日経スペシャル「ガイアの夜明け」 11月9日放送 第442回 緊急取材!中国リスクの真実~日本企業が直面する本当の危機~
予測不能な国、中国…。尖閣諸島での漁船衝突事件をきっかけに、レアアースの禁輸、フジタ社員の一時拘束など、日中関係は一気に緊迫した。何か事が起これば、国家が動き資源を禁輸、日本企業の関係者を拘束する…。そんな中国脅威論が台頭する一方で、中国に進出する日系企業では、「チャイナリスク」が強く意識され、今後のビジネス展開やリスク管理への関心が高まっている。さらに、尖閣諸島問題で浮かび上がった“政治リスク”だけではない。中国のモノ作りの現場では、抜き差しならない事態が進行しているのだ。今年5月には、日系企業の工場で中国人労働者たちによるストライキの嵐が吹き荒れた。各企業は次々と賃金アップを提示し、事態は沈静化したように見える。しかし、さらなる賃金アップを求められ、人材難に陥る工場が続出。さらに、「生産効率が落ちた」「納期が守れない」など、生産現場の劣化を訴える企業が増えている。生産拠点を中国ではなく、他国に置く「チャイナフリー」を真剣に検討する企業も現れた。隣の大国・中国で、モノを作り、売り稼ぐ日本企業たちは、これからどう向き合っていくべきか?“中国リスク”と向き合い、生き残りを模索する企業たちを追う。
今年5月から、トヨタ(天津工場)・ホンダ(広東工場)など製造業の中国現地工場で相次いで労働者のストライキが発生、日本企業を中心に拡大した。賃金アップを求めた労働者たちの多くは、新農民工と呼ばれる若者たち。ネットや携帯メールでやりとりし、ストで他工場の賃金が上がったと分かり、騒ぎが拡大したケースがほとんどだった。 こうした事態に直面した日本企業から、調査の依頼が殺到しているコンサルタント会社がある。中国企業のコンサルタントを始めて35年「南富士産業の杉山定久社長だ。杉山さんは、日本企業の中国進出を支援し、チャイナリスクが言われる前から「中国ストライキ対策セミナー」を開催。警鐘を鳴らしてきた。杉山さんのコンサルティングの特徴は、独自の調査チームを抱えていること。労務問題に悩む企業から調査の依頼を受けると、特別調査チームが「臨時工」として工場内に潜入。従業員と同様の生活を送りながら、労働者のリアルな不満や問題点を探り出す。問題点を現場から吸い上げた後、依頼企業の経営陣と中国人従業員の双方を交えて、改善策を考え実施するのだ。杉山さんの下には、いま尖閣問題の前後から、工場内の調査を即刻して欲しいという、日本企業の依頼が殺到している。ガイアのカメラは、調査を依頼した某企業の工場に、調査員とともに潜入取材を敢行。 チャイナリスクを生む中国人労働者と、日本企業の知られざる実態を追う。
ゴルフグリップメーカーのIOMIC(イオミック)という会社がある。日本女子プロゴルファーのシェア60%、ゴルフイメージを一新させたカラフルなグリップと高い性能が話題を呼び、プロからアマ、女性ファンにも人気がある。世界23カ国にも輸出している看板商品だ。これまで国内の工場で生産していたが円高の影響もあり、海外進出の検討を重ねていた。中国は、選択肢にも上がったが、鉢呂社長は「現在の中国工場の状況を考えるとあまりにもリスクが大きい」と話す。「賃金の高騰」や「従業員の定着率の悪さ」そして、特許を持つ「グリップ技術が盗まれる恐れ」を懸念しているという。一向に収まらない円高で、「例えば1本15ドルで輸出していたグリップ」は、1500円から今は1200円台にまで販売価格が下落。「もはやこのまま指をくわえて見ている時ではない」と会社の存続を駆けて、中国以外の生産拠点を選定する。9月、鉢呂社長が飛んだのは日本の製造業の進出著しいタイ。9月~10月でタイに事務所を構え、試験的にタイでの外注生産からスタートする予定だという。果たして、タイでの生産でも納得のいくグリップを作ることができるのか。中国依存を避けた針呂社長の決断の行方を追う。