女子プロゴルファー・横峯さくら 完全復活への道のり/Humanウォッチャー
2022.3.9
「追跡LIVE!SPORTSウォッチャー」テレビ東京系列 3月12日(土)夜10時30分/BSテレ東 深夜1時放送
今週のHumanウォッチャーは、女子プロゴルファー・横峯さくら(36)。
かつての賞金女王は母となり、完全復活への道を模索していた。
プロゴルファーとして、子を持つ母として、彼女が伝えたいものとは?
2022.3.9
「追跡LIVE!SPORTSウォッチャー」テレビ東京系列 3月12日(土)夜10時30分/BSテレ東 深夜1時放送
今週のHumanウォッチャーは、女子プロゴルファー・横峯さくら(36)。
かつての賞金女王は母となり、完全復活への道を模索していた。
プロゴルファーとして、子を持つ母として、彼女が伝えたいものとは?
武豊騎手騎乗のシックスペンスがGI初戴冠(c)SANKEI シックスペンスにとって、GIレースは「いつか勝てるもの」だった。 デビューから無傷の3連勝でスプリングSを制し、関東の名伯楽として名を馳せた国枝栄調教師が調教師生活の最後となるダービーへ出走したのは彼。 レースは3番人気に支持されたが、直線で伸びずに9着に敗れてしまい残念ながら師をダービートレーナーすることはできなかったが、その高いポテンシャルは誰もが知るところ。だから「いつかはGIを勝てる」とそう信じられていた。 ところが、シックスペンスは4歳の春から勝ち星に見放される。 中山記念を制して挑んだ大阪杯は1番人気に支持されるも、直線で伸びずに7着。その後は4戦続けてGIに挑むも、馬券に絡んだのは南部杯の2着のみ。その南部杯以降はダートへ矛先を向けるなど、文字通り迷走。 そして5歳になった今年、フェブラリーSを最後にシックスペンスは引退する国枝栄調教師の下を離れ、田中博康厩舎へと移った。 転厩緒戦として挑んだマイラーズCは後方から懸命に追い込んだが前に付けた馬同士で決まってしまい、7着。 気が付けば、昨年3月に行われた中山記念を最後に勝ち星から見放され、「いつかは勝てる」と信じられていたGIもいつしか手が届きづらくなり、遠い位置にまで離れてしまった。 こんなはずじゃない。本来の力を出し切ればもっと走れる―― 陣営はそう思っていたことだろう。気持ちが沈んでいたシックスペンスに対し、田中博康調教師は変革を求めた。 行きっぷりが悪さをカバーするために初めてブリンカーを装着させ、レース前日には異例とも言える追い切りレベルの調教を課した。 どれもこれもすべてはシックスペンスの闘志に火をつけるため。遠ざかっていた勝ち星、「いつかはGIを勝てる」という声を現実のものにするために。 主役不在のレースを象徴するかのように、どこかスッキリとしない曇り空の中で迎えた今年の安田記念。 17頭の出走馬の中でシックスペンスは単勝21.6倍の8番人気。生涯最低の人気に留まってしまった。 レースセンスの高さを感じさせたスプリングSまでの3連勝も、好位から押し切った毎日王冠の走りも、そして中山記念の差し脚もファンにとってはもはや昔の話。 そこからの6連敗の印象が色濃く残り、「ピークを過ぎた馬」という印象を与えたのかもしれない。 だが、ノーマークになったことが却ってよかったのかもしれない。この日初騎乗となった武豊のレース後のコメントを聞くと、そんな風にも思えてくる。 迎えたレース。どの馬も出遅れることなく17頭横並びでスタートすると、京王杯SCを逃げ切ったワールズエンドがハナを奪いに行くのに対し、武豊とシックスペンスは付いていったのだ。 「ハナを切ってもいいくらいに思っていた」と、武豊はレース後に語ったがその言葉通りに2番手をキープ。 そこにセイウンハーデス、パンジャタワー、そしてステレンボッシュらの実績馬が並ぶようにして先団を形成。そのすぐ後ろに1番人気のガイアフォースが付け、さらに後方から2番手という位置にトロヴァトーレがいた。 前半の3ハロンは34秒5というよどみない流れで逃げたワールズエンド。 それを追いかける形で2番手にいたのがシックスペンス。同じキャロットファームの所有馬2頭が先頭を争うような形になり、最後の直線を迎えた。 ゴールまで残り500mを優に超える東京の長い直線。先頭にいたのはワールズエンドと津村明秀だった。 その逃げには迷いはなく、外からシックスペンスと武豊、そしてセイウンハーデスと幸英明が追いかけてきても、捕まる様子は見られない。 むしろそこから再びエンジンを添加させているかのような二枚腰で、ワールズエンドは逃げている。 ゴールまで残り200m。前を行く3頭を懸命に追いかけてきたのが横山武史とガイアフォースだった。 今年で4度目となる安田記念への挑戦。ハイレベルなメンバーの中で揉まれ続けて、過去3回は4着、4着、そして2着。 年齢的にもこれが最後のチャンスとばかりにその走りにはどこか悲壮感さえ漂ってきたが、前を行く3頭の脚は止まらずジリジリとしか伸びてこられない。 栄光のゴールまで残り10m。内を行くワールズエンド、外から迫るセイウンハーデスに挟まれる形となったシックスペンスが、武豊の左鞭に応え馬体をワールズエンドに並べ、一歩だけ前に出た。 それと同時に外からガイアフォースが懸命に全身を伸ばしてきた。 まさに3頭が横並びになったところがゴールだったが......真ん中を突いたシックスペンスがほんのわずか、2頭よりもクビ差だけ先着してゴール板を駆け抜けていた。 待ちに待った6勝目は、「いつか勝てる」と称されていたGI。 混戦の中を切り裂いてシックスペンスが約束の地であるGIホースの地位を得て、春のマイル王に名乗りを上げた。 かつての走りを取り戻すために課した変革は、武豊という最後のスパイスによって見事に成就。「いい仕事ができた」と、レジェンドも満足いく騎乗を見せたようだった。 マイル界の絶対王者、ジャンタルマンタルとはくしくも同い年にあたるシックスペンス。この2頭の激突が見られるのは果たしていつの日だろうか。5歳同士のマイル王の頂上決戦が早くも待ち遠しい。 ■文/福嶌弘
武豊記者騎乗のシックスペンスがGI初戴冠(c)SANKEI 東京競馬場で7日、第76回安田記念(GI・芝1600メートル)が行われ、武豊騎手騎乗の8番人気シックスペンス(牡5)が優勝。春のマイル王決定戦を制し、待望のGIタイトルを獲得した。 レースは好スタートを決めたシックスペンスが2番手の絶好位でレースを進める。道中は折り合い良く追走し、直線では逃げるワールズエンドを射程圏に捉えながら追い出しのタイミングを待った。 残り200メートルを切ると、武豊騎手のゴーサインに応えて鋭く加速。内で粘るワールズエンド、外から迫る1番人気ガイアフォースとの激しい追い比べとなったが、最後まで脚色は衰えずクビ差先頭でゴール板を通過した。勝ちタイムは1分32秒1。 1番人気のガイアフォースと7番人気ワールズエンドが2着同着となった。4着セイウンハーデス(クビ差)、5着パンジャタワー(クビ差)までが0.1秒差以内の大激戦だった。 これまであと一歩でGIタイトルに届かなかったシックスペンスが、マイル路線への本格参戦で悲願を達成した。 また、鞍上の武豊騎手にとっても安田記念では2009年ウオッカ以来となる勝利。ベテランならではの冷静なレース運びで、人馬ともに大きな勲章を手にした。 第76回安田記念(GI)着順2026年6月7日(日)3回東京2日 発走時刻:15時40分 着順 枠順 馬名(性齢 騎手名)人気1着 2-4 シックスペンス(牡5 武豊)82着 6-11 ワールズエンド(牡5 津村明秀)12着 7-14 ガイアフォース(牡7 横山武史)74着 7-13 セイウンハーデス(牡7 幸英明)65着 8-16 パンジャタワー(牡4 松山弘平)46着 2-3 オフトレイル(牡5 菅原明良)107着 1-1 レーベンスティール(牡6 戸崎圭太)38着 8-15 ドラゴンブースト(牡4 丹内祐次)139着 8-17 トロヴァトーレ(牡5 C.ルメール)210着 3-6 ステレンボッシュ(牝5 D.レーン)511着 5-10 ルクソールカフェ(牡4 岩田望来)1412着 4-8 シャンパンカラー(牡6 岩田康誠)1113着 5-9 ウォーターリヒト(牡5 高杉吏麒)914着 6-12 シリウスコルト(牡5 横山和生)1515着 3-5 サクラトゥジュール(セ9 佐々木大輔)1616着 1-2 ロングラン(セ8 F.ゴンサルベス)1717着 4-7 スズハローム(牡6 藤懸貴志)12※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。
シックスペンスがGI初戴冠(c)SANKEI 第76回安田記念(GI)着順2026年6月7日(日)3回東京2日 発走時刻:15時40分 着順 枠順 馬名(性齢 騎手名)人気1着 2-4 シックスペンス(牡5 武豊)82着 6-11 ワールズエンド(牡5 津村明秀)12着 7-14 ガイアフォース(牡7 横山武史)74着 7-13 セイウンハーデス(牡7 幸英明)65着 8-16 パンジャタワー(牡4 松山弘平)46着 2-3 オフトレイル(牡5 菅原明良)107着 1-1 レーベンスティール(牡6 戸崎圭太)38着 8-15 ドラゴンブースト(牡4 丹内祐次)139着 8-17 トロヴァトーレ(牡5 C.ルメール)210着 3-6 ステレンボッシュ(牝5 D.レーン)511着 5-10 ルクソールカフェ(牡4 岩田望来)1412着 4-8 シャンパンカラー(牡6 岩田康誠)1113着 5-9 ウォーターリヒト(牡5 高杉吏麒)914着 6-12 シリウスコルト(牡5 横山和生)1515着 3-5 サクラトゥジュール(セ9 佐々木大輔)1616着 1-2 ロングラン(セ8 F.ゴンサルベス)1717着 4-7 スズハローム(牡6 藤懸貴志)12※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。
ガイアフォースが富士ステークスを優勝(c)SANKEI 激戦だった日本ダービーが終わり、6月ながら競馬界には夏の香りが漂うように。今週末からは2歳馬が早くもデビューを迎え、来年の日本ダービーへ向けての戦いが始まる。 【予想配信】上半期最強マイラー決定戦「安田記念」をガチ予想!キャプテン渡辺の自腹で目指せ100万円!冨田有紀&三嶋まりえ そんな6月最初の日曜日、春のマイル王決定戦として名高い安田記念が開催される。 オグリキャップが武豊を背にレコードで駆け抜け、タイキシャトルが雨を切り裂いて抜け出し、エアジハードが同級生の怪物・グラスワンダーを力でねじ伏せた。 最近でもグランアレグリアが驚異の脚で突き抜け、昨年もジャンタルマンタルが好位から押し切り、マイル王の座を確固たるものとした。 しかし、今年のメンバーを見ると......例年以上の混戦に映る。 昨年の覇者であるジャンタルマンタルは不在で、人気の一角と目されていたアドマイヤズームは古傷である右前脚の爪を痛めて回避。 これにより今年は5年ぶりにフルゲートを割り、17頭での争いに。GⅠ馬の出走が過去10年で最少となる3頭のみというのも、今年の安田記念がタレント不足であることを物語っている。 だが、出走メンバーにビッグネーム不在は決して悪いことではない。レース前はどこか物足りなく感じるメンバーでも、レース後にはあの大物が潜んでいたというケースは安田記念ではよくある話と言える。 例えば、2015年の安田記念を制したモーリス。この年もGⅠ馬は4頭いたが、帯に短したすきに長しというメンバー構成で混沌とした中を突き抜けた彼は当時、まだ重賞1勝馬という身分。 それも安田記念の2カ月前に行われたダービー卿CTを勝ったばかりという勢いに任せた戴冠だった。 勢いに乗ったまま春のマイル王となったモーリスだったが、その後は7戦5勝2着2回という驚異的な成績をマーク。 この年はマイルCSと香港マイルを制して世界に名を轟かすマイル王となり、翌5歳時は天皇賞(秋)と香港Cを制覇するなど、時代を築く名馬となった。 そんな未知なる可能性を秘めた馬が17頭もこの安田記念にエントリーしている。その中でも最も勝利に近いとされるのが......古豪ガイアフォースだろう。 キタサンブラック産駒には珍しい真っ白な馬体を持つ彼はデビュー当時、その血統通りに中距離路線に活路を求め、3歳秋にはセントライト記念を制覇。 菊花賞では1番人気に支持されるも距離の壁が厚く、8着に完敗した。 転機となったのは4歳春。マイラーズCへ挑んだことだった。自身初のマイル戦でやや短いのではと思われたが、直線でよく伸びてきて勝ち馬シュネルマイスターとタイム差なしの2着。 トップマイラーが揃ったこの年の安田記念でも4着に食い込み、マイル路線へと矛先を向けた。 だが、そこからがトンネルの入り口だった。勝ち星どころか掲示板を外すことも増え、一時はダート路線に向かうことも。それでも安田記念だけは毎年出走し、人気以上の着順に入っていた。 そうして迎えた昨年の安田記念。3度目の挑戦で最低となる9番人気という低評価だったが、吉村誠之助を背に2着に激走。 一息入れて迎えた富士Sは2番手から抜け出し、3歳時のセントライト記念以来となる約3年1カ月ぶりの勝利を手にした。返す刀で挑んだマイルCSは再び2着に入り、もうマイルGⅠ制覇は目の前というところまできた。 7歳になり、馬体はさらに白くなったが、闘志は未だに衰えず。4度目の挑戦となる今年こそ悲願のGⅠ制覇を飾るだろうか。 この春、最も勢いに乗った騎手と言えば松山弘平。ロブチェンによる牡馬クラシック二冠達成にスターアニスでの桜花賞制覇と誰も手が付けられないほどの活躍を収めたが、そんな彼がタッグを組むパンジャタワーもマイル王へと名乗りを上げる。 父がスプリンターのタワーオブロンドンだったせいか、マイルとなると頼りない印象があった彼。そのため京王杯2歳S勝ちの実績がありながらもNHKマイルCは9番人気の低評価。それを覆すように突き抜け、松山とともに3歳マイル王の座を掴んだ。 その後はスプリント路線へとシフト。キーンランドCでは上がり33秒9の末脚を繰り出して快勝。この時破った相手には後のスプリンターズS勝ち馬のウインカーネリアンがいたが、古馬をも相手にしない末脚が印象に残った。 これを足掛かりにオーストラリアへ遠征し、ゴールデンイーグルでは5着。4歳になるとサウジアラビアへ遠征し、1351ターフスプリントに挑むも再び5着。帰国緒戦の高松宮記念は向こう正面での不利があり、4着に敗れた・ キーンランドC以降のレース選択はまさにスプリンターそのものだが、安田記念と同じ東京芝マイルでGⅠ勝利しているという実績はやはり大きなポイント。この春、乗りに乗っている松山を背に再びマイル王の座に君臨するか。 ガイアフォース、パンジャタワーはこの路線の常連とも言うべき馬で、新鮮味という点では一歩劣る。かつてのモーリスのように勢いに任せて突き抜けるとすれば......新鋭・トロヴァトーレに期待する手もある。 デビューから堂々の2連勝。レイデオロ産駒の期待馬としてクラシックを目指すも弥生賞6着から歯車が狂い、結果的にクラシックへの出走は叶わず。 自己条件からコツコツと走り始めオープン入りを果たすと、久々の重賞挑戦となったダービー卿CTを勝利。かつてのモーリスをなぞるように昨年の安田記念に挑んだが、結果は17着惨敗。マイル王への道はまだまだ遠かった。 その後、トロヴァトーレもいろいろな可能性を模索してダート路線に活路を見出したこともあったが、5歳になると同時に芝に復帰。 京都金杯4着から挑んだ東京新聞杯は久しぶりにコンビを組んだクリストフ・ルメールのエスコートがハマり快勝。その勢いのまま挑んだエプソムCは再び後方から抜け出して勝利した。 表向きは昨年と同じ2連勝の勢いに乗ってのGⅠ参戦だが、その内容は段違い。ルメールとともに自慢の末脚を爆発させて、マイル王へと駆け上がるか。 マイル路線が混沌としているとき、中距離界から参戦するダークホースがビッグタイトルをかっさらうということがままある。今年の場合、レーベンスティールに刺客の素質が見られる。 デビュー当時は体質的な問題化なかなか使いこめず、2勝目を挙げたのは3歳5月だったが、秋にはセントライト記念を快勝。菊花賞をパスしてまで香港ヴァーズに挑んだが、結果は無念の8着。 4歳になるとエプソムC、オールカマーと連勝するが、肝心のGⅠでは力が足りず、天皇賞(秋)は8着。その後は掲示板を外すことも増えたが、5歳になった昨年は毎日王冠を勝利と着実に重賞タイトルをもぎ取っていく。 6歳になった今年は中山記念を勝利した後に大阪杯に挑み6着。1800mでの安定感を考えると距離が長いのかもしれないため、1600mへの距離短縮は却って都合がいいかもしれない。初めて挑む安田記念で戸崎圭太とともに波乱を起こせるだろうか。 悲願達成、2部門制覇、真の本格化に路線変更での一発......今年の安田記念にはどんなドラマが待っているのだろうか。 ■文/福嶌弘 第76回安田記念(GI)枠順2026年6月7日(日)3回東京2日 発走時刻:15時40分 枠順 馬名(性齢 騎手名)1-1 レーベンスティール(牡6 戸崎圭太) 1-2 ロングラン(セ8 F.ゴンサルベス) 2-3 オフトレイル(牡5 菅原明良) 2-4 シックスペンス(牡5 武豊) 3-5 サクラトゥジュール(セ9 佐々木大輔) 3-6 ステレンボッシュ(牝5 D.レーン) 4-7 スズハローム(牡6 藤懸貴志) 4-8 シャンパンカラー(牡6 岩田康誠) 5-9 ウォーターリヒト(牡5 高杉吏麒) 5-10 ルクソールカフェ(牡4 岩田望来) 6-11 ワールズエンド(牡5 津村明秀) 6-12 シリウスコルト(牡5 横山和生) 7-13 セイウンハーデス(牡7 幸英明) 7-14 ガイアフォース(牡7 横山武史) 8-15 ドラゴンブースト(牡4 丹内祐次) 8-16 パンジャタワー(牡4 松山弘平) 8-17 トロヴァトーレ(牡5 C.ルメール)※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。
2003年安田記念(GI)四位洋文騎手騎乗のアグネスデジタルが優勝(c)SANKEI やる気が感じられず鞍上を不安にさせる馬 2003年の安田記念を勝ったアグネスデジタル。およそ1年の休養明けとなった前走のかきつばた記念で4着に敗退し、6歳にして衰えを指摘されたが、安田記念では当時オグリキャップが持っていたレースレコードを更新するタイムで貫禄の勝利。 6つ目のGⅠの勲章を手に入れた。そのアグネスデジタルの現役時代について、同馬の担当厩務員だった井上多実男さんに聞いたお話を、選りすぐりの名馬36頭の素顔と強さの根源に迫った『もうひとつの最強馬伝説〜関係者だけが知る名馬の素顔』(マイクロマガジン社)から一部抜粋・編集してお届けする(文中敬称略)。 「デビュー前に厩舎の周りで曳き運動をしているとき、よその厩舎の人によく言われたんです。『その馬、大人しいなぁ。それ、走るのか? そんなにボーっとしている馬は走らないぞ』って」 白井寿昭厩舎の厩務員だった井上多実男は、愛しさと懐かしさに満ちた語り口で、当時に思いを馳せた。 そのとき井上が曳いていた馬こそ、後のオールラウンダー・アグネスデジタル。2000年のマイルCSを皮切りに、芝・ダートのGⅠを合計6勝(海外含む)。 2001年の天皇賞・秋では、テイエムオペラオーに引導を渡した馬でもある。 そんな輝かしい戦績とは裏腹に、アグネスデジタルという馬は、とにかくボーっとしている馬だった。 2001年の京王杯スプリングCから主戦を務めた四位洋文も、その独特の空気感に悩まされたひとりで、いわく「返し馬に行っても、まるで寝ぼけているみたいで。 いつも『大丈夫ですか~? 今日は走れますか~? やる気ありますか~?』と聞きたくなるような雰囲気だった」という。 「下見所で欠伸をするくらいの馬でしたからね」と笑う井上。返し馬でイレ込んで鞍上を不安にさせる馬は数え切れないほどいるが、デジタルの場合は真逆。 「落ち着いている」を通り越して「もしかして寝ぼけてる?」の領域で鞍上を不安に陥れる。それでいてしっかり6つもGⅠを勝ってしまうのだから、よほど高性能な〝やる気スイッチ〟を搭載していたとしか思えない。 「あの馬が本気で走るのは直線だけでした。道中はいつも遊んでましたよ。フェブラリーSを見れば、よくわかりますよ。向正面から3分3厘あたり、四位くんが早めに仕掛けましたよね。四位くんはもう必死なんですけど、デジタルはどこ吹く風でなかなか反応しない。馬自身がわかっていたんだと思いますよ、ここはまだ本気で走るところではないと。3歳で勝ったマイルCSのときからそうです。的場(均)さんのインタビューの中に「思いのほか行けなくて...」という言葉があったと思いますが、あの馬はね、わざと行かなかったんです。 『ここはまだ行くところじゃないよ。肝心なところで走ればいいやろ?』みたいなね(笑)。日常でもレースでも、とにかく無駄なことをしない馬でしたね」 「元々あの馬は、ものすごく賢いんですよ」と続けた井上。その口から語られたデジタルの日常には、競走馬らしからぬ驚くべきマイルールが存在した。 「馬房というのは、大体8畳くらいのスペースなんです。信じてもらえるかどうかわかりませんが、そのわずか8畳くらいの空間を、ここはリビング、ここはダイニング、ここは寝室、ここはトイレと、全部分けて過ごしていたんですよ」 なんと! そんな馬、聞いたことない! 「私が知る限り、そんな馬房の使い方をしていたのはデジタルだけです。おしっこで濡れた寝藁を表に干すんですけど、私がいつも少ししか干さないものですから、最初は同僚に『お前、手を抜いているんじゃないか?』と言われたんです。でも、そうじゃない。デジタルの場合、トイレの場所が決まっているから、そこの寝藁だけを干せばよかった。さらに、普通の馬はあちこちでおしっこやボロをするから、馬房の中をウロウロしているうちにそれらを踏むわけなんですが、場所が決まっているデジタルは踏むこともなかった。私としてはね、おしっこやボロを踏んでくれた方が、蹄が柔らかくなってありがたかったんですけどね」 蹄の柔らかさは、水分含有量で決まる。乾燥させないように手入れをするのも厩務員の大事な仕事のひとつだが、普通の馬であれば、排泄物を踏むことで日常的に水分が補給されるという側面があった。 「デジタルは踏まないものですから、どうしても蹄が乾燥してしまうんですね。だから、栗東トレセン近くにあった質のいい粘土を取ってきて、水でこねて柔らかくして、さらに塩を混ぜて。それを蹄底に詰めていたんです。誰にも言いませんでしたが、ちょっとそこだけは苦労がありましたね」 ■アグネスデジタルプロフィール生年月日:1997年5月15日生まれ性別:牡馬毛色:栗毛父:クラフティプロスペクター母:チャンシィスクウォー(母父:チーフズクラウン)調教師:白井寿昭馬主:渡辺孝男生産牧場:ラニモードファーム(米国)戦績:32戦12勝主な勝ち鞍:マイルCS、安田記念、天皇賞・秋、フェブラリーS、香港カップ、マイルCS南部杯 もうひとつの最強馬伝説~関係者だけが知る名馬の素顔 第2次競馬ブーム(1990年前後)の立役者・オグリキャップから世界最強馬と称されたイクイノックスまで、ターフを彩った名馬36頭をセレクト。強さや速さはもとより、その素顔はどんなものなのか? その馬をもっともよく知る関係者(調教師、厩務員、調教助手、騎手、牧場関係者など)への独自取材を敢行。今だから話せる裏話やエピソード、感動ストーリーも盛りだくさんで、名馬の本質を掘り下げていきます。 編:マイクロマガジン引退馬取材班発売日:2023年12月12日価格:1,980円(本体1,800円+税10%)購入:https://amzn.asia/d/cgFJe0T 第76回安田記念(GI)枠順2026年6月7日(日)3回東京2日 発走時刻:15時40分 枠順 馬名(性齢 騎手名)1-1 レーベンスティール(牡6 戸崎圭太) 1-2 ロングラン(セ8 F.ゴンサルベス) 2-3 オフトレイル(牡5 菅原明良) 2-4 シックスペンス(牡5 武豊) 3-5 サクラトゥジュール(セ9 佐々木大輔) 3-6 ステレンボッシュ(牝5 D.レーン) 4-7 スズハローム(牡6 藤懸貴志) 4-8 シャンパンカラー(牡6 岩田康誠) 5-9 ウォーターリヒト(牡5 高杉吏麒) 5-10 ルクソールカフェ(牡4 岩田望来) 6-11 ワールズエンド(牡5 津村明秀) 6-12 シリウスコルト(牡5 横山和生) 7-13 セイウンハーデス(牡7 幸英明) 7-14 ガイアフォース(牡7 横山武史) 8-15 ドラゴンブースト(牡4 丹内祐次) 8-16 パンジャタワー(牡4 松山弘平) 8-17 トロヴァトーレ(牡5 C.ルメール)※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。