#128
漆芸家
磯井正美(いそい・まさみ)
2008/9/12放送
磯井正美 プロフィール
1926年 香川生まれ
19歳で漆芸の道へ
1985年重要無形文化財蒟醤保持者に認定される
「 発想で遊びたい 」
香川県、高松市。今回の匠は、この地に伝わる漆工芸に携わって60年以上の磯井正美さん。表面に彫りをほどこし、色漆を塗りこめる珍しい漆の技、『蒟醤(きんま)』の匠です。根気のいる作業に慣れるために必要なのは、長い歳月。「初めはこれ一生懸命ね、力入れて握ってるんですよ。そうするとね、あれ、指先がね、痺れてくるわ、痛くなるわ…もう、痛くなくなるのが、ま、40年くらいかかるんですよ」
人間国宝であった父、磯井如真の元で技を学んだ匠。しかし、その作風は父とは全く違うものへと成長していきました。「今までの蒟醤そのものを継承するんやったら、これちっとも面白くないんですよ。何かね、今までになかった蒟醤をね、作り出してやろうと、その方が面白かったわけですよ。」 新しいことを求める匠の思いは、作品の色にも表れています。彫った窪みに塗りこめる漆の色は匠が調合したもの。目指すのは、漆ならではの美しさ。 「漆の色というのはね、漆でしか出ない色なんです。それをね今の人達は、油絵具のああいう水彩の絵具ね、ああいう色に、を出そうとしとるわけですよね。漆はね、無色透明じゃないんですよ。だから色んな顔料入れてね、その色に近づけても乾いたら、その漆の色が出てくるわけです。皆さんそれを欠点と思ってるから間違いなんです。僕はそれを長所だと思ってる。」
万葉集に登場する草木など、繊細に彫られた文様も、魅力の一つ。匠は今、新しいアイディアに夢中になっています。「文字なんですよ。面白い発想だな、とかね、そういうこと気が付いてくれたら、良い、良いと思ってるんですよ。とにかく楽しく遊べたら良いと思ってね」






