2月11日放送の「卓球ジャパン!」は、ゲストに木下グループ卓球部総監督の倉嶋洋介と、2023全日本選手権男子ダブルス優勝の森薗政崇をゲストに迎え、1月7日からドーハ(カタール)で行われた世界卓球2023アジア予選会の激闘の様子をDEEP解説した。
世界卓球に今年から導入されたアジア大陸予選会。本戦に出場するためにはこの予選会で 出場枠を獲得する必要がある。
シングルスは16グループ、ダブルスは8グループに分かれてトーナメント戦を行い、各グループの1位が出場枠を獲得。その後、各グループの2位どうしで残りの出場枠を競う。
日本勢は出場した全シングルス、全ダブルスで出場権を獲得した。

その中で、まず番組が注目したのは、中国の至宝・馬龍を破った吉村真晴の試合だ。 吉村はこれまで、世界選手権の団体戦と混合ダブルスで大活躍しているが、意外にもシングルスには一度も出たことがない。29歳となった吉村の初のシングルス出場のチャンスがかかっていたのがこの予選会だった。
対する馬龍は予選会の直前にコロナに感染し、病み上がりの状態での出場。とはいえ、この王者を倒すのは並大抵のことではない。特に凄いのは馬龍のオーラだと森薗。
「コートの向こうに立つだけで、もう何していいかわからなくなっちゃうんですよ。何やっても無駄なような気がして。結局、自分で攻めて勝手にミスして点差を広げられちゃう」(森薗)
森薗ほどの選手にとっても、馬龍は別格の存在なのだ。
その馬龍に吉村は、序盤から互角に渡り合い、ゲームカウント1-1で第3ゲームとなった。
倉嶋は吉村を「一発勝負に強いメンタルの強さがある」と評する。水谷隼も松平健太も優勝できなかったアジアジュニア選手権の男子シングルスの決勝で中国選手を倒して優勝し(2011年)、その年の全日本選手権で決勝で水谷を破って優勝した。
「リオ五輪の選考のとき、途中までポイントが低かったのに、ツアー2連チャンぐらいで一気に勝って代表入りを決めた」と森薗もその爆発力を認める。

倉嶋が舌を巻くのが、吉村のアップダウンサーブの威力だ。その秘密は遊びながらやるサーブ練習だという。遊びの中から意外性のあるサーブが生まれることがあるため、指導者はそれを叱ってはならないのだ。
「本当に遊んでなければですけどね。森薗みたいに」(倉嶋)
「なんてこと言うんですか!(笑)」(森薗)
アップダウンサーブを駆使した吉村は、ゲームカウントは3-3となり、最終第7ゲームへと持ち越されたが、最終ゲームは吉村のペースに。
森薗から見たこの試合のポイントは、吉村のバックハンドの打点を下げないことと、馬龍のフォアを突くストレートコースだった。馬龍の体のコンディションが良くないため、「フォアの遠いところの一歩が出ない」状態だったからだ。
最後は11-3で馬龍を破り、初の出場権を手にした。

敗れた馬龍は、翌日の順位決定戦で今度は戸上隼輔と対戦。 少し調子が戻った馬龍は、安定したプレーで3ゲームを連取。追い込まれた戸上だったがその後は強烈なドライブを連続して決めて2ゲームを奪い返し、ゲームカウント2-3となったが、最後は2-4で屈した。
戸上がさらに成長するためのポイントを森薗に聞かれた倉嶋は、打点をあと10cm前にすることと、サーブレシーブの強化を挙げた。ラリー力は中国とひけをとらない力があるので、ラリーまでつなげるためのサービスとレシーブの向上がポイントになってくるという。
倉嶋の分析に感心し、卓球を客観的に見てくれる指導者の存在は大切だと語る森薗だったが、感心したついでに「これまでで一番、自己主張が強かった選手って誰ですか?」と、いきなりデッドボール気味の質問を放った。
「それ聞く?まあ・・(水谷)隼かな」(倉嶋)
「ですよね」(森薗)
「今、全員がそう思ったかもしれないですね」(MC武井壮)
その後、戸上は順位決定戦で3勝し、みごと世界卓球の出場枠を獲得した。

ダブルスで取り上げたのは、張本智和/篠塚大登。ともに19歳の同級生で、なおかつパリ五輪選考ポイントで1位と2位という最強ペアだ。この2人が組むのは今大会が初となる。
代表決定戦で対戦したのは、ケンジグロフ/カハルキ(カザフスタン)だったが、日本ペアが終始圧倒し、ストレートで代表を決めた。
このペアの強さを倉嶋は見事に分析した。ダブルスはサーブとレシーブの実力がほぼ7割を占める。そこで重要となるのは、ワンコースでも先手を取れるサーブの威力があることと、フォアでもバックでもレシーブできること。そして、2人ともその3つを揃えているのがこのペアだという。
ただ、2人とも守備的な傾向が強い選手である一方、同じく代表権を獲得した戸上/宇田幸矢ペアは2人とも攻撃が激しいペアなので、攻撃と守備のバランスの点では、篠塚/戸上、張本/宇田で組むのもアリというのが倉嶋の見解だ。
うまい具合に利き手も右/左のペアとなっている。検討の余地はあるかもしれない。

