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#94 硯作家 雨宮弥太郎(あめみや・やたろう)

今回の匠:写真

2008/1/18放送

雨宮弥太郎 プロフィール
1961年 山梨生まれ     
創業300年の雨端硯本舗13代目  


「センスがなければ 技術に意味はない」

良質の粘板岩から作られる甲州の雨畑硯。300年以上つづく硯づくりの老舗の13代目が、今回の匠・雨宮弥太郎さんです。東京芸術大学で、抽象彫刻を学んだ匠。本格的に硯作りに取り組み始めた時、改めてその奥深さに気づいたそうです。 「石と向き合いながら硯をつくるってことは、僕にとっても、とても大切なことです。硯こそは、自分にとっての現代彫刻だと思って取り組んでいます。」



石と対話しながら、形を決めていく硯作り。匠が楽しみだという工程が、最後の「磨き」。 「磨くっていうのは、最終的に、揺らいでいた形が本当にピントをぴったりと合わせる瞬間ですから、いちばん神経を集中してやらなきゃいけない部分です。ぼやけていた自分のイメージが、だんだんクリアになっていく、その過程が面白いですし、できた瞬間は、本当に霧が晴れたように面白い瞬間です。」 抽象的な形を多く作ってきた匠ですが、最近、興味を持っているのは、祖父が得意としていた写実的な硯です。 「未だに褪せない新鮮さを感じるんですよ。これからは、具象表現にも取り組んでいきたいと思ってます。」


石に向かう時、大切にしているのは、美を追求する心。 「技術でどんなものが彫れても、どんな形がいちばん美しくて、どんな形がいちばん素晴らしいのかっていう感覚がなければ、そのテクニックっていうのは、意味がないわけですから。そのセンスっていうのは、一生かけて追求するものだと思います。」


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