【フェブラリーS】JRA平地GI初制覇の快挙!R.キングが巻き起こしたダート界の新風 2日前までサウジアラビアで騎乗

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国内の上半期ダート最強馬決定戦 第42回フェブラリーステークス(GI)が23日に東京競馬場で行われ、R.キング騎手騎乗の2番人気コスタノヴァ(牡5)が勝利した。勝ちタイムは1分35秒5。
レイチェル・キング騎手(34)は女性騎手としてJRA平地GI初制覇の快挙を達成した。
3/4馬身差の2着に5番人気のサンライズジパング(牡4)、3着に1番人気のミッキーファイト(牡4)が入った。

第42回フェブラリーS回顧
今年のフェブラリーSのコスタノヴァが先頭に立ってゴールを駆け抜けた瞬間、風が吹いたように感じた。
それはまるでダート界に現れた、新たな逸材を祝うかのような風だった。
日本時間23日の午前2時40分ごろ、サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場ではサウジCが開催され、フォーエバーヤングが香港のロマンティックウォリアーを刺し返して勝利。
史上2頭目となる日本馬によるサウジC制覇という快挙を成し遂げた。
日本最強のダート馬が世界最高賞金を誇るレースを制したことは早朝から競馬ファンの間で大きな話題となった。
その余韻が冷めやらぬまま行われた今年のフェブラリーS。
戦前のメンバーを振り返ると例年以上に地味な顔ぶれとなったのはぬぐえない。昨年の覇者ペプチドナイルをはじめとしたGIホースは5頭いるが、当日の人気はどれも4番人気以下。
ファンは旧来の実績馬よりも素質豊かな新たなダート王候補に期待を寄せていた。
その1頭となったのが、コスタノヴァだった。
前走はフェブラリーSに最も直結するステップレースとして知られる根岸Sに出走すると、直線で力強く抜け出して2着馬に4馬身もの差を付ける完勝。
得意の東京ダートで5戦無敗という素晴らしい成績を残して堂々の重賞初制覇を飾ってみせた。
そんな馬だけにこのフェブラリーSでも有力視されたが、鞍上の横山武史はライバルであるエンペラーワケアに騎乗となり、新たにレイチェル・キングをパートナーに迎え入れた。
豪腕でグイグイと押す騎乗スタイルは女性とは思えない力強さを誇るが、いかんせん初のタッグ。
加えてコスタノヴァは中2週という臨戦過程も初めてだったためか、当日は単勝2番人気の支持を集めたが、オッズは4.3倍止まりのまま。最後まで人気が入れ替わることはなかった。
曇り空の中で行われたパドック、そして返し馬ともコスタノヴァは頼りなげに歩いている姿が印象に残った。
馬体は十分に仕上がり、状態の良さは感じさせるがこの日の1番人気馬ミッキーファイトのような堂々とした様子とは違う、やや急いでいるかのような様子だった。
もしかすると、この時の急いだような歩様はあと数十分後にやってくる歓喜の瞬間が待ち遠しかったのかもしれない。
ゲートが開いた瞬間、少々立ち遅れた形でのスタートとなったコスタノヴァだったが、キングの好判断もありすぐに先団に付けていく形に。
ミトノオー、ウィリアムバローズ、そしてサンデーファンデーらがハナを争う様子をエンペラーワケアとともに5~6番手という位置取りを取っていった。
前半3ハロンの時計が35秒台というここ5年で最もゆったりとした流れで進む馬群の中でコスタノヴァとキングは折り合いを付けていった。
3コーナーを過ぎ、馬群は4コーナーを回って最後の直線へ。先行していた3頭が残り400mを過ぎたところで苦しくなり失速する中で待っていましたとばかりに動いたのがコスタノヴァとキングだった。
まるで根岸Sを彷彿とさせるピッチの速い走法で、すぐにトップスピードに乗っていったコスタノヴァはキングの左鞭に応えるかのように残り200mを過ぎたところで先頭に立ち、完全に1頭で抜け出した。
ゴールまで残り200m。これまで3度東京のダート1600mを勝利しているコスタノヴァにとってもこの1ハロンは最後の踏ん張りどころ。
早めに抜け出したことで後続馬たちはこぞってキングとコスタノヴァを目がけて追ってきているのだから。
内にはサンライズジパングとエンペラーワケア、そして外からは昨年の覇者であるペプチドナイルとミッキーファイト。4頭がコスタノヴァを捕まえにかかる。
ゴールまであと100m。ここでコスタノヴァの鞍上、キングの左鞭が炸裂する。男性騎手顔負けの強い追いっぷりで知られる彼女の剛腕ぶりと強烈な左鞭。
これが戦前から「1400mがベスト」と評されていたコスタノヴァにもう1ハロン分の持続力を与え、ライバルたちの追撃を凌ぐものとなった。
そうして迎えたゴール。コスタノヴァは内から迫ってきたサンライズジパングに3/4馬身差を付けて先頭でゴール板を駆け抜けた。
その瞬間、東京競馬場は新たなダート王の誕生に歓喜の声を挙げ、女性騎手としてJRA史上初となる平地GⅠを制したキングを祝福する声であふれかえった。
キングはほんの2日前までサウジアラビアで騎乗し、帰国早々の今日も10鞍騎乗するという強行軍での臨戦過程。
そのタフさにも驚かされるが、場内インタビューで彼女はパートナーとなったコスタノヴァ、そして関係者たちをこう称えた。
「乗るのは初めての馬でしたが、調教師やスタッフ、以前乗ったジョッキーといろんな方にアドバイスをもらって、素晴らしい勝ち方ができた。これからこの馬はもっとステップアップすることができると思う」
キングの言葉通り、さらにステップアップしていったらコスタノヴァはいったい、どうなるのだろうか......その答えはこれからのレースを見ればわかるはず。ダート界にまた楽しみな逸材が現れた。
■文/福嶌弘