【菊花賞】ドゥレッツァ 3馬身半差の圧勝V!皐月賞馬&ダービー馬を打ち破る『怖いもの知らず』な走り

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2023.10.22

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    ドゥレッツァ 写真:産経新聞社

    知らない方がいいこともあるんだ――ドゥレッツァの走りを見て、不意にそんなことを思った。

    23年ぶりに皐月賞馬とダービー馬が揃った今年の菊花賞。戦前から春のクラシックを引っ張ってきたソールオリエンスとタスティエーラの2強対決と目され、どちらが二冠を達成するかだけが焦点とされている印象すらあった。

    実際、菊花賞の単勝オッズを見ると単勝5倍を切ったのはこの2頭だけ。それに続いたのはこの2頭以外で唯一、重賞2勝以上を挙げている馬であるサトノグランツ、4連勝でこの舞台に臨んできた上がり馬のドゥレッツァ、ダービーで3着に入ったハーツコンチェルトの3頭。

    ここまでが単勝オッズ10倍を切る人気を集め、あとは単勝オッズ20倍以上というメンバー構成で実質この5頭に絞られていた。

    この5頭の中で唯一、春のクラシックを走っていなかったのがドゥレッツァ。

    秋の中山開催でデビューして、2戦目でサトノグランツを破って初勝利を挙げるなど、クラシック戦線に乗ってもおかしくなかった逸材だったが、3勝目を挙げたのはダービーが終わった後の6月。クラシックに乗ることなく、ドゥレッツァの春は過ぎてしまった。

    しかし、春のドゥレッツァは堂々の2連勝。しかも山吹賞ではスタートで躓き、4戦目のホンコンJTではスタートで不利を受けるなど、大きなマイナスファクターを背負いながらそれをはねのけるかのようにして勝利して大器ぶりを見せていた。

    そして8月の新潟で行われた日本海Sではこれまでとは異なる後方からのレースとなったが、そこから伸びて勝利。初顔合わせとなった古馬すら寄せ付けずに4連勝を飾り、菊花賞へと駒を進めた。

    皐月賞馬ともダービー馬とも対戦経験がないどころか、重賞すらこれが初挑戦。それだけに4番人気は少々人気になり過ぎな感もあったが、パドックに現れたドゥレッツァはまさに威風堂々。

    GⅠ初挑戦の馬とは思えないほど落ち着き払った様子で周回し、適度に気合いが乗っているほど。GⅠの舞台を知らないからこそこうした振る舞いができたのかもしれない。

    そんなドゥレッツァの"怖いもの知らずさ"はレースにも表れた。スタート直後、内からパクスオトマニカ、リビアングラスの2頭が先頭を取ろうかというところに外から被せるようにして先頭に。

    鞍上のクリストフ・ルメールもレース後のインタビューで「馬が元気だったから」と振り返ったが、まさに走りたくて仕方がないという様子で先頭に立ってレースを引っ張る形に。ちなみにドゥレッツァが逃げの手を見せたのはこれが初めてのことである。

    意外な馬が逃げたことで前半1000mの通過タイムは60秒4と例年よりもやや早いペースで進んだせいか、それともソールオリエンスもタスティエーラも後ろに付けたせいか、他の馬たちはあまり派手に動くことはなかった。

    実際、2週目に入ったところでペースが一気に緩んだが、それでも馬群が大きく動くことはなく、本来逃げたかったパクスオトマニカとリビアングラスがドゥレッツァからハナを奪い返すのみにとどまった。

    やはりGⅠの舞台に飲まれたか――

    勝負所でポジションを下げたドゥレッツァを見たファンはそう感じたかもしれない。しかし、ドゥレッツァとルメールはここで息を入れることを選択。この判断が結果的に最後の伸びにつながったと言えるだろう。

    一方、ソールオリエンスとタスティエーラは向こう正面を過ぎてもまだ後方のまま。そのすぐ後ろには3番人気のサトノグランツも付けていたが、一向に動く気配がない。彼らが動いたのは3コーナーの下り。

    ダービー馬タスティエーラの外から皐月賞馬ソールオリエンスが仕掛ける形となり、最後の直線を迎えた。

    逃げるリビアングラスを先に捕まえたのは、なんとドゥレッツァだった。息を入れるためにあえて勝負所でポジションを下げたことがここで活きたか、余力十分で先頭に立ちルメールの右鞭に応えるようにグングンと伸びていく。

    そのドゥレッツァを捕まえるべく、猛追してきたのはタスティエーラ。先に抜け出してソールオリエンスの追撃を凌いだダービーとは異なり、前を行くドゥレッツァを捕まえるため初コンビとなったモレイラともに一心不乱に追いかける。

    外から来たのはソールオリエンスだった。思えば皐月賞もダービーも外から猛然と追いかけてきたことで結果を出してきた皐月賞馬は二冠を目指し、横山武史とともに伸びてきた。

    しかし、時すでに遅し。2頭が追い上げる前にルメールとドゥレッツァはすでにセーフティーリードを確保。

    さらにメンバー最速、後ろから迫る2頭をも上回る上がり3ハロン34秒6の末脚で伸びてそのままゴールへ。追いすがるタスティエーラとの差は3馬身半という決定的なものとなっていた。

    皐月賞馬ともダービー馬とも対戦がないままレースを迎え、臆することなくキャリア初の逃げを打つという大胆な走りで菊花賞を制したドゥレッツァ。初めて尽くしの一戦を終えて最後の一冠をつかみ取った彼は次のレース以降、他の馬から追いかけられる存在となるだろう。

    知らないことが幸いして勝利を掴んだ今回の菊花賞を終え、次のレースでは「知っていることで勝利を掴む」ことができるだろか――3歳クラシック最終戦を制して世代を収め、古馬へと立ち向かっていくドゥレッツァは今後、どんなレースを見せるのだろうか。


    ■文/福嶌弘

    第84回菊花賞(GI)着順
    10月22日(日)2回京都7日発走時刻:15時40分

    着順 馬名(性齢 騎手)人気
    1着 ドゥレッツァ(牡3 C.ルメール)4
    2着 タスティエーラ(牡3 J.モレイラ)2
    3着 ソールオリエンス(牡3 横山武史)1
    4着 リビアングラス(牡3 坂井瑠星)9
    5着 サヴォーナ(牡3 池添謙一)7
    6着 ハーツコンチェルト(牡3 松山弘平)5
    7着 マイネルラウレア(牡3 岩田望来)11
    8着 ナイトインロンドン(牡3 和田竜二)12
    9着 ファントムシーフ(牡3 武豊)6
    10着 サトノグランツ(牡3 川田将雅)3
    11着 ショウナンバシット(牡3 M.デムーロ)15
    12着 シーズンリッチ(牡3 角田大河)16
    13着 ウインオーディン(牡3 三浦皇成)13
    14着 トップナイフ(牡3 横山典弘)8
    15着 ノッキングポイント(牡3 北村宏司)10
    16着 ダノントルネード(牡3 西村淳也)14
    17着 パクスオトマニカ(牡3 田辺裕信)17

    ※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。