日経スペシャル「ガイアの夜明け」 5月11日放送 第416回 格安温泉サバイバル ~台頭する新興チェーンと老舗の行方~
今、温泉旅館やホテルが次々と格安旅館に変わっている。ほとんどは、宿泊代が8000円以下。ビジネスホテルと同様の値段で、温泉つきの旅館に泊まることが出来る…。これまでの日本旅館、国内旅行の概念が大きく変わろうとしているのだ。そのほとんどが、異業種からの参入。経営が立ち行かなくなった旅館を買い取り、格安旅館として再生。短期間で急成長を遂げている。一方、格安旅館が初めて進出してくることになった、能登の温泉街。周辺の老舗旅館はどうなってしまうのか?その危機に女将たちが立ち上がった。老舗旅館と格安旅館…長引く経済不況の中、生き残りをかけ進化する温泉旅館ビジネスに密着した。
日本有数の温泉地・箱根。ここの創業1630年(寛永7年)、380年の歴史を誇る老舗温泉旅館『一の湯』がある。この由緒ある温泉旅館、なんと平日1泊2食付で6300円で宿泊することが出来るという格安旅館。これが人気を博し、すでに箱根エリアで8つの旅館をチェーン展開。全てが、稼働率80%以上、売り上げも、10年前から10倍の12億円以上を上げているのだ。こうした、格安旅館が、経済不況の最中、破竹の勢いで増えている。
東京・お台場にある日本最大の温泉テーマパーク、『大江戸温泉物語』。江戸時代にタイムスリップしたような館内、東京湾の地下1400メートルからくみ上げた天然温泉を、露天風呂、砂風呂など10種類以上の浴槽で楽しめると人気。昨年は入場者数79万人にものぼった。その『大江戸温泉物語』が今、最も力を入れているのが、格安旅館事業。経営が立ち行かなくなった温泉を、次々に365日均一1泊2食6800円などの格安旅館に再生させているのだ。その数、わずか2年で12軒。そんな『大江戸温泉物語』に、3月、新たな案件が舞い込んだ。『ホテルニュー岡部』などで知られる『岡部グループ』が持つ3軒の運営を全て委託されたのだ。その、再生の先頭に立つのは、事業本部長の森田満昌(みつまさ)さん(49才)。「ビジネスに人生をかけてください」と強く語る森田さんは、早速『岡部グループ』の一つ、『ホテルニュー塩原』の改革にあたった。創業60年の老舗ホテル『ホテルニュー塩原』は、ボウリング場や卓球場、歌謡ショーが行えるような大きな宴会場などもある、超巨大ホテル。かつては33万人の宿泊数を誇ったが、今は半分以上が空室の日もある。これを、森田さんは大幅な設備投資もなく、従業員のリストラもなしで復活再生させるという。果たして、その方法とは?そして、改革を求められる元岡部グループの従業員たちの思いとは…。
能登半島にある和倉温泉。プロが選ぶ日本のホテル旅館100選で、30年連続1位に輝いた高級温泉旅館『加賀屋』を擁する屈指の温泉街だ。2007年には能登半島地震に見舞われ、さらには昨今の経済不況による宿泊数の減少などで、厳しい状態が続いていたが、そこへ、格安旅館チェーンが進出することになった。365日1泊2食付7800円という格安旅館の開業準部を進めているのだ。県外からの資本が入るのも初めてのこと。目の前の老舗温泉旅館、『大観荘』の女将にとっては切実だった。しかし、このまま手をこまねいている訳にはいかない…和倉の女将たちが立ち上がった。彼女たちが作る『女将の会』では、自分達女将のいる旅館の良さをもう一度見直し、これまでの旅館の良さである「おもてなしの心」で立ち向かおうというのだ。 さらに、『加賀屋』でも、経営破たんした旅館の再生に取り組んでいた。これまでの『加賀屋』とは全く違う新しいスタイルの旅館…しかし、やはりここでも根底にあったのは「おもてなしの心」だった。格安旅館を迎える老舗旅館…思いを一つに、新たな取り組みで生き残りをかける女将たちの姿を追った。