【日本ダービー みどころ】無敗二冠制覇か!? 牝馬Vか!? すべてのホースマンたちの夢を叶えるのは
2024.5.25
ジャスティンミラノ (C)SANKEI
第91回日本ダービー見どころ
「すべてのホースマンの夢」――競馬の世界にいる者ならば、誰もが勝ちたいレースとして挙げるのが日本ダービー。
3歳の春という競走馬としてはまだ成長途上の時期に芝2400mを走るというのはいささか酷に感じるが、その試練を乗り越えた馬には競馬界の新たな主役になることが約束される。
例えば、2013年のダービーを制したキズナ。
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京都新聞杯で父ディープインパクトを彷彿とさせる末脚を繰り出して快勝し1番人気でこのレースを迎えると、直線では父以上に豪快な直線一気を決め、ゴール直前にエピファネイアを差し切った。キズナの圧倒的な末脚、そして父の背中を知る鞍上・武豊のコンビは大声援の中で迎え入れられた。
大声援と言えば、1990年のダービー馬、アイネスフウジンも忘れられない。
スタートから「勝つにはこれしかない」という覚悟の逃げを打つと、直線に立っても先頭に立って踏ん張り、メジロライアンらの追撃を封じて勝利。
ゴール後にスタンドからの退場を目指したアイネスフウジンと鞍上の中野栄治には19万6517人という大観衆の中からどこからともなく「ナ・カ・ノ! ナ・カ・ノ!!」と大歓声が沸き上がり、この光景は後に「ナカノコール」と称され、日本競馬史上に残る屈指の名場面である。
キズナ、アイネスフウジンをはじめ、歴代のダービー馬たちに共通するのは馬と人との絆の強さ。
3歳春という競走馬として未完成な時期だからこそ、1戦ごとに調教師や騎手、厩務員、スタッフから走り方を学んでいく。晴れの舞台でその成果を出すには人馬の間に強固な信頼関係が欠かせないのだ。
そんな人馬の絆を今年、最も感じさせるのは無敗の皐月賞馬、ジャスティンミラノだ。
マカヒキ、ワグネリアン、ドウデュースと現役最多となるダービー3勝を誇る友道康夫調教師の期待馬としてスタッフ総出でケアされてきた。
ジャスティンミラノはデビュー戦で番手なら流れに乗って抜け出すと、年明け緒戦の共同通信杯では早めに動いて2歳王者のジャンタルマンタルを破って重賞初制覇。
調教パートナーとして毎回のように追い切りに騎乗していた藤岡康太も共同通信杯前に「3歳の勢力図を変えるかも」と高い期待を寄せていた。
しかし皐月賞の4日前、藤岡康太は落馬事故の影響で35歳という短い生涯を閉じた。
ジャスティンミラノにとって欠かせない調教パートナーが欠けたことが皐月賞にどう影響するかが不安視されたが、その皐月賞で彼は最高の走りを見せて快勝。3戦無敗で皐月賞馬となった。
皐月賞のレース後、関係者たちは口々に「康太のおかげ」「康太に後押ししてもらった」と涙ながらに語ったあの日から1ヶ月半。今度は厩舎一丸となり、無敗の二冠制覇へ挑む。
そんなジャスティンミラノに皐月賞であと一歩というところまで迫ったのが、コスモキュランダである。
血統的にはやや地味な印象がぬぐえない彼は初勝利まで4戦を費やしたが、3歳になって急成長。
6番人気で迎えた弥生賞ディープインパクト記念では3角からマクってシンエンペラーらを封じて勝利してクラシック戦線に名乗りを上げると、7番人気だった皐月賞でも中団からよく伸びて2着。勝ったジャスティンミラノとはタイム差なしの接戦に持ち込んだ。
叩き上げて叩き上げて、3歳戦線のトップクラスに上り詰めたコスモキュランダには管理する加藤士津八調教師、そして士津八の父である加藤和宏調教師の二人が熱視線を送っている。
「スタッフみんなの得意分野を引き出す」ことをモットーとした加藤士津八調教師によって1戦1戦コツコツと経験を積んだことがコスモキュランダの強みとなった。ダービーは新冠の名門牧場、ビッグレッドファームにとっても悲願のレース。コスモキュランダは大願を果たすことができるだろうか。
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誰もが勝ちたいと願うレースである日本ダービー。
それは69歳になった国枝栄調教師にとっても同じこと。定年まであと2年に迫った東の名伯楽は今年、シックスペンスをダービーの舞台に送り出した。
デビューから堂々の3連勝。3歳緒戦のスプリングSは重賞初挑戦となったが、スタートからスタートから流れに乗って直線では早めにスパートを打って快勝。超スローな流れにもキッチリと対応して、上がり3ハロン最速となる時計を叩き出した。
皐月賞でも有力候補とされたが、体調を優先してクラシック1冠目をパスすることに。
皐月賞を使わなかったというアクシデントはあったが、それが却ってこの馬の成長を促すことになった。
もともと頭のいい馬で生まれ持ったレースセンスの高さは厩舎スタッフたちが太鼓判を押すほど。皐月賞出走馬をはじめ、世代のトップクラスの馬たちとはほとんど対戦していないため、未知の魅力がある点でもダークホースとしての資質は十分。
アーモンドアイ、アパパネらを管理した東の名伯楽が悲願のダービートレーナーの称号を掴むだろうか。
レガレイラ 写真:伊藤 康夫/アフロ
最後に17年ぶりとなる牝馬によるダービー制覇をもくろむレガレイラに注目したい。
2歳暮れのホープフルS。スタートで出遅れながらも直線一気の豪脚を見せて見事に勝利。シンエンペラーらを下してゴールを駆け抜けたその姿には輝かしい未来が待っているように感じられた。
しかし、牡馬クラシックへと敢えて挑んだ皐月賞は1番人気に支持されるも、直線で伸びずに6着完敗。
主戦騎手だったクリストフ・ルメールが落馬負傷で療養中だったというハンディがあったが、それにしても見どころがないレースとなってしまった。
しかし今回は直線が長い東京にコースが替わり、さらにルメールも戻ってくる。偉大なる先輩であるイクイノックスらを輩出した木村哲也調教師は先週のオークスでも管理馬チェルヴィニアがルメールとのコンビで快勝。
先週牝馬の頂点に立ったメンバーでダービーの頂を目指す。
すべてのホースマンにとっての夢である日本ダービー。そんな大きな夢を手にするのは果たしてどの馬だろうか。
■文/福嶌弘