびっしりと記され、それに応えるように荒川さんが一つ一つ作っていたことがわかる。

そして栗東トレーニングセンターの一角にもアラカワクツ店がある。ここで荒川さんは週2回ほどここにきて、騎手や厩舎関係者のオーダーを受けたり、修正をしている。

そこにやってきたのが、2021年にデビューしたばかりの新人騎手・永島まなみ。彼女もまた、荒川さんの作るブーツの愛用者だった。

「滑りにくい素材を使って作っていただいたんです。要望も全部聞いてくださるので理想のブーツを作っていただいています」

若手騎手の意見もしっかりと聞いて最高のブーツを作る姿勢は先代の父・松雄のころから。50年以上前に創業した荒川靴店は2017年に先代から引き継ぐ形で息子の裕一が引き継いだが、その姿勢は変わらなかった。

「頑固一徹。仕事には一切妥協をしなかった」という父・松雄の意志を受け継ぎ、勝利に貢献する最高のブーツを作り続けてきた荒川さん親子。

それだけに武豊への思いは一層強かったという。

「親父は4000勝の時も見られなかったから、今度は僕が5000勝を見たいよ」

先代の父っと作り続けてきた究極のジョッキーブーツ。しかし、次の担い手がいないため、この技術が裕一さんで消滅してしまうのかと思われたが、2年前から上谷亮一さんという後継者が登場した。

上谷さんもまた、岸和田で店を構える靴職人。世界に一つしかない革靴などを製作していたが、知人の紹介で荒川さんと出会った。

「まさか同じ岸和田にこんな技術を持った職人がいるなんて驚いた」と荒川さんが言えば「すごくドキドキする」と上谷さんも口にする。世界屈指の技術と誇りを次の世代へつなぐことができて、荒川さんはホッとしたという。

「例えば今、新人の騎手ならあと30年は作らないといけないし、その心配がなくなったことで肩の荷が下りた」

数々の勝利を支える究極のジョッキーブーツを生み出してきた荒川さんの世界に誇れる匠の技術はこれまでも、そしてこれからも受け継がれていくだろう。


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【テレビ東京スポーツYouTube】
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