東海バネ工業 社長
渡辺 良機(わたなべ・よしき)
RYU'S EYE
座右の銘
放送内容詳細
「他社が嫌がるバネを作れ!」
3月11日の東北関東大震災による大きな揺れが首都圏を襲うなか、東京スカイツリーが無傷でいられたのは、先端部に取り付けられた「制振装置」のお陰。そこにとりつけられたのは 人の背丈程もある巨大なバネ…実は東海バネが作ったものだった。他にも、高層ビルや橋、水門などに使われる、まさに"縁の下の力持ち"のバネを生産している。これらは全て特注品で製造に手間がかかるものばかり。つまり、他社がやりたがらないもの…それを東海バネは一手に引き受けているのだ。しかも全て職人の手作り!巨大バネばかりでなく、人工衛星に使われる直径3mmの極小バネまでも手掛け、多品種"微量"生産で生き残るトンでも企業なのだ。
負け組バネ屋からの脱出!‥‥さらば安売り!効率至上主義を捨てろ!
今から30年前の東海バネは量産品も手掛ける小さな町工場。業界では後発で規模も小さいため、買い叩かれ青息吐息の状態。そんなころ渡辺は視察で訪れたドイツやフランスの職人たちの姿に驚いた。「価格が合わなきゃ仕事をしない」「大変で誰もやりたがらない仕事だから給料高いんだ」と胸をはる彼らに目を覚まされたのだ。「もっとええバネ作って、値下げせずに売ってやるんや!」。 帰国後、量産品製造と決別、品質向上を目指して世界でただ一つの製造機械をつくるなど、次々と技術力向上へと邁進する。「効率主義ばかりだと 物作りはダメになる!」品質にこだわり続け、値下げは絶対にしない…その技術力を認められて東海バネは今や引っぱりだこ。そして職人の給料は同じ規模の中小企業と比べると遥かに高く、残業もしない。若手も続々職場に飛び込んで来る企業になったのだ。
"最強の手仕事" +"最新のIT"+"最高の環境"で本当のモノづくりを
渡辺は実は30年も前から工場内のIT化 を進めてきた。顧客データを蓄積する一方、バネの技術仕様をHPで公開、ネットで1個からでも注文できるようにするなど、小さな商機も逃さない仕組みづくりを進めてきた。そして通常の倍の費用をかけて建てた新工場「啓匠館」では、職人が心置きなく物作りができるような最高の環境をつくった。渡辺は言う。「従業員の満足度がまず一番や。従業員にホンモノの仕事をしてもらうように考えるのが社長の役割や!」
ゲストプロフィール
渡辺 良機
- 1945年大阪市生まれ
近畿大学卒業後、実家の鉄工所で働く - 1973年東海バネ工業に入社
- 1984年社長に就任
企業プロフィール
- 本社所在地:大阪市(工場は兵庫県伊丹市と豊岡市)
- 設立:1944年(創業は1934年)
- 売上高:15億9000万円(2010年12月期)
- 従業員数:81人
- 事業内容:各種オーダーバネの製造
村上龍の
編集
後記
「経営には奇策も裏技もない、社員のモチベーションを10%上げたら業績は上がり、逆に10%下げたらすぐに会社は傾く」 渡辺さんの言葉は厳しい。じゃあどうやってモチベーションを上げるのか? 答は、「寝ずに考えろ」だった。他企業の真似をせずに自らの強みと弱みを知る、実はこれほどむずかしいことはない。だが、そのむずかしいことに挑戦しない限り、生き残れない。精密で、強靱で、かつ弾力性がある、まるで精巧なバネのような、渡辺さんの経営哲学である。
















