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#82 箔打ち職人 松村謙一(まつむら・けんいち)

今回の匠:写真

2007/10/26放送

松村謙一 プロフィール

1960年 石川生まれ

18歳で父に弟子入り


「完成と思ったとき 職人の命は終わる」

砂金を洗った沢があったところから名付けられた町、金沢。今も、金を使った伝統工芸を生み出しています。その金細工の材料となる金箔は、全国の99%が金沢でつくられています。今回の匠は、その金箔づくりの技術を受け継ぐ三代目、松村謙一さん。
「金は、もちろん金属なんですけど、なんかあったかみもありますので、どちらかというと生き物というか、子供を育てるようなかんじですね。」

和紙の間に一枚ずつはさんで、一分間に700回という早さで打つこと、丸一日。
「ただ単に挟んで、それをハンマーみたいなもので叩いて延ばす、っていうことではなくって、揉んで延ばしていく。よく練った金箔って表現したら、もしかしたら伝わるのかな。」
十円玉の大きさの金が、畳一枚の大きさにまで延びます。厚さは、およそ一万分の1ミリ。小説家・谷崎潤一郎は、この金箔を「沈痛な美しさ」と評しました。

金箔は、「箔打ち紙」とよばれる特別な和紙にはさんで、少しずつ薄くしていきます。和紙を、灰汁や柿渋につけ込んでから叩く。
「金箔をつくる作業の、8~9割は、紙を延ばすための紙を仕込むこと。」

紙作りだけで、半年以上かかります。この紙こそ、金箔の驚異の薄さを生むカギ!凹凸のない滑らかな紙に仕上げるのが、命なんです。
「これでもういい、完成したと思ったら、職人はそれで終わりだよと、よく言われた。最後は、紙と対話できるまでならないと、ダメなんでしょうかね。」

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