【桜花賞】スターズオンアースV!モノサシ馬の逆襲 ~接戦をモノにしたド根性~

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2022.4.11

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    2022桜花賞 スターズオンアース優勝 写真:東京スポーツ/アフロ

    第82回桜花賞回顧

     今年の桜花賞をスターズオンアースが制したと聞いて「モノサシ馬が勝ったかぁ......」としてやられたと感じた競馬ファンは結構いたのではないだろうか?

     モノサシ馬とは戦績が安定していて、なおかつクラシック前の重要なトライアルに出走している馬が担うことが多い役割。別路線を歩んできた馬がクラシック本番で顔を合わせどちらが強いかの能力比較をする際、どちらとも対戦経験のあるモノサシ馬が役に立つ。

    モノサシ馬に先着したか、着差がどれくらい離れていたかなどで未対戦の馬の能力比較を暫定的に行い、予想のファクターとするのだ。

     どの世代にも大体1~2頭はそうした馬がいるものだが、今年の3歳牝馬世代であれば、間違いなくスターズオンアースがモノサシ馬だった。

    なんといってもここまでのキャリアが5戦1勝2着3回3着1回と全部馬券に絡んでいるうえ、赤松賞にフェアリーS、クイーンCと2歳GIやクラシック前の重要なレースに出走していたのだから。

     さて、そんなモノサシ馬を利用した予想方法とはこのようなものだ。

     今回の桜花賞を例にとると、1番人気馬ナミュールと未対戦のクイーンC勝ち馬プレサージュリフトを比較する際、彼女たちと走ったことがあるスターズオンアースとの着差を見る。

    ナミュールとスターズオンアースは赤松賞で対戦した当時、ナミュールは0.3秒差をつけて先着したが、プレサージュリフトはクイーンCでスターズオンアースに0.1秒差しかつけていない。そのため、ナミュールの方がプレサージュリフトよりも強いのでは?という予想ができる。

     ......このようにGI前に未対戦の有力馬同士を比較するときにこそ、モノサシ馬を活用する。今回のように戦前から混戦模様と称され、人気馬ですら一抹の不安を抱えてながらレースを迎えていた状況ならばなおさらのことだろう。

     さて、そんなモノサシ馬スターズオンアースの桜花賞時のパドックはというと、抜群の仕上がりをアピールするかのような堂々たる闊歩が目立った。

    人気のナミュールやウォーターナビレラが普段よりも細く見える中、470キロの均整の取れた馬体は惚れ惚れするような見栄えを誇った。

    「もしかすると、一発があるかも......」と、ファンが感じ始めたころ、いよいよレースがスタートした。

    内枠を生かしてカフジテトラゴンが先行する中でナミュールはいつものように後方待機、2歳女王サークルオブライフもそれに合わせる形で位置取り、ウォーターナビレラは先行策を取るという展開に。この中をモノサシ馬、スターズオンアースはナミュールらよりは前につけて流れに乗っていた。

     4コーナーを回って迎えた最後の直線。

    ナミュールにサークルオブライフ、そして最後方を追走していたプレサージュリフトらが外を突いて猛追する中、スターズオンアースは馬群でゴチャついているインコースへ進路を取った。

    目の前に馬が2頭いてすぐ隣にも3頭が壁になるという状況で万事休すかと思われたが、初コンビとなる鞍上・川田将雅はこの日の阪神の馬場で最も伸びるコースを走ることに専念。結果的にこれがハマる形になった。

     ウォーターナビレラが先頭に立ったところで、前を行く2頭の間にほんの少しだけすき間ができたのを見逃さず、スターズオンアースはそこに突っ込んでいった。その際、内を走るパーソナルハイらと激突したものの、彼女はひるむことなく伸びていった。

     そしてゴール目前、スターズオンアースはクビを下げて猛追し、ついにウォーターナビレラをハナ差だけ捕えてゴール。いつも0.1秒差に泣いてきた彼女は2着馬とタイム差なしの接戦をものにして、見事に桜の女王のビッグタイトルを手にした。

    「他馬との接触があっても勝てたという、彼女の気持ちの強さが最後に前に出ることにつながってくれた」とレース後、川田将雅はこうコメントして、愛馬の勝負根性をたたえた。

     机上の予想で他馬と比べられてばかりだった彼女がターフで魅せた走りは昨年亡くなり、星になってしまった父ドゥラメンテにも届いただろうか。

    距離が延びる2冠目のオークスでの走りが気になるところだが、あのたぐいまれな勝負根性をもってすれば好勝負をすることは十分可能なはずだ。

     そして惜しくも2着に敗れたウォーターナビレラ。

    最後の最後で差されてしまったとはいえ、内目の枠を引けたメリットを最大限に生かす先行策を取って兄弟タッグによるGI制覇まであと一歩と迫った。スピード能力に完成度の高さは世代屈指のものだけに今後も注目できる1頭だ。

     例年に比べ短距離路線の馬で活躍した馬たちの好走が目立ったが、その中で奮闘したのが4着のサークルオブライフ。道中はチューリップ賞で敗れたナミュールをマークに徹し、直線も伸びづらい外からの追い込みとなったが、2歳女王の意地を十分に見る内容だった。

     そしてまさかの10着大敗を喫したのがナミュール。パドックでの馬体重は前走からマイナス4キロの426キロだったが、少々細すぎるように見えたのが、最後の踏ん張りに欠けた感がある。

     それにしても今年のGI戦線はこれで1番人気馬がまさかの4連敗。来週の皐月賞は大本命馬が意地を見せるか、それともスターズオンアースのようなモノサシ馬が穴を開けるか......来週は中山のターフから目が離せなくなりそうだ。


    ■文/福嶌弘

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    ■第82回桜花賞(GI)着順
    4月10日(日)2回阪神6日 発走時刻:15時40分

    着順 馬名(性齢 騎手)人気
    1着 スターズオンアース(牝3 川田将雅)7
    2着 ウォーターナビレラ(牝3 武豊)3
    3着 ナムラクレア(牝3 浜中俊)6
    4着 サークルオブライフ(牝3 M.デムーロ)2
    5着 ピンハイ(牝3 高倉稜)13
    6着 パーソナルハイ(牝3 吉田豊)17
    7着 ベルクレスタ(牝3 吉田隼人)9
    8着 アルーリングウェイ(牝3 藤岡佑介)5
    9着 サブライムアンセム(牝3 岩田望来)11
    10着 ナミュール(牝3 横山武史)1
    11着 プレサージュリフト(牝3 戸崎圭太)4
    12着 カフジテトラゴン(牝3 古川吉洋)18
    13着 クロスマジェスティ(牝3 武藤雅)15
    14着 フォラブリューテ(牝3 C.ルメール)12
    15着 アネゴハダ(牝3 幸英明)16
    16着 ライラック(牝3 福永祐一)10
    17着 ラズベリームース(牝3 池添謙一)14
    18着 ラブリイユアアイズ(牝3 坂井瑠星)8

    ※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。