【ホープフルS みどころ】新時代を築く、皇帝の誕生なるか

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2023.12.28

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    シンエンペラー 写真:山根英一/アフロ

    ドウデュース&武豊の復活勝利で中山が沸いてからわずか4日後の12月28日、2023年の日本競馬最後のGⅠ、ホープフルSが行われる。

    阪神JF、朝日杯FSと2歳王者を決めるGⅠを阪神で開催された後に行われる3つ目の2歳GⅠ。

    舞台が中山競馬場の芝2000m戦だからということもあるが、ここ数年クラシック戦線への強いつながりを感じられるのは間違いない。

    振り返ればGⅡ時代の2016年。クリストフ・ルメールともにこのレースを制したレイデオロは翌年のダービーを制し、名伯楽・藤沢和雄を悲願のダービートレーナーへと導いた。

    GⅠに昇格して2年目だった2018年はサートゥルナーリアが無敗で制覇。このレースを制し、翌年の皐月賞も軽々と勝利して3歳牡馬クラシック戦線の主役を張った。

    そして2019年の勝ち馬コントレイルは、3歳になると父ディープインパクトと同じように牡馬三冠を制し、世界でも類を見ない父仔による無敗の三冠制覇を成し遂げてレジェンドとなった。

    直近10年で翌年のクラシックを制した馬を3頭も輩出するなど、まさに出世レースと言っても過言ではないホープフルS。2024年の競馬界を引っ張る存在をいち早く見つけるためにも見逃せない一戦となるだろう。

    そんな今年のホープフルSで主役を張ると目されているのは......超良血馬、シンエンペラーだ。

    2020年の凱旋門賞を制したソットサスの全弟という超良血で知られる彼は1歳時に行われたアルカナオーガストイヤリングセールで210万ユーロ(約2億9400万円)という高額で落札されて日本の地へ。

    フランス生まれの外国産馬としてデビューすることになった。

    そんな良血馬だけに大きな注目を集めて迎えた11月のデビュー戦では番手から流れに乗って直線で早めにスパート。迫りくる後続馬を突き放して2着馬に3馬身差を付けるという快勝で初陣を飾り、スケール感のある勝ちっぷりを見せつけた。

    そんなシンエンペラーが度肝を抜いたのは2戦目の京都2歳S。

    ややあおり気味にゲートを出たことが災いしてかデビュー戦とは異なり後方からのレースを余儀なくされるという厳しい展開となったが、直線に入るとジョアン・モレイラの鞭に応えるようにグイグイと伸びていき、さらには馬群を割って抜け出してくるという勝負根性のある所を見せて勝利。重賞初制覇を難なく成し遂げた。

    ここまでのレース振りを見ると、まだまだ荒っぽくて未完成なことは間違いない。しかしスケール感という点で言えば今年の2歳牡馬たちの中では屈指のモノを見せている。

    シンエンペラーの資質の高さを買ったオーナーからはこのレースの結果次第では国内のクラシックではなく、生まれ育った地であるフランスのクラシック戦線、ひいては凱旋門賞へと挑戦するプランもあるという。競馬界の新時代を築くであろう大器の走りに注目してみたい。

    コントレイル、イクイノックスなど近年の競馬界は青鹿毛の馬が主役を張るケースが目立つ。そんな漆黒の王者の系譜に名乗りを上げるのがゴンバデカーブースである。

    新種牡馬ブリックスアンドモルタル産駒として6月の東京開催でデビューすると、スタートから軽快に逃げて快勝。素軽いダッシュ力を存分に生かした走りを見せたが、4ヵ月後のサウジアラビアロイヤルCで彼は急成長した姿を見せてくれた。

    今年の2歳馬ではトップクラスの素質の持ち主と称されていたボンドガール、後に東京スポーツ杯2歳Sを制したシュトラウスらが揃った一戦でゴンバデカーブースは先手を取りに行かずに後方からのレースを選択。

    ゆったりとした流れで進んだレースは最後の直線で瞬発力勝負となったが、ここでゴンバデカーブースは抜群の切れ味を見せ、外からシュトラウスを捕まえて、先に抜け出していたボンドガールとのおい比べを制して勝利。

    気が付けばボンドガールには2馬身の差を付けて突き抜けていた。

    このレースの勝ち馬は後に名マイラーとなることが多かったが、この馬自身は距離が延びても大丈夫な部類。類まれな自在性を武器にして中山競馬場の2000m戦を克服できるなら、来春のクラシック制覇、ひいてはネクスト・イクイノックスの座も大きく近づいてくるはずだ。

    2年前の朝日杯FSをドウデュースで制し、JRAの平地GⅠ完全制覇にリーチを懸けた競馬界のレジェンド・武豊。取り逃しているホープフルSのタイトルをプレゼントするのはセンチュリボンドかもしれない。

    かつて武豊とともにダービーを制したキズナを父に持つ彼はデビュー戦こそ3着に敗れたが、2戦目の未勝利戦で悠々と逃げ切り勝ち。北海道での連戦を終えてから迎えた黄菊賞はスタートから番手に付けて流れに乗り、直線では早めに先頭へ。

    外からウールデュボヌールらが追いかけてきたが、それでも先頭を譲らず、半馬身の差を付けてゴール。並ばれても抜かせない勝負根性のある走りを見せてくれた。

    小回りコースで、コーナーを4つ回る中山芝2000mのコースレイアウトを考えると、ここまでの内容はまさにピッタリ。

    ドウデュースとともに復活勝利を挙げて勢いに乗る鞍上のエスコートに乗って、ここでも後続を凌ぎ切るだろうか。

    今年デビューした新種牡馬の中で好調な成績を収めているスワーヴリチャード。その娘であるレガレイラもこのレースにエントリーしている。

    菊花賞でも好走したドゥラドーレスの妹である彼女は夏の函館でデビューすると中団からキレのいい末脚を生かして快勝。

    2戦目となったアイビーSではスタートで出遅れるというアクシデントがあり3着に敗れたが、それでも上がり3ハロンの末脚はメンバー最速の32秒7。

    キレ味だけならば牡馬相手でも十分通用するだけのポテンシャルを秘めている。

    牝馬限定戦の阪神JFを敢えてスキップして、こちらを選んだという点でも楽しみだが......それ以上に牡馬相手にあの末脚が通用するかに注目が集まっている。

    出世レースと呼ばれる一戦を制し、2024年のクラシックの主役となるのは果たしてどの馬だろうか。


    ■文/福嶌弘

    第40回ホープフルステークス(GI)枠順
    2023年12月28日(木)5回中山9日 発走時刻:15時40分

    枠順 馬名(性齢 騎手名)
    1-1 ゴンバデカーブース(牡2 松山弘平)※出走取り消し
    1-2 ヴェロキラプトル(牡2 戸崎圭太)
    2-3 アンモシエラ(牝2 藤田菜七子)
    2-4 アドミラルシップ(牡2 H.ドイル)
    3-5 サンライズジパング(牡2 菅原明良)
    3-6 シンエンペラー(牡2 B.ムルザバエフ)
    4-7 テンエースワン(牡2 横山和生)
    4-8 インザモーメント(牡2 佐々木大輔)
    5-9 タリフライン(牡2 T.マーカンド)
    5-10 シリウスコルト(牡2 三浦皇成)
    6-11 ショウナンラプンタ(牡2 鮫島克駿)
    6-12 ディスペランツァ(牡2 L.モリス)
    7-13 レガレイラ(牝2 C.ルメール)
    7-14 ホルトバージ(牡2 今村聖奈)
    7-15 ウインマクシマム(牡2 松岡正海)
    8-16 センチュリボンド(牡2 武豊)
    8-17 サンライズアース(牡2 M.デムーロ)※出走取り消し
    8-18 ミスタージーティー(牡2 坂井瑠星)
    ※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。