日経スペシャル「ガイアの夜明け」 5月10日放送 第160回

日本映画の逆襲
| ハリウッド映画の世界市場への輸出額は、およそ1兆7000億円。一方我が日本映画の輸出額は100億円を超える程度…。映画産業としての日本映画は、製造業の足元にも及ばない状況だ。 しかしそんな日本映画界に新しい風が吹き始めている。
去年10月22日。全米3245館で、ジャパニーズホラー「THE JUON/呪怨」が封切られた。監督は清水崇さん。彼がつくった日本版「呪怨」(02)をハリウッドの資本で、清水さん自身がリメークした。第1週、2週ともに興業成績1位を獲得し、興行収入は1億1000万ドル(115億円)に達した。実写映画の日本人監督2週連続1位は史上初の快挙である。この作品の日本側プロデューサーがこれまで42本もの日本映画を手掛けてきた一瀬隆重さん。
ハリウッドでは過去に黒澤作品「七人の侍」が「荒野の七人」にリメイクされた。最近では、「Shall we Dance?」、「リング」などのリメイクが続いている。しかし、ほとんどはリメイク権を売るだけで世界市場での利益は全てハリウッド側に奪われるだけだった。しかし「THE JUON/呪怨」は一瀬さんが日本人として製作に関わり、映画の成功報酬も手にする事を可能にした意義ある作品となった。
そして日本では角川グループが世界市場を求めて新たな動きをはじめた。去年初めには世界進出の足掛かりに、スピルバーグのドリームワークスと1億ドルの出資による業務提携を発表。
今年は製作費15億円の「戦国自衛隊1549」、13億円の「妖怪大戦争」など巨額の費用をかけた大作の製作に乗り出した。その狙いはアジア進出。アジアの市場を開拓するため、優れた娯楽作品を作ろうというのだ。そんな角川作品のアジア進出。その戦略を任されたのは、映像事業本部・版権営業グループ長宇田川昭次さん。角川作品「リング」のヒットなどにより、アジアでも日本のホラー作品が認知され始めている。その好機に宇田川さんは「着信アリ2」の6月韓国公開を仕掛け、50万人の観客動員を目指す。
番組は世界市場進出に乗り出した日本映画人の奮闘を追いかける。
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【「THE JUON/呪怨」続編始動】
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| 「THEJUON」の続編も動き始めた。その脚本作りでは、日本側とアメリカ側のせめぎあいが続いた。アメリカ人が考える恐怖と日本人が考える恐怖の違い。それをどうすり合わせいくか。一瀬さんと清水さんが描きたい恐怖は、米国映画協会が定めた暴力や残酷な表現に年齢制限を課す上映基準に抵触してしまうのだ。多くの観客をとり入れたいアメリカ側、作りたい映画を当てたい日本側。そこで奮闘する一瀬さんと清水さんの姿を追う。 |
【ハリウッドビジネスを仕切るエージェント】
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| ハリウッドで映画監督や俳優にとって最も重要な役割を果たすのが、エージェント。メジャースタジオや映画出資者などと監督、俳優の間に入り映画の仕事を斡旋したり、交渉したりする。誰でもエージェントと契約できるわけではない。ある程度のヒット作に関わった映画人にその門戸は開かれる。彼らは映画製作の契約が決まった段階でギャラの10%。そして成功報酬の10%の手数料をとる。一瀬さんには、去年UTAのマーティー、チャールズ二人のエージェントと契約を結んだ。以来メジャーからの製作依頼、企画の打診、面談希望が殺到。その数は100件を超えた。 |
【
日本映画アジア進出そのハードル
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「着信アリ2」の6月韓国公開を目指す宇田川さんは「シルミド」の1000万人動員を成功させたプロデューサー、キム・ジョナサンさんとパートナーを組み、50万人動員を目指す。しかし韓国には映画産業振興のため、映画館が韓国製映画を優先的に上映しなければならない「スクリーンクオーター制度」が存在する。さらに露天では違法コピーのDVDが格安で販売されていたり…。海外作品を上映するには、かなりハードルが高い。
そして宇田川さんを衝撃的な事態が襲う。公開前の「着信アリ2」が違法で無料にダウンロードされてしまったのだ。公開は6月。このままでは観客動員が難しくなる…。
そんな状況の中で宇田川さんが取った戦略とは? |
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