【大阪杯】クロワデュノールが優勝!最強世代のダービー馬が新たな一面を見せて現役最強の座に

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2026.4.8

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    北村友一騎手騎乗の大阪杯をクロワデュノールが制す(c)SANKEI

    「差せ!」「差してくれぇ!!」―― 今年の大阪杯の直線、ゴールまで残り100mのところでクロワデュノールに対して初めてこんな掛け声をかけた。

    というのも、クロワデュノールが直線で前にいなかったことなんてほとんどなかったからだ。

    デビュー当時から、賢い馬という印象が強かった。スタートしてすぐに番手に付けていくと、前を行く馬を見ながら直線では他馬を尻目に一足早めにスパートをかけてそのまま押し切るというレーススタイルはまさに優等生そのもの。

    早めに抜け出すことで時に目標とされ、皐月賞では思わぬ敗戦を喫したが、続くダービーでは同じ轍は踏まないとばかりに早めに先頭に立ってマスカレードボールらの追撃を凌いで、クロワデュノールは世代の頂点に君臨した。

    その年の秋、マスカレードボールが天皇賞(秋)を勝利し、ミュージアムマイルは有馬記念を制した。いつしか25年のクラシック世代は最強世代と称されるようになっていた。

    そんな25年クラシック世代のダービー馬、クロワデュノールはというと、凱旋門賞を目指して渡仏。

    前哨戦こそ制したが、本番の凱旋門賞では馬場に脚を取られて14着。先頭に立ったまま最後の直線に入ったが、ズルズルと下がっていく姿はあまりにショッキングなものだった。

    帰国緒戦はジャパンC。1週前追い切り後に出走を決めたように体調は決して万全というわけではなかったが、それでも直線ではいったん先頭に立った上で4着。

    敗れた2戦とも、クロワデュノールは直線で先頭に立って見せ場を作った。その姿はまるでクラスを代表して先頭を行く学級委員のよう。

    生まれ持ってのレースセンスの良さが武器なのは間違いないが、この2戦はそれが仇になったとも言える。

    最強世代のダービー馬として、4歳緒戦のレースを迎えるに辺り、クロワデュノールに求められたのはただ勝つだけではなく、これまでとは一味違う、成長した姿を大勢のファンの前で披露することだったようにも思う。

    その観点で見れば、大阪杯のレース振りは完璧だった。

    1つ上のダービー馬、ダノンデサイルに阪神では3戦全勝のグランプリホース・メイショウタバルらに加え、前哨戦を快勝した同世代のショウヘイに6歳の古豪レーベンスティールら実力馬が揃ったパドックをクロワデュノールは堂々と闊歩。

    表示された馬体重は522キロ。昨秋のジャパンCと比較するとプラス10キロとなる。

    だが、太さは全く見られない。むしろどこかひ弱に映っていた後肢の筋肉が増したことで力強いフットワークに。漆黒の馬体はまるで筋肉の塊のような存在感を放っていた。

    桜がほぼ満開に咲いた阪神競馬場は青空が広がり、緑のターフが映えるという美しさ。

    その中で各馬がゲートへ入り、最後には大外枠のクロワデュノールがゲートイン。暴れることも過度にイレ込むこともなく、悠然とゲートが開く瞬間を待っているようだった。

    そうして始まった今年の大阪杯。出走15頭がキレイなスタートを切る中で先頭を奪いに行ったのは武豊とメイショウタバルだった。

    昨年の宝塚記念を逃げ切った実力馬は得意の阪神でのレースをまるで楽しむかのように先手を取り、14頭を引っ張る形に。そのすぐ後ろには内からセイウンハーデス。

    外からファウストラーゼンが付けていき、すぐ後ろにはエコロディノスとショウヘイが前を行く3頭を眺める形になった。

    いつもならクロワデュノールはこの位置にいるはず。しかし、クロワデュノールが1コーナーを回ったのは前から8~9番目。これまでで最も後ろからのレースを選択し、1つ上のダービー馬ダノンデサイルをまるでマークするかのような体制を取った。

    軽快に逃げていくメイショウタバルは前半1000mを58秒1で通過。若干速く感じたが、百戦錬磨のレジェンド・武豊の逃げはまるで精密機械のようでメイショウタバルがバテる様子は一切見られない。

    このまま武豊とメイショウタバルのペースでレースが進行していくかと思われた時に動いた馬がいた。

    北村友一とクロワデュノールだ。

    馬群はまだ3コーナーに入ったばかり。メイショウタバルが2番手のファウストラーゼンに2~3馬身ほど離した逃げを打つ中で各馬が仕掛けだしたところだが、その中でもいち早く動いたのがこのコンビ。

    気が付けば、それまでマークするように後方でじっと見ていたダノンデサイルを交わして4コーナーを向くころには4~5番手という位置にまで押し上げた。

    そして迎えた直線、クロワデュノールと北村友一は新しい姿をファンたちに見せた。

    メイショウタバルが2馬身ほど離してセーフティーリードを保った逃げを打ち、最後まで懸命に粘る中を、外からクロワデュノールが猛追。

    いつもなら後続馬の追撃を受けて立つと言わんばかりに早めに先頭に立っていたこのコンビが、初めて直線で懸命に前を追っている。

    その姿を見た筆者は冒頭のように叫んだ。「差せ!」「差してくれぇ!!」と。1年前には「粘れ!」「残れ!」と真逆の声援を送っていた馬が今は外から懸命に前を捕らえようと必死になっている。

    ゴールまで残り100m。これまで懸命にリードを保っていたメイショウタバルの脚についに陰りが見られた。

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    1着クロワデュノール、2着メイショウタバル(c)SANKEI

    その瞬間を待っていたと言わんばかりに北村の右鞭に応えるようにクロワデュノールが一歩、また一歩と迫り、ゴールまで残り30mを過ぎたところでついにクロワデュノールはメイショウタバルを捕らえ、そのままゴールへ飛び込んだ。

    ソツのない先行策で勝ち星を積み重ねてきた最強世代のダービー馬は、古馬になって初めてゴール直前でライバルを差し切り勝利。これまでとは一味違う勝ち方を見せてGI3勝目を挙げた。

    「自分の中では今年、クロワデュノールが主役だと思っている」――レース後、勝利騎手インタビューで北村友一はこう答えた。

    世代どころか現役最強を宣言したかのようなこの言葉の裏には北村自身のクロワデュノールへの揺るぎない信頼があるのは間違いない。

    新しい一面を見せて、現役最強へと名乗りを上げたクロワデュノール。2026年の競馬界は彼を中心に回ることになるのだろうか。


    ■文/福嶌弘


    第70回大阪杯(GI)着順
    2026年4月5日(日)2回阪神4日 発走時刻:15時40分

    着順 枠順 馬名(性齢 騎手)人気
    1着 8-15 クロワデュノール(牡4 北村友一)1
    2着 4-6 メイショウタバル(牡5 武豊)3
    3着 3-4 ダノンデサイル(牡5 坂井瑠星)2
    4着 8-14 タガノデュード(牡5 古川吉洋)13
    5着 2-3 セイウンハーデス(牡7 幸英明)9
    6着 7-12 レーベンスティール(牡6 C.ルメール)5
    7着 5-9 ヨーホーレイク(牡8 西村淳也)11
    8着 6-11 デビットバローズ(セ7 岩田望来)8
    9着 6-10 ボルドグフーシュ(牡7 松山弘平)14
    10着 3-5 ショウヘイ(牡4 川田将雅)4
    11着 2-2 マテンロウレオ(牡7 横山典弘)10
    12着 1-1 サンストックトン(牡7 高杉吏麒)15
    13着 7-13 ファウストラーゼン(牡4 岩田康誠)12
    14着 5-8 エコロヴァルツ(牡5 浜中俊)7
    15着 4-7 エコロディノス(牡4 池添謙一)6
    ※結果・出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。

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