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#102   美術鋳物師 阪井修(さかい・おさむ)

今回の匠:写真

2008/3/14放送

阪井修 プロフィール
1943年 長野生まれ
15歳から美術品専門に鋳物を手がける


「 五十年後の ブロンズのために 」

街中や美術館で出会うブロンズ製の彫刻たち。何十年、何百年の時を越え、私たちの目を楽しませてくれます。今回の匠は、アーティストが作った彫刻の原型から見事なブロンズ像を仕上げる職人、阪井修さんです。
複雑な工程を経て、作品が仕上がるまで数ヶ月。石膏などで作られた原型を、粘土で型どりすることから作業は始まります。「毎回、作品が違うので、その都度、勝負です。型作りが甘く移ってしまうと、甘く移ったブロンズしかできないので、複雑なものでも、いかに綺麗に型を作るかっていうことが難しいと思う。」


型の中に、“中子(なかご)”と呼ばれる鋳物の形を作るものを入れて、型と中子の間に、わずか5ミリほどの隙間を作ります。この隙間に、1200度に熱せられたブロンズが流し込まれ、像の厚みとなるのです。
もっとも緊張するのは「鋳込み」の時。型の温度や、注ぐタイミングを間違えれば、薄いブロンズに穴が空いてしまう。研ぎすまされた五感だけが頼りです。「上手くいっているかどうかっていうのは、型の中は分からないので、その辺の判断が楽しみっていうか、決断するのが一番迷うところでもあるしね~」


長い年月で、色も質感も深みを増すブロンズ。そのために最適な色づけをすることが、最後の仕上げです。「50年経った色というのは、絶対あるはずなんですよ。良い色に変わってくれば、常に見ていたいという部分はありますからね。これはブロンズの強みだと思います。」


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