【阪神JF】リバティアイランドがV!来春が楽しみになる、爽快な末脚
2022.12.12
リバティアイランド 写真:東京スポーツ/アフロ
なんだろう。この爽快感――
リバティアイランドが直線で突き抜けた瞬間、不思議とさわやかな気持ちになった。馬券のアタリハズレは関係なく、ただただ胸のすくような思いにさせられた感じがした。
1番人気に支持されたのだから、勝つのはある種当たり前と言えば当たり前のこと。それでもそんな気持ちにさせられたのは、リバティアイランドのこれまでの経緯も関係しているのかもしれない。
振り返れば夏の新潟のデビュー戦。リバティアイランドはスタートで他馬よりもワンテンポ遅れて中団からのレースを余儀なくされた上、直線を向いたときも前が壁に。
このまま伸びてこなくても不思議ないくらいの内容だったが、外に進路を持ち出すと上がり3ハロン31秒4という極上の切れ味を見せて勝利した。
この時見せた弾けるような走りが、リバティアイランドの走りに感じた爽快さの正体だろう。切れる末脚を見せて勝つ馬は他にもいるけれど、彼女のように爽快な気持ちにさせてくれる馬はそうそういない。
1頭、また1頭とライバルたちを交わしていくリバティアイランドの姿を見るのは本当に気持ちのいいものだった。
そんな勝ち方を見せただけに、多くのファンは彼女に心底惚れたのだろう。
「またあの走りが見たい」「直線でライバルたちを交わすのが快感」という具合にリバティアイランドの走りに酔いしれたファンが多かったからこそ、休み明け緒戦となった2戦目のアルテミスSで彼女は単勝1.4倍という圧倒的な支持を集めた。
いくら末脚が切れて、デビュー戦の内容が良かったとはいえ、元をただせばまだ1戦しか走っていない2歳の牝馬。流れひとつで脆さが出てもおかしくなかったが......結果は2着。
スローな流れを中団から追走して、お待ちかねの直線を迎えた際またも前が詰まって抜け出すのに手間取る羽目に。その隙に抜け出したラヴェルを猛追したが、最後まで捕まえることができなかった。
負けてなお強しと言えるほどの好内容だったが、自身よりも後ろから動いた上に、上がり3ハロンのタイムもラヴェルの方が速かったとあって、リバティアイランドとしては悔しい1戦となったことだろう。
そんな中で迎えた今回の阪神JFは彼女にとってリベンジの一戦。「負けるわけにはいかない」という思いがパドックに登場した際の彼女の気合いの入った様子からも感じられた。
そんな彼女の思いを感じたのだろうか、ファンも再びリバティアイランドを支持した。オッズこそアルテミスS時ほどの絶対人気というわけではなかったが、それでも最終的には単勝2.6倍の1番人気。
アルテミスSで敗れたラヴェルが7.1倍にとどまったことを考えるといかにファンがリバティアイランドを信じていたかというのがよくわかる。
ファンの熱い思いにリバティアイランドは結果で応えてみせた。好スタートを見せると、内に入ったサンディーテソーロらが激しく逃げるのを見ながら中団に。いつもよりも少し前でレースを進めることで、アルテミスSと同じ轍を踏まないという思いが感じられた。
そして迎えた直線、リバティアイランドの前に馬はいなかった。これまで前が壁になって追い出すタイミングが遅れてしまうというケースが目立ったが、今回はそうした壁は彼女の前には一切なかった。
ただまっすぐに、ただ思った通りに走るだけ―― 自分の目の前に広がる光景を見て、リバティアイランドもそう感じたことだろう。鞍上・川田将雅からのゴーサインが出ると、まるで抑圧から解放されたかのような弾けっぷりで一気に伸びて、前を行く馬たちをあっという間に捕まえてみせた。
その末脚の破壊力はすさまじいものがあったが、力づくで他馬をなぎ倒すというような暴力的なものではなく、例えるならまるで強い風が吹いたかのような末脚。夏の新潟でも感じたあの爽快な走りが冬の阪神でも見事に再現されたのだ。
残り200mを過ぎたところで早々と先頭に立ったリバティアイランドに後続の馬たちも迫ってきたが、一完歩ずつ差を広げていく彼女をどの馬も捕まえることができず、結果的にリバティアイランドはそのまま先頭でゴール。
12番人気の伏兵シンリョクカが必死で迫ってみせたが、2馬身半差の2着が精一杯だった。
「能力の高い馬なので、気持ち良く走ってさえくれればと思っていた」と、レース後のインタビューで川田将雅が語っていたように彼自身もまた、リバティアイランドの能力に心底惚れこみ、信じていたからこそ直線一気のレースを敢行したのだろう。
アルテミスSの敗戦があっただけに、誰もが本来見たかった彼女の姿を見せられたことにどこか満足している様子がうかがえた。それは川田将雅だけでなく、調教師の中内田充も同じだったのだろう。
検量室前に戻ってきた直後、両者が無言でがっちりと握手する姿は何とも言えない余韻に浸っているように見えた。
自由の女神が建てられた島の名を名付けられたリバティアイランド。その名の通り、彼女の目の前には自由な未来が待っていることだろう。来春の牝馬クラシック戦線が早くも楽しみになる一戦となった。
■文/福嶌弘
第74回阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)着順
12月11日(日曜) 6回阪神4日 発走時刻:15時40分
着順 馬名(性齢 騎手)人気
1着 リバティアイランド(牝2 川田将雅)1
2着 シンリョクカ(牝2 木幡初也)12
3着 ドゥアイズ(牝2 吉田隼人)10
4着 アロマデローサ(牝2 D.イーガン)13
5着 ミシシッピテソーロ(牝2 原優介)16
6着 ドゥーラ(牝2 斎藤新)6
7着 サンティーテソーロ(牝2 横山和生)5
8着 エイムインライフ(牝2 酒井学)17
9着 ミスヨコハマ(牝2 M.デムーロ)11
10着 ブトンドール(牝2 鮫島克駿)7
11着 ラヴェル(牝2 坂井瑠星)4
12着 モリアーナ(牝2 武藤雅)2
13着 イティネラートル(牝2 岩田望来)15
14着 キタウイング(牝2 和田竜二)8
15着 ウンブライル(牝2 横山武史)3
16着 ハウピア(牝2 菱田裕二)18
17着 ムーンプローブ(牝2 松山弘平)14
18着 リバーラ(牝2 石橋脩)9
※結果・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。