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#115   神楽笛製作者
       船津重信(ふなつ・しげのぶ)

今回の匠:写真

2008/6/13放送

船津重信 プロフィール
1922年 島根生まれ
25歳から笛作りを学ぶ
日本各地に技術を伝えている


「 笛の音は 人の心を勇気づける 」

島根県石見地方は、古くから神楽の盛んなところ。その神楽に欠かせないのが神楽笛。若い頃から笛の名人だった船津重信さんは、この道60年の笛づくりの職人です。「どういう音が目標ですか?」「それはおだやかな音だな。音のおだやかな音で高い音」


神楽は収穫を神に感謝する大切な祭り。しかし、日本の伝統笛は音を出すのがむずかしい。なかなか後継者が育たない。船津さん自身も、歳をとって笛をふくのがつらくなってきた。笛がなければ、神楽も消えてしまいます。そこで船津さんは、誰でも必ず音が出る笛の改良を考えました。
「これは簡単に吹けて、私自身がふける何ぼ年おをひろうてもこれなら吹ける。入れ歯抜いて吹いてみましょうか。」「歯ないな。吹いてみるから。」「入れ歯がのうても吹ける」その秘密は、笛の中にほどこした細工。この三日月型の隙間から音が出る。神楽で吹いても、恥ずかしくない音色をつくるまで25年かかりました。「こっから空気を入れるとこの穴。これが、空気を吹きだすと出る穴。ここで跳ね上がるようにここ削った方がええと思うんだな。」  


こうして、子供でも簡単に吹ける神楽笛が生まれました。「なまけものの笛」と言われたって、船津さんは気にしない。貴重な神楽が消えてしまうよりいい。
「子供ん時臆病者でな、物におそれおったんだが、笛をふきゃあ、笛を吹く間何か楽しく、気持ちが燃えてくる。気持ちが晴れる。うん、そりゃ確か。」


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