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#49 蒸気機関車整備士 湯浅陽三(ゆあさ・ようぞう)

#49 蒸気機関車整備士 湯浅陽三

2007/3/10放送

湯浅陽三 プロフィール

1939年 茨城生まれ
18歳で日本国有鉄道に就職
1994年 真岡鐵道の蒸気機関車運行の立上げを担当


「「普段」から よく見る」

車庫で静かにその巨体を横たえる蒸気機関車。明日の走りに備え、50トン以上もの鉄の塊を、まるで眠りから呼び覚まそうとするように、ハンマーで叩いてまわるのが、今回の匠、蒸気機関車整備士の湯浅陽三さん。一日にハンマーで叩く箇所は数百。シンプルな鉄の機械。異常がなければ、整備のほとんどがこのハンマーによる検査に費されます。「ただ叩いて、目で見てますけどその他に音を聞いてますからね。音によって、ゆるんでいるか閉まっているかあるいは、割れているか、というのが分かる。諸々の音、これは特に大事ですよ。」

運行の当日、湯浅さんは早朝から出発の準備。なかでも重要なのが大量の油差しです。油が機械に染みわたる量は、油壺の中に仕込まれた通綿というパーツがコントロール。この毛糸の微妙な調節が、機械の焼き付けを防ぎ、その寿命をも左右するのです。60年以上も前の古い機関車ですから、もう部品は作られていません。日頃の丁寧な扱いが重要です。「大切に接していると、やっぱり何かいうことを聞いてくれるというのかな、丁度ペットを可愛がっている感じでね。」

今は、若い機関助士の指導もする湯浅さん。石炭のくべ方一つで、走りや燃料の効率が格段に違うといいます。「普段からよく見ているということ、普段が大事だということで。走っているときあるでしょ。そうするとやっぱりすぐ線路脇に出て行って発車していく音を聞いたり、状態を見たり、そういう考えで機関車に接しているということですね。」

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