#111
浴場背景画絵師
中島盛夫(なかじま・もりお)
2008/5/16放送
中島盛夫 プロフィール
1945年 福島生まれ
上京まもなく背景画に出会い
19歳で弟子入りする
「 430円の贅沢 」
大正時代に登場して以来、庶民を楽しませてきた銭湯のペンキ絵。この巨大な絵を描くのが今回の匠、浴場背景画絵師の中島盛夫さん。これまで描いた絵の数は何と、1万枚以上に登ります。「僕は田舎から出てきて始めて銭湯に来て、この絵があったのは本当凄い衝撃でした。何人で描いたのか聞いたのね。そしたら一人で描いたというので、エッ!と思って。」
たたみにしておよそ25畳もある大きな壁。これを開店前の数時間で完成してみせるのが絵師の仕事です。このスピードこそ匠の証。新しい景色へと、迷うことなく塗り替えてゆきます。勢いに乗った筆使いが、ペンキ絵独特の力強さを醸しだします。無造作に付けられたタオルの跡は、たなびく雲に。使い込んだ刷毛の先から、見事な松のできあがりです。青空と水のある景色。これがペンキ絵の鉄則。電光石火の早業で、心和む日本の自然を描きます。「描き始める前にもう、仕上がってるのね。頭の中ではこういう画が、もう仕上がってるから、適当にやっているようで、計算している。」
湯船の上に広がる空は、いつも日本晴れ。いや~、極楽、極楽。「絵があることによってパッと抜ける。露天風呂に入っている気分。430円の贅沢。これは本当に面白い日本の文化だよ。」






