落語娘
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落語娘
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かけだしの女前座・香須美の、悩み多き日々
写真 大学を卒業後、身ひとつで落語界に飛び込んだ香須美(ミムラ)。二つ目昇進をめざして日々奮闘する、駆け出しの“女前座”だ。古いしきたりが残るこの世界、修行中の身は決して楽じゃない。誰よりも早く楽屋に入って、客入れの太鼓を叩いたり、先輩方のお世話をしたり…。片時も休む暇がない。しかも、伝統的な男社会。ときには「女に落語なんて…」という声も聞こえてくる。寄席の常連さん(なぎら健壱)から冷たい視線を浴びても頑張れるのは、落語への想いでは誰にも負けない自信があるからだ。
 そんな香須美の頭痛のタネが、師匠である三々亭平佐(津川雅彦)。かつては“新作の平佐”なんて呼ばれたが、奔放すぎる生き方が災いし、最近じゃトンとお座敷もかからない。テレビ出演中ふざけて現職大臣のクビをしめ、もっか無期限謹慎中。一度も稽古を付けてくれないばかりか、遊び代にも事欠いて、借金取りを引き連れ楽屋に押しかける有り様だ。ただでさえ狭い香須美の肩身は、なおさら縮こまってしまいそうになる。
本当は、こんなはずじゃなかったのに…
写真 彼女が噺家を志したのは12歳のとき。不治の病にかかった叔父さん(利重剛)の病室で、見よう見まねで「景清」を演じたのがきっかけだった。寄席をこよなく愛した叔父さんの贔屓は、三松家柿紅(益岡徹)。品格ある語り口と厳格な姿勢で知られる落語界の若きリーダーだ。柿紅の十八番「景清」で落語の奥深さを知った香須美は、高校・大学と落研で腕を磨き、晴れて卒業後には柿紅のもとに直行。本人を前に思い入れたっぷりの「景清」を披露した。だが「結局、あなたは女性なのです。これは何を稽古したところで無駄。堅苦しいのは百も承知。私には古典落語を守るという強い思いがある」とすげなく断られてしまう。
 で、行き場のない彼女を、「噺家は男でなきゃいけねえなんてストイックな考えはな、俗を知ろうとしねえ独り善がりの思い込みよ」といって拾ってくれたのが、業界の異端児・平佐だったというわけ。かくして“三松家”になりそこねた“三々亭”香須美は、今日も公園でひとり、子供らを相手に「寿限無」の練習に励んでいる。
異端の師匠、封印された怪談「緋扇長屋」に挑む
写真 そんなある日、落研の後輩でスポーツ紙の記者をしている清水(森本亮冶)が楽屋を尋ねてきた。“禁断の落語”として長く封印されてきた「緋扇長屋」に平佐が挑むという噂を耳にしたというのだ。「緋扇長屋」とは、明治時代の名人・芝川春太郎の作。とある若旦那が恋患いのすえ長屋に火をかけ、あやまって恋人を焼き殺してしまうという怪談話だ。ところが、作者の春太郎が、執筆直後に謎の怪死。その後も演じた噺家たちが次々に急死したことから誰ひとり高座にかけなくなったという、いわくつきの因縁話である。
 仕掛けたのはテレビ局の敏腕プロデューサー・古閑(伊藤かずえ)。かつて平佐を利用して、謹慎の原因を作った女でもある。平佐の窮状を見てとった彼女は、「緋扇長屋」挑戦の一部始終をスペシャル番組にすることを提案。香須美は「視聴率狙いで人の生き死にを利用するなんて」と猛反対するが、平佐は涼しい顔でオカルト企画に乗っかるつもりらしい。

  渋る香須美をともなった平佐は、関西の山深い村に現在の所有者である未亡人・登志子(絵沢萌子)を訪ねる。彼女の夫もまた、40年前にこの呪われた噺を演じ、高座で怪死した噺家のひとりだった。和紙にしたためられた「緋扇長屋」から立ち上ってくる、凄まじい妖気──。そして二人はその夜、世にも不思議な経験をする…。
世間を巻き込む大騒ぎ、そして一世一代の大勝負
写真

 波紋は、落語界にも広がっていた。下世話な見せ物を嫌う三松家柿紅が平佐の協会除籍を画策。それを知った香須美は、なによりも師匠の身を案じ、出演を思い止まるよう懇願する。だが、まるで聞く耳を持たない平佐から逆に破門を言いわたされてしまう。荷物をまとめ泣きながら出て行く彼女の心には、「どだい、女に噺は無理」という言葉が突き刺さっていた…。
そして、運命の日。思いがけず柿紅に呼び出された香須美は、平佐を捨てて自分のもとで「正しい噺家の道」を歩むよう説得される。ずっと憧れていた師匠からの予想だにしなかった提案。胸の中に渦巻く、言葉にならない想い──そして香須美の口から飛び出した言葉は…。
はたして落語界の異端児・三々亭平佐は、禁断の噺を演じきれるのか。そして純な落語娘・香須美の将来やいかに!?


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