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#118   岩谷堂箪笥職人
       及川孝一(70歳)

今回の匠:写真

2008/7/4放送

及川孝一 プロフィール
1937年 岩手生まれ
木工・漆塗り・金具の総合部門で
唯一の伝統工芸士


「 何百年と残る箪笥 」

ケヤキの美しさに魅せられ、たんす作りをつづけて半世紀の匠がいます。岩谷堂箪笥の職人、及川孝一さんです。「まあ、いろいろ木のモクには面白いモクがあるんですけんど、ケヤキの場合は何故か言葉に表せないモクの良さに惹かれるんですよね。」
江戸後期、岩谷堂城主の奨励で作り始められた岩谷堂箪笥。何重にも塗り重ねられた漆は、ケヤキの木目の美しさをひきたて、鉄の金具は、たんすの重厚感をさらに高めます。


元々は、庶民の家財道具でしかなかった岩谷堂箪笥を、格調高い工芸品とよばれるまでに高めたのが、及川さんでした。若い頃、東京で修行した江戸指物のワザを取り入れ、外から継ぎ目が見えないすっきりした造りにし、木目の美しさをひきたたせます。一時は、彫刻家をめざし、イタリア留学まで夢見ていたという及川さん。思いのたけを、金具づくりにぶつけます。
「自分で思ったこと、頭の中にあること、全部、その箪笥にぶつけて、この木はこういうモクだから、こんな金具つけたいとか、こんな風にすればいいとか、全部、自分の頭にできたやつを完成させた時に、それが近い状態にあがれば初めて、その箪笥が活きるので。」
たんすにかける父の姿を見て育った二人の息子は、岩谷堂箪笥の職人になりました。


「木を倒すっていうことは、本当に申し訳ない。」「150年200年くらいの木でたんす作って、また、さらに200年300年も残るような箪笥にしようと思うんだけんど、やっぱり長くもつ、それこそ、ずっと生きてる、生きるような箪笥を作れっていうことでしょうね。


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