「努力・忍耐・根性」昭和の魂を令和へつなぐ大学野球の名将・岩井美樹

野球

2025.1.31

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    「令和でも語りたい昭和な人たち」#5~国際武道大学野球部・岩井美樹監督~

    昨年ほど「記録」に注目が集まった年はなかったかもしれない。そう、大谷翔平である。

    「50-50」(50本塁打50盗塁)はじめ、MLB日本語公式サイトによると、昨季大谷が達成したメジャー史上初の記録は6つもある。

    記録というものは、積み重ねによるものが圧倒的に多い。

    積み重ねと言えば、日本の大学球界でダントツの通算753勝(2位は近大元監督・松田博明氏=故人=の618勝)を積み上げ、まだ更新を続けている監督がいる。

    国際武道大学・岩井美樹氏(69)である。

    銚子商3年時、73年夏の甲子園で江川卓投手擁する作新学院を雨中の延長戦で破り、8強入り。

    東海大では原辰徳(前巨人監督)の3学年先輩にあたり、2年春に首都大学リーグで首位打者を獲得。

    監督として東海大で8回、国際武道大で40回のリーグ優勝を誇る。義父が元巨人監督の故藤田元司氏という人物だ。

    筆者は24歳の駆け出し記者時代にロングインタビューを行い、3日間に渡り大きく紙面展開したことがある。

    藤田氏の長女・結花さんとの結婚を目前に控え、デスク命令でおもむろに取材を申し込んだ。

    「結婚に関しての質問はノーコメントだからな」と言いながら、5時間も取材に付き合ってくれ、とても丁寧に話してもらった記憶がある。

    先日スクラップを見返すと、岩井さんがこんなコメントをしていたから思わず吹き出してしまった。

    「藤田家へのあいさつ?その時が藤田さんとは初対面。1時間くらい雑談した後、"初対面で申し訳ありませんが、お嬢さんを頂けないでしょうか"ってソファーを外して土下座して頼んだ。

    すると藤田さんは"ひとつ、よろしくお願いします"と了解してくれた。でも、ちょっと間があったけど......」。

    そのインタビューから40年余りが過ぎた。

    岩井さんは今年4月に70歳となり古希を迎える。

    3年ほど前から坐骨神経痛に苦しみ杖が手放せない状態。

    糖尿病で長期入院したこともある。

    もちろんこの間もベンチで采配を振るい続けており、野球に対する熱き思いは40年前と何も変わっていない。

    筆者は昨年5月、妻、友人夫妻と千葉・勝浦に旅行した際、国際武道大グラウンド近くで勝浦名物タンタンメンに舌鼓を打っていた。

    グラウンドに選手がいなかったため監督もいないだろうと思い、「また、日を改めて伺います」とメールした瞬間に岩井さんから電話が入り、監督室にお邪魔することになった。

    36畳もある広い監督室にまずびっくり。岩井さんは昔のイメージからするとかなりスリムになった印象だったが、歯切れのいい語り口は昔のままだ。

    しばらく雑談して失礼しようとすると、「これ持ってって」と手渡されたのが、「努力 忍耐 根性」の文字が入ったタンブラーだった。

    昭和ど真ん中世代の筆者ですら、「何かすごく昭和ですね」と思わず口走ってしまったほど。

    一方で、すごく新鮮に感じられた。「いいんだよ、おれは昭和なんだから」。岩井さんは笑顔でそう言うと続けた。

    「東海大から移ってきてからだね。当時のここ(国際武道大)の野球部には、これがまったくなかった。

    努力、忍耐、根性が必要。おれの座右の銘だ。ミーティングでも言い続けたよ」。

    当時まだ千葉大学リーグの2部が定位置だったチームは、この3つの言葉で生まれ変わり今や優勝40回の常勝軍団へと変貌を遂げた。

    「昭和」だけれども「令和」でも通用する。「努力 忍耐 根性」は普遍的な言葉。改めてその意味を調べてみると......

     努力―ある目的のために力を尽くして励むこと。
     忍耐―苦しさ、辛さ、悲しさなどをこらえること。
     根性―物事を最後までやり通す精神。

    語感はすごく「昭和」だけれども、いつの時代にも通用し必要な言葉であることがわかる。

    話を戻そう。岩井さんの監督としての勝利数記録はどこまで伸びるのか。

    監督になって45年目のシーズンとなる25年度は指揮を執ることが決まっている。

    それ以降は大学と話し合っていくことになる、という。

    年間の勝利数は、春秋のリーグ戦でそれぞれ最大10勝なので合計で20勝となる。

    次の区切りとなる800勝には、最速でも3年が必要だ

    常務理事でもあり、野球部監督、教授の「三刀流」を貫く岩井さんが、まだ手にしていないものが実はある。

    「大学日本一」の称号である。2度の準優勝はあるが、頂点には手が届いていない。大学野球選手権の話になると、大きな目をさらに見開いた。

    「大学選手権、そこは、やっぱりな」。

    大学日本一、そして800勝へ。体調管理を万全にして頂き、「努力 忍耐 根性」でまだまだグラウンドに立ち続けてもらいたい。


    テレ東リアライブ編集部 E.T(新聞、テレビでスポーツ現場30年のロートル)