【秋華賞 みどころ】ひと夏を越え、少女は淑女になっていく

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2022.10.15

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    2022オークス スターズオンアースが優勝 写真:東京スポーツ/アフロ

    仁川の秋が今年もまた、熱くなる季節がやってきた。牝馬クラシックの最終レースである秋華賞が間もなく開催される。

     芝2000mという中距離戦だけに本来マイルを得意とする馬たちでも対応できる条件。

    それだけに最後の1冠に賭けている陣営は多い。そのため一筋縄ではいかない年も多く中には大波乱の決着となることも。馬券を買う側からしたら大変に悩ましいレースでもある。

     ましてや今年は春のクラシック戦線で好走してきた馬が続々とエントリー。

    ひと夏を越えてあどけない少女たちが麗しい淑女へと成長を遂げる。春の勢力図が塗り替わることだって十分起こりうることはこれまでの歴史が証明している。

     そんな混戦模様の中でも敢然と挑むのは春の牝馬二冠馬スターズオンアースだ。

     素質の高さは間違いないと評されてはいたが、デビュー当時からなかなか勝ちに恵まれず、2歳時は未勝利戦の1勝止まり。

    3歳になってからもフェアリーS、クイーンCと2戦連続2着。いずれもクビ差まで追い詰めたが、あと一歩届かなかった。

     そうして迎えたのが桜花賞。戦前から混戦模様とされたレースで7番人気の支持にとどまったスターズオンアースだったが、直線で狭いスペースを強引に割って差し切り桜の女王に輝く。

     距離不安が囁かれる中で迎えた二冠目のオークスでもレース前の雑音を封じるかのように外から伸びて見事に二冠制覇を達成。

    7年前に牡馬二冠を達成した父ドゥラメンテがまるで恐竜を思わせるような迫力のある走りで他を圧倒したのに比べ、娘はまるで星に導かれたかのように開いているスペースをスムーズに駆け抜け、主役不在だったこの世代の女王の座に就いた。

    祖母でフランスオークス、そして叔母でオークスを制していた鞍上のクリストフ・ルメールは「この一族はオークスが大好き」と評するほど、今年のオークスはまさにこの馬のためのレースと言っても過言ではなかった。

     だが、激走の代償はあまりに大きかった。オークスの直後にスターズオンアースの右前足に骨折が判明。父と同じく三冠の道が断たれたかのように思われたが、幸い軽傷で済み最後の一冠である秋華賞のエントリーに間に合った。

    星の輝きを全身に受け、史上7頭目の牝馬三冠馬になるだろうか。

     しかし、たとえ軽傷だったとはいえ骨折明けであることは変わりない。下級条件戦ならまだしも最高峰のGⅠレースにぶっつけ本番で挑むというのはあまりに厳しい。それだけに今回のレースは彼女に敗れてきた馬たちにもチャンスがあるはずだ。

     打倒スターズオンアースの一番手に挙がるのは、スタニングローズだろう。

     伝統あるバラ一族の元に生まれた彼女はフラワーCを制して挑んだオークスで10番人気の低評価をはねのけて2着に。

    それが単なる激走でないことを証明したのが秋緒戦の紫苑S。ひと夏を越えて逞しくなった彼女はスタートから前に付けて流れに乗り、直線先頭に立って力でねじ伏せてみせた。

    内回りの阪神芝2000mという舞台を考えると、先行して抜け出すレース運びを会得したことは大きな収穫になることは間違いない。

    21年前の秋華賞であと一歩届かずに終わった祖母ローズバドに捧げる白星を挙げることはできるだろうか。

    血の繋がりを意識させるのはアートハウスも同様だ。春は忘れな草賞を制し、オークスは2番人気に支持されるもキャリアの浅さを露呈する形で7着に敗れたが、こちらもひと夏を越えて急成長。

    秋華賞との結びつきが強いプレップレース、ローズSを力強い内容で勝ち切ってみせた。

    彼女の母は6年前にこのレースで2着に入ったパールコード。牝馬限定重賞で毎回のように上位に顔を出していたがとうとう勝ち切れずに終わった母の無念をここで晴らせるか。

    オークスでは母の主戦騎手を務めていた川田将雅がスターズオンアースを蹴ってまでこの馬を選択するほど。調教師も母と同じ中内田充でまさに今回は6年前のリベンジがかかっている。

    バラ一族を代表するスタニングローズともども、血統が生んだドラマの大団円を仁川のターフで魅せてくれるかもしれない。

    そして不完全燃焼のまま終わった春の無念を晴らしたいのが、ナミュールだ。

     ポテンシャルの高さは世代屈指。

    出遅れても持ち前のスピードで突き抜けるというレースをデビュー当時から見せていたが、GⅠでは阪神JF、桜花賞と2戦とも1番人気に支持されながらいずれも敗れてしまい、その期待に応えられなかった。

     気性が課題で完成度の高さがウリな馬だっただけにオークスは距離的にも厳しいとされ評価を落としたが、フタを開けてみれば3着に健闘。距離の壁をも越えてみせた。

    切れる末脚が何よりの武器である彼女。前を行くライバルたちを撫で斬って今度こそ女王のタイトルを獲得するか。

     春のクラシックを沸かせた4頭を中心に盛り上がる今年の秋華賞。果たして秋の女王に輝くのは彼女たちか、それともひと夏を越えて成長した新たな才能か――少女が淑女への階段を上っていく瞬間を今年もまた楽しみに待ちたい。


    ■文/福嶌弘

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    第27回 秋華賞(GI)枠順
    2022年10月16日(日)4回阪神5日 発走時刻:15時40分

    枠順 馬名(性齢 騎手)
    1-1 ウインエクレール(牝3 松岡正海)
    1-2 ライラック(牝3 M.デムーロ)
    2-3 タガノフィナーレ(牝3 鮫島克駿)
    2-4 ラブパイロー(牝3 酒井学)
    3-5 ストーリア(牝3 松山弘平)
    3-6 メモリーレゾン(牝3 古川吉洋)
    4-7 スタニングローズ(牝3 坂井瑠星)
    4-8 ナミュール(牝3 横山武史)
    5-9 スターズオンアース(牝3 C.ルメール)
    5-10 アートハウス(牝3 川田将雅)
    6-11 エグランタイン(牝3 池添謙一)
    6-12 ウォーターナビレラ(牝3 武豊)
    7-13 エリカヴィータ(牝3 福永祐一)
    7-14 ブライトオンベイス(牝3 秋山真一郎)
    8-15 サウンドビバーチェ(牝3 岩田望来)
    8-16 プレサージュリフト(牝3 戸崎圭太)

    ※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。