日本代表、強化試合4連戦で試したい戦力と戦い方のオプション
2022.6.2
サッカー日本代表 写真:JFA/アフロ
11月に開幕するサッカーのワールドカップ(へ向けて、日本代表が新たな準備段階に入る。6月2日(木)に札幌で行われるパラグアイ代表戦を皮切りに、ブラジル代表(6日、東京)、ガーナ代表(14日、神戸)などとの強化試合4連戦を戦う。
"仮想W杯"のスケジュールのなか、世界の強豪との対戦でチームは積み上げを図り、選手は本大会のメンバー入りへサバイバルレースになる。
W杯カタール大会まで半年を切って、日本代表が本番までに行える国際試合は今回の4試合と9月の2試合と数えるほど。
7月に東アジア4カ国で行うE-1選手権もあるが、国内組主体の編成となるため、海外組を交えてまとまった時間を過ごせる今回の4連戦の意義は大きい。
限られた時間のなか、アジアから世界との闘いへギアを切り替え、本大会で戦う選手の組み合わせのベストを探り、戦い方のオプションを増やす上で貴重な機会になる。
しかも、中3日での連戦スケジュールはカタール大会本番と同じ時間軸での流れになる。
日本代表の森保一監督は、「大会のシミュレーションとなるようにしたい」と述べて、選手の起用はもちろん、リカバリーを含めたコンディショニング、練習やミーティングの時間の使い方や割り振り方など、本大会を想定してチームマネジメントの面でもベストを導き出すためのテスト期間にしたい意向を示している。
森保監督は、この4試合で「できるだけ多くの選手を使いながら、システムなども状況によって試せるなら試したい」と話し、一方で「基本的にはブラジル戦に、これまで最終予選を戦ってきた選手を起用しようと思っている」と話していることから、パラグアイ戦では新たな起用や組み合わせが見られる可能性が高い。
日本は最終予選半ばから4-3-3のシステムを採用し、最終予選序盤の苦戦を克服して出場権獲得につなげた。その主軸をMF遠藤航(シュツットガルト)、MF田中碧(デュッセルドルフ)、MF守田英正(サンタ・クララ)の3選手が担ってきたが、今回は守田選手が負傷調整中で欠場が見込まれている。
選手が入れ替わったことでチームとしての力が発揮されないようでは、本大会への備えとしては不十分。異なる組合わせでもチームが力を十分に発揮できるのか、注目すべきポイントだ。
パラグアイ戦も同じ4-3-3で臨む場合、守田選手の抜けたインサイドハーフの位置に誰が起用されるのか。候補筆頭は、今季フランクフルトでヨーロッパリーグ優勝に貢献したMF鎌田大地選手か。
「僕自身はインサイドハーフをやりたいと言っていたし、インサイドハーフで出たこともある。できるポジションだと思っている」と鎌田選手。
守備意識の高い所属クラブの監督の下で高い評価を得たシーズンを送り、自信を深めている。
代表チームでの4-3-3でのプレーについて鎌田選手は、「代表の4-3-3はやったことがないが、チームでやらなくてはいけないことがある。それをやりながら、攻撃の選手として得点に絡めたら」と語り、出番を待っている。
ドイツで自信を得たDF伊藤選手
また、シーズン終盤に所属のアーセナルでの試合で負傷したDF冨安健洋選手もパラグアイ戦には間に合わないため、最終ライン中央の組合わせも注目ポイントだ。
ブンデスリーガ シュツットガルトの伊藤洋輝 写真:アフロ
最終予選終盤には、DF板倉滉選手(シャルケ)が入って存在感を示したが、代表初招集のDF伊藤洋輝選手(シュツットガルト)も、森保監督は「守備力が格段に上がっている」と高く評価しており、早い段階で試してみたいところだろう。
伊藤選手は所属チームでレギュラーとしてプレーを重ね、最終節には遠藤選手の決勝ゴールをお膳立てして、チームの1部残留に貢献した。今回の合宿初日の練習でも、DF吉田麻也選手(サンプドリア)とペアを組んでプレーし、臆する様子もなく、積極的なパフォーマンスを披露していた。
伊藤選手は、「左足で持った時の組み立てやゴールに直結するパスは、ドイツでも1年間やってきた。この(代表)チームでも出したい。ドイツに行って成長したし、身に着けたものがある」と自信を示す。
磐田からシュツットガルトへ渡った23歳DFは、球際やフィジカルの強さ、スピード勝負などに手ごたえを覚えていると言い、「周りの選手に合わせてプレーできる。いろんな選手とコミュニケーションを取ってやりたい」と意気込んでいる。
スピード系が揃ったFW陣
前線にはFW古橋亨梧選手(セルティック)、クラブ同僚のFW前田大然選手、FW浅野拓磨選手(ボーフム)と速さに定評のある攻撃陣が揃う。
Jリーグで10得点をマークしているFW上田綺世選手(鹿島)、最終予選で結果を出しているMF伊東純也選手(ゲンク)やMF三笘薫選手(サンジロワーズ)らも健在で、どう組み合わせるのか興味深い。
FW大迫勇也選手(神戸)がコンディション不良で不参加の今回、日本代表の前線をけん引してきた大迫選手不在の場合の攻撃と得点の形は懸案の課題でもある。伊東選手が最終予選4戦連続ゴールなどで日本の予選突破に大きく貢献して存在感を示したが、いくつかオプションを持っておきたいところだ。
森保監督は、「守から攻への素早い攻撃で得点を奪うことは、より精度を上げないといけない。守備についても、これまでやってきたことを、よりメリハリを持ってやるべき。アジアから世界へ切り替えていかなければいけない」と指摘。
メンタルとフィジカルの両面で世界モードへの切り替えを図りたいとしている。
上田選手は、「対戦相手もチームメイトも、強度もレベルも格段に高い。どのぐらいそこに自分が適応できるのか挑戦になる。自分がいいパフォーマンスをできないとサバイバルだろうが評価されない。持っているものをすべて出し切りたい」と話す。
好調を維持している鹿島FWは、「動き出しやシュートは自分の武器。シュートを打たないと点も入らない。積極的にやりたい」と意気込んでいる。
板倉選手は南米勢との最初の2連戦に、「アジアと違った、南米の個人で打開できる選手との試合は確実にプラスになる。常に相手よりも先に準備することが大事。ビルドアップは僕の強みでもある。前線の選手の特長は分かっている。前の選手が動きやすいように後ろからサポートしたい」と話している。
6-7月開催で事前合宿を経て臨めたW杯前回大会までと違って、多くの国でシーズン中にあたる11-12月開催で今回のカタール大会では事前合宿は実施できない。
「最終予選で出た成果と課題を整理して、個とチームの力を上げて、次へつながる試合をしたい」と話す森保監督。「前回(ロシア)大会と違って、練習で戦術を積み上げることはできない。W杯で結果を出すために、試合を通してチームが共有できることはしっかりやりたい」と語っている。
日本代表は2日(木)の札幌ドームでのパラグアイ戦後、6日(月)に東京の国立競技場でブラジル代表に臨む。
その後、キリンカップの初戦で10日(金)にガーナ代表とノエビアスタジアム神戸で対戦し、14日(火)に大阪のパナソニックスタジアム吹田でチリ代表またはチュニジア代表と対戦する。
取材・文:木ノ原句望
■日本代表 招集メンバー
【GK】
川島永嗣(RCストラスブール/フランス)
権田修一(清水エスパルス)
シュミット・ダニエル(シントトロイデンVV/ベルギー)
大迫敬介(サンフレッチェ広島)
【DF】
長友佑都(FC東京)
吉田麻也(サンプドリア/イタリア)
谷口彰悟(川崎フロンターレ)
山根視来(川崎フロンターレ)
板倉滉(シャルケ04/ドイツ)
中山雄太(PECズヴォレ/オランダ)
冨安健洋(アーセナル/イングランド)
伊藤洋輝(VfBシュツットガルト/ドイツ)※
菅原由勢(AZアルクマール/オランダ)
【MF/FW】
原口元気(1.FCウニオン・ベルリン/ドイツ)
柴崎岳(CDレガネス/スペイン)
遠藤航(VfBシュツットガルト/ドイツ)
伊東純也(KRCヘンク/ベルギー)
浅野拓磨(VfLボーフム/ドイツ)
南野拓実(リバプールFC/イングランド)
古橋亨梧(セルティック/スコットランド)
守田英正(CDサンタ・クララ/ポルトガル)
鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
三笘薫(ユニオン・サンジロワーズ/ベルギー)
前田大然(セルティック/スコットランド)
堂安律(PSVアイントホーフェン/オランダ)
上田綺世(鹿島アントラーズ)
田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)
久保建英(RCDマジョルカ/スペイン)
※初招集