【サッカー日本代表】サッカー日本代表、アメリカ戦完敗で見えた課題

サッカー

2025.9.13


サッカー日本代表 PHOTO:Getty Images

サッカー日本代表が9月の北米遠征でメキシコ代表、アメリカ代表と強化試合で対戦し、来年のワールドカップ(W杯)北中米大会へ向けてアジアレベルでは見えなかった課題が露呈した。

日本は9月9日(日本時価10日)にオハイオ州コロンバスでアメリカ代表に0-2で敗れ、6日(同7日)にカリフォルニア州オークランドで行ったメキシコ代表(0-0)との来年のW杯ホスト国との2連戦を1分け1敗で終えた。

主力組で戦ったメキシコ戦では積極的な守備が機能して主導権を握り、無得点ながらも手ごたえのある戦いぶりだったが、中2日で先発メンバーを総入れ替えして臨んだアメリカ戦では、説得力のあるパフォーマンスとはいえず、主力組との力量差が目立つ結果となった。

メキシコ戦で好ゲームを演じる土台となった守備も、選手が入れ替わったアメリカ戦では中盤でのボールロストや連係ミスが続き、相手のプレッシャーを受けて後ろに下げる場面も多かった。

それは失点につながり、前半19分に日本のボールロストから展開され、最後はDFマクシミリアン・アーフステン(コロンバス・クルー)の左クロスに、ファーサイドに入ってきたFWアレックス・センデハス(クラブ・アメリカ)が左ボレーで合わせて先制を許した。

その後はアメリカに主導権を握られた。アメリカは6日(日本時間7日)の韓国戦(0-2)の後半の戦い方に手ごたえを得た3バックを採用。

準優勝した7月のゴールドカップを戦った国内組にMFクリスチャン・プリシッチ(ミラン)やFWフォラリン・バログン(モナコ)らを加えた編成で、昨年9月から指揮を執るマウリシオ・ポチェッティーノ監督の下、よく連動したプレーを披露した。

日本は後半、システムを3バックから4バックに変更して立て直しを試みたが、相手との競り合いに勝てず、後半19分にFKを起点にプリシッチに運ばれ、バログンに追加点を決められた。

その後も相手に得点機を作られてゴールを脅かされる展開が続き、GK大迫敬介(広島)の働きがなければ、さらに失点を重ねていてもおかしくなかった。


瀬古歩夢 (C)SANKEI

慣れない組み合わせ

この試合では、本来はサイドバックが本職の長友佑都(F東京)と関根大樹(スタッド・ランス)が3バックの左右を務めた。

4バックにした後は、前半で足を痛めた長友に代わって本来はセンターバックの瀬古歩夢(ル・アーブル)が左サイドバックに入るなど、DF陣にケガ人が続出していた事情を受けて、慣れないポジションでの急造最終ラインになったという背景もあった。

伊東純也(ヘンク)は「守備がはまらず、難しい試合になった。相手のシャドーとボランチが落ちてきて、そこをうまく捕まえられなかった」とコメント。

また、暫く3バック主流で戦ってきた中での4バックへの切り換えに「昔からやっていたフォーメーションだが、久々にやったというのもあって、少し守備に難しさはあったと思う」と振り返った。

加えて、メキシコ戦を戦った西海岸から東部への移動で約5時間の長旅と3時間の時差が選手の調整に影響した可能性は否定できない。

個人差はあるものの、一般に西から東への移動では1日を失う感覚が強く、時差解消にも時間がかかる。中2日の試合での負担となれば小さくないだろう。

とはいえ、2失点の場面はどちらも相手としっかり競り合えていない。1失点目は長友がペナルティエリア内で相手に寄せきれず、2失点目はボールを運ぶプリシッチに佐野海舟(マインツ)があっさりかわされた。

スペースや自由を与えればアメリカはFIFAランクで15位(日本は17位)。きっちり決める力はある。来年のW杯ホスト国の一つとして、ホームでの連敗阻止への思いも強く感じられた。


森保一監督 (C)SANKEI

世界との対戦で判明

日本代表の森保一監督は、W杯予選を戦いながら、本大会を睨んで選手層の充実とレベルアップを図ってきており、「チームとして誰と組んでも機能する、誰と組んでも勝てる」ことを求めてきた。

今回も総入れ替えとなった先発メンバーに、「個の特長と周りの選手とのつながりを見せてほしい」と指揮官は期待を示していた。

しかし、対戦相手がアジアから世界へシフトした今回、主力とそれ以外でのクオリティ差が露呈。本大会の連戦を遜色なく戦える選手層を得ているとは言い難い結果となった。

1失点目について長友は「あそこで寄せられないと本番でも難しくなる」と反省。

「(チームとして)W杯優勝を掲げている以上、全員が同じレベルで戦わないといけないし、個々が上回っていかないと優勝はできないと改めて痛感させられた。

個人もそのレベルに持っていかないと、正直、話にならない。もう1回、自分を見つけ直して厳しくやっていく」と前を向いた。

一方、アメリカ戦の後半15分過ぎから途中出場した鎌田は、失点後の立て直しについて「ピッチ内での声掛け」に言及。

「普段出ている選手たちは話し合ってできたと思うが、今日はそういう部分ができていなかった」と指摘した。


伊東純也 PHOTO:Getty Images

得点力をあげる

得点力についても、日本は今回の2連戦を無得点に終わった。本大会では少ないチャンスに決める力がなければ勝利を呼び込めず、ノックアウトステージ進出も危うくなる。

メキシコ戦では試合後にシュート回数の少なさを指摘する声が上がった。アメリカ戦でも多くはないが、日本にチャンスがないわけではなかった。

前半9分に伊東のクロスを相手GKが弾いたところを、ゴール前に詰めた前田大然(セルティック)が右足で合わせ、16分には望月ヘンリー海輝(町田)の右サイドからの折り返しに小川航基(ナイメヘン)が頭で合わせた。

最大の決定機は前半35分、左サイドで相手パスをインタセプトした鈴木唯人(フライブルク)のスルーパスに、伊東がゴール前に走り込んで左足を合わせた。だが相手GKに阻止されるなど、ゴールを割ることはできなかった。

伊東は「自分が前半の決定機に決めていれば、また違った結果になったと思う」と悔しがった。

鎌田は「チームとして、奪ったあとにもっと早く仕掛けるところを意識して、簡単にシュートを打つ、クロスを上げるなど、もっとやりきることも大事」と話した。

主力組とそれ以外の選手との力量差や選手層の未熟さ、得点力不足など、約2年ぶりのアジア勢以外との対戦で判明した。その収穫は大きい。

2022年カタールW杯ではグループステージ2戦目のコスタリカ戦でメンバーを大幅に入れ替えて臨み、選手層のギャップが出て0-1で敗れた。

2022年大会は、コロナ禍の影響を受けてアジア予選終了からあまり準備期間がないまま大会に臨んでいた。今回は本大会開幕まで約9カ月ある。この段階で隠れていた課題が見えたのは大きな収穫だ。

日本代表は次戦、10月10日にパラグアイ代表と大阪・吹田で、14日には東京・味の素スタジアムでブラジル代表と強化試合に臨む。

11月18日には国立競技場でボリビア代表との対戦も決まった。本大会へ向けた課題のチェックポイントとして良い機会になりそうだ。

文:木ノ原句望