|

|
|

3月 シネセゾン渋谷にてロードショー

|
『マイ・プライベート・アイダホ』、『誘う女』、『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』といった多様な映画群で、ヴァン・サント監督は、アイデンティティがまだ揺れ動く、大人になる直前の少年たちを描いてきた。そして本作で現代の高校の現実を描くことに挑んだ。近年、学校における銃撃事件で一変してしまった現実を。1997年から1999年の間に、アメリカの学校は、生徒による8件の致命的なる襲撃事件の舞台となった。そこで監督は、映画でその問題を提示することを考え始めた。「それを見つめるひとつの方法としてね」と彼は言う。「アメリカの高校での銃撃事件は、これまでになく増えた。そのような時代に学校へ通わなければならない子供たちの環境を捉える何かを作りたかったんだ」
彼はブルー・リリーフの共同経営者である、女優/映画作家のダイアン・キートンと作家/プロデューサーのビル・ロビンソンにそのアイデアを話した。ロビンソンはコメントする。「僕とダイアンは、かれこれ数年、ガスのことを知ってるし、いつか彼と一緒にやりたいと思っていたんだ。もちろん、僕らは彼の作品のファンだし、『ドラッグストア・カウボーイ』や『マイ・プライベート・アイダホ』といった挑発的な映画などは特にね。彼がアーティスティックなヴィジョンを持ち、ティーンエイジャーや学校での暴力についての映画を作りたいと思うなら、僕らは彼をサポートしたいと思った。ガスのように勇気ある監督が語るなら、力強く、効果的なものになると感じたから。それにHBOは、ガスのヴィジョンを追い求める自由を手に入れるのに完璧な場所だと思った」キートンは言う。「ガスは若者を直感的に理解しているの。彼はこのテーマで映画を撮るには完璧なアーティストよ。誰かが、学校での暴力を違う視点で見る必要があるわねって、ビルに話してたことがあるの」
『エレファント』は、廊下、中庭、教室、図書館、カフェテリア、職員室、ロッカールームへと我々を連れ出し、郊外にある高校の世界へと誘う。我々は、一日の中で、数人の学生を追いかける。ジョン(ジョン・ロビンソン)、写真家志望のイーライ(イライアス)、フットボール選手のネイト(ネイサン・タイソン)とそのガールフレンドのキャリー(キャリー・フィンクリー)、ミッシェル(クリスティン・ヒックス)、長年の親友ブリタニー、ジョーダン、ニコール(ブリタニー・マウンテン、ジョーダン・テイラー、ニコール・ジョージ)など、様々な登場人物たちが経験する、ある瞬間や交差点を再び訪れる。二人の少年、アレックス(アレックス・フロスト)とエリック(エリック・デューレン)もいる。そんな彼らは全て『エレファント』で描かれる高校の風景の一部である。
「エレファント」の由来
監督にとって、高校での暴力というかなり論議を呼びそうな映画を作る上で、特に試金石となった映画が1本ある。同じ『エレファント』というタイトルで、賞賛を浴びた、今は亡きイギリス人監督アラン・クラークによる89年のBBC作品だ。
クラークの『エレファント』は、北アイルランドの分派の絡んだ暴力を、容赦なく、無差別な殺戮の進撃として描くために、物語性を削ぎ落としている。クラークはその映画のタイトルを、居間にいる象のように無視しやすい問題という、皮肉な諺から名づけた。ヴァン・サントは、クラークの作品から映画のタイトルをつけることにし、「この映画は、違うが、同時に、特に暴力的な時代に生きる若者たちの人生を中心に撮った」と言う。
|