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伊藤美誠の苦悩と葛藤 心も体もボロボロだった... 母との二人三脚の旅

2021.08.13
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2021.08.13

心も体もボロボロだった伊藤美誠 撮影:母・美乃り テレビ東京/追跡LIVE!SPORTSウォッチャー

そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

先日閉幕した東京オリンピック。

この日、この時まで選手たちにどれだけの苦悩と葛藤があったか。卓球・伊藤美誠も例外ではない。

彼女のトレードマークのどこにいてもはじける笑顔。それが失われた苦しい時期をカメラは記録していた。

本人もよく喋るが、母みのりさんもよく喋る。そこに控え目なコーチが加わって、行動を共にしている。

海外遠征には自分で費用を払ってでも必ず帯同する。1年の半分は海外を転戦する卓球選手。母は全てを投げ打ってサポート役に徹すると決めている。

遠征先のホテルに日本から炊飯器とお米を持参し、ご飯を準備する。多い時は1日5食。試合の間が食事時間。

数試合を掛け持ちするため大会中は時間に追われる。

そんなスケジュールの中でも、味噌汁は冷めないよう会場で準備するこだわりっぷり。少しでもおいしく、少しでも栄養を、これが母の愛。

15歳で立ったオリンピックの舞台。オリンピックでは卓球史上最年少記録でのメダル獲得。手にしたメダルは真っ先に母へと手渡された。

次は金メダル。

立ちはだかるのは卓球帝国・中国だ。この30年、卓球が正式種目になったソウル以来、中国女子はオリンピックの全種目で金メダルを独占してきた。

福原愛も石川佳純も苦しんだ高い壁。期待は新世代の伊藤に集まる。

東京オリンピックの代表となった伊藤は世界ランクを2位にまで上げる。だが去年、世界は様変わりした。

緊急事態宣言の中、外出もままならなず、東京オリンピックは1年延期に。国際大会も相次いでなくなり、選手たちの情熱は行き場を失う。

去年5月のリモート取材。

普段どおりの笑顔の陰に彼女は深い心の傷を隠していた。今年5月。その事実は母の口から明かされる。

やっとのことで近づいた金メダル。なのに、その舞台がなくなるかもしれない。受け止めきれない現実は心と体をバラバラにした。

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伊藤美誠 テレビ東京/追跡LIVE!SPORTSウォッチャー

娘を救いたい。

考え抜いた挙句、母は伊藤を旅に連れ出す。去年春、親子の旅はそうして始まった。練習場を離れ、卓球漬けの毎日から離れ... 何でもない時間を作ってした深呼吸。

おばあちゃんにも会った。がんばれとも言われず、がんばるとも言わず。

流れていった穏やかな時。

卓球の練習からこんなにも離れたのは、2歳で始めて以来、初めてのこと。もしも一人だったら怖くて練習を休めなかった。

母に誘われて出た旅で、いつもと違う空気が笑顔を取り戻す力をくれた。

そして遂に迎えた東京オリンピック。

伊藤美誠は水谷隼とともに卓球競技混合ダブルスの初代オリンピック金メダリストに輝き、女子シングルスでは初となるメダル(銅)を獲得。

さらに卓球女子団体では、平野美宇と石川佳純と共に銀メダルと合計3つのメダルを獲得した。

笑顔を取り戻した伊藤美誠は今後どんな偉業を達成するのか?

母との二人三脚の旅はまだ終わらない。

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日本卓球界 史上初の金メダルを獲得した伊藤美誠 写真:アフロスポーツ

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