サッカー日本代表 W杯最終予選6月のラスト2試合で見えたもの【サッカー W杯最終予選】
久保建英 (c)SANKEI
来年6月に開幕するサッカーワールドカップ(W杯)のアジア最終予選が6月10日に終了した。
8大会連続での本大会出場を決めた日本代表は、大阪で行われた最終戦でインドネシア代表に6-0と快勝して白星でフィニッシュした。
最終予選通算成績は7勝2分け1敗の勝ち点23でC組1位。
10試合であげた30得点は最終予選出場全18チームで最多、3失点は同じく最小だった。
W杯優勝公言「あともう1つ超えれば決勝まで行ける。優勝できる」森保監督が語った日本代表の未来図
日本は3月20日のバーレーン戦の勝利で最速での突破を決めたことで、6月のオーストラリアとインドネシアとの予選残り2試合で本大会へ向けた準備に移行。
選手層アップを図って、6月に招集したメンバーの約半分を常連組から入れ替え、初招集7人や復帰組などで新たな戦力を試しながら戦った。
結果は、5日のアウェイでのオーストラリア戦は、突破をかけて勝ち点獲得に懸命の相手に終了直前の失点で0-1と敗れ、今予選初黒星を喫した。
だが、10日のホームでのインドネシア戦では、多彩な攻撃で前後半で3ゴールずつを挙げて白星を得た。

久保建英(c)SANKEI
インドネシア戦では鎌田大地(クリスタル・パレス)が前半半ばまでに2ゴールを挙げ、久保建英(レアル・ソシエダ)と町野修斗(キール)がそれぞれ1ゴール2アシストをマーク。
新人では先発で三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)と鈴木淳之介(湘南)、交代で佐野航大(ナイメヘン)と佐藤龍之介(岡山)が代表初キャップを獲得した。
この2試合で明暗が分かれた背景は何か。FIFAランキングでオーストラリアは26位で15位の日本にC組で最も近い。
インドネシアはオランダ出身の帰化選手を多く起用して強化を進めるが123位と依然として開きもある。
予選突破をかけて勝ち点を落とせなかったオーストラリアに対して、インドネシアは5日の中国戦に勝って、バーレーンがサウジアラビアに敗れたことで4位位以内確定でプレーオフ進出を決めていた。
加えて、日本は2戦目までにチームで共有した時間は1戦目までよりも当然ながら多く、1戦目の反省を活かして戦えるメリットもあった。
それが表れていたのが2戦連続で先発出場した佐野海舟(マインツ)のプレーで、「考えすぎた部分もあるし、安全なプレーが多かった」という第1戦よりも積極的に前線に上がってシュートを狙うなど、攻撃に絡む場面が増えていた。
同じく2戦連続で先発した常連組の鎌田の動きも然りで、左ウィングに入った三戸と3バックの左を務めた鈴木淳之介は代表デビューの2人をはじめ、周囲との連係は滑らかだった。
それには中央を固めた陣容の違いもあるだろう。
それまでの予選を戦ってきた顔ぶれの先発は、1戦目では鎌田とDF町田浩樹(サンジロワーズ)のみ。
それ以外は初代表3人を含めて9人が初先発という編成で、守備の徹底はできても、守りをしっかり固めた相手を崩すだけの連係構築には至らなかった。
だがインドネシア戦では鎌田、久保、遠藤航(リバプール)の主力組3人が中央を固め、町野が前線で効果的にボールを収めた。
チームに軸ができたことで、三戸や復帰組の森下龍矢(レギア・ワルシャワ)、佐野海舟も迷いなく思い切りのよいプレーを見せた。
初顔合わせとなった鈴木淳之介、瀬古歩夢(グラスホッパー)、高井幸大(川崎)の最終ライン3枚も安定したプレーで相手の裏への抜け出しなどにうまく対応した。
三戸はスピードを活かした突破と正確なクロスで鎌田の前半15分の先制点を演出。
左サイドでのパス交換から三戸へ展開したプレーの起点となったのが、鈴木からのパスだった。
森下は後半に入って55分に町野の左クロスに合わせて代表初ゴールで、チーム4点目をもたらした。
後半には佐野航大と佐藤もピッチに立って代表初キャップを獲得。
第1戦で先発した俵積田晃太(FC東京)は78分に交代出場すると、その2分後に左サイドで仕掛けて細谷真大(柏)のゴールに絡んだ。
森保一 (c)SANKEI
新戦力起用の指揮官の評価
日本はシュート16本で6得点の攻撃と相手のシュートをゼロに抑える守備で、3試合ぶりの勝利で予選の戦いを終えた。
鎌田は、ホームとアウェイの違いや対戦相手のクオリティの差はあるとしながらも、「チームとして狙っていこうということを、今日は誰が出ても徹底的にやれていた」と手ごたえを示した。
9月以降には強化試合が予定されているが、本大会へ向けたチームの底上げを狙って、勝ち点がかかる公式戦での戦力チェックは今回がラストチャンスだった。
日本代表の森保一監督は、招集した27選手のうちGK鈴木彩艶(パルマ)、長友佑都(FC東京)、ケガで途中離脱した熊坂光希(柏)以外の全選手を2試合で起用して、「『こんなにできるんだ』という選手と、『まだまだ力をつけてもらわないと』という選手がいた」と評価した。
だが一方で指揮官は、「若い選手たちは一つの経験で一気に変わることがある」と指摘。ここから大きく"化ける"ことへの期待も示した。
7月には東アジア4か国で対戦するE-1選手権が韓国で開催され、FIFA国際マッチデー外の大会に日本は国内組中心のメンバーでの出場が見込まれている。
久保のリーダーシップ
新戦力以外では、久保建英(レアル・ソシエダ)も新たな側面を披露した一人と言えるだろう。
第2戦では代表初のゲームキャプテンという新たな役割を担って先発。
「信頼に応えたい」と約70分間のプレーで攻守に躍動し、前半19分には自身の左CKを起点にサイドから回り込んで町野の落としを受けて右足で決めて2-0 とした。
後半、58分にチーム5点目となった町野のゴールの場面では、ペナルティエリアに走り込んで相手DFの裏をつく町野の足元へ浮き球のパスをピタリと合わせる絶妙なアシストを披露した。
試合後、久保は「(町野選手が)ずっといい動きをして起点にもなってくれていた。彼もゴールが欲しかったと思うので、いいパスを出せてよかった」と話した。
守備でも相手にプレッシャーをかけて攻撃の芽を摘み、ボール奪取からの素早い切り替えで攻撃に転じる場面を何度も作ったが、「自分が遠藤選手になったつもりで切り替えのところを速くやろうと意識した」と言った。
6月4日に24歳になった久保は、「10番を背負った試合で結果を残すことができてほっとしている。よかった」と話し、「みんな代表キャリアは浅くても問題なくて、試合も圧倒した流れだった。
いい選手がたくさんいたので僕が気負って頑張ってというのはなくて、みんなに助けられた」と話した。
森保一/久保建英(c)SANKEI
森保監督は、「久保選手には同世代のリーダーとしての姿勢を期待していたので、キャプテンマークを巻いてもらった」と話したが、リーダーシップという新たな側面を見せて攻守に奮闘した久保の存在感は、今後へ大きなプラスとなるのは言うまでもない。
ただ、日本はオーストラリアには1分け1敗(1-1、0-1)。FIFAランク58位のサウジアラビアには昨年10月のアウェイは勝った(2-0)ものの、今年3月のホーム戦では0-0と引き分けた。
この事実をどう捉えるか。
日本は9月にはアメリカで、来年の大会のホスト国であるアメリカとメキシコとの対戦する。
その後も10月のパラグアイ代表戦を含めて11月までに強豪国との対戦が見込まれている。
久保は、「最終予選に勝ったからといって、世界との距離が縮まったかどうかは分からない。そこは9月からのシリーズで推し量ってみたい」と語り、今後予定されているW杯に出場が決まっている相手との対戦で、日本が組しづらい相手だと示すつもりだ。
カナダ、アメリカ、メキシコで開催される2026年W杯は来年6月11日に開幕する。
なお、日本のほかにはC組からオーストラリアが2位で突破し、A組とB組からはイラン、ウズベキスタン、韓国、ヨルダンが本大会出場を決めた。
ウズベキスタンとヨルダンは初出場だ。
C組3位のサウジアラビアは4位のインドネシア、UAE、カタール、イラク、オマーンとともに今年10月のプレーオフで残り2枠を競う。
3チームずつ2グループで残り2枠をかけて戦い、各組1位が突破できる。
2位チームは互いに対戦して勝者が欧州以外の大陸が集まるプレーオフ大会に進み、残り1枠の獲得を目指す。
取材・文:木ノ原句望
<日本代表 招集メンバー>
【GK】
大迫敬介(サンフレッチェ広島)
谷晃生(FC町田ゼルビア)
鈴木彩艶(パルマ・カルチョ/イタリア)
【DF】
長友佑都(FC東京)
渡辺剛 (KAAヘント/ベルギー)
町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ/ベルギー)
瀬古歩夢(グラスホッパーCZ/スイス)
関根大輝(スタッド・ランス/フランス)
鈴木淳之介(湘南ベルマーレ)
高井幸大(川崎フロンターレ)
【MF/FW】
遠藤航(リバプールFC/イングランド)
大橋祐紀(ブラックバーン・ローヴァーズ/イングランド)
鎌田大地(クリスタル・パレス/イングランド)
森下龍矢(レギア・ワルシャワ/ポーランド)
町野修斗(ホルシュタイン・キール/ドイツ)
中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)
佐野海舟(マインツ05/ドイツ)
平河悠(ブリストル・シティ/イングランド)
熊坂光希(柏レイソル)
久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)
細谷真大(柏レイソル)
鈴木唯人(ブレンビーIF/デンマーク)
藤田譲瑠チマ(シントトロイデンVV/ベルギー)
三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム/オランダ)
佐野航大(NECナイメヘン/オランダ)
俵積田晃太(FC東京)
佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)
<日本代表 W杯最終予選 試合日程>
2024年9月5日(木)
第1節:日本 7-0 中国
2024年9月10日(火)
第2節:バーレーン 0-5 日本
2024年10月10日(木)
第3節:サウジアラビア 0-2 日本
2024年10月15日(火)
第4節:日本 1-1 オーストラリア
2024年11月15日(金)
第5節:インドネシア 0-4 日本
2024年11月19日(火)
第6節:中国 1-3 日本
2025年3月20日(木)
第7節:日本 2-0 バーレーン
2025年3月25日(火)
第8節:日本 0-0 サウジアラビア
2025年6月5日(木)
第9節:オーストラリア 1-0 日本
2025年6月10日(火)
第10節:日本 6-0 インドネシア