古材倉庫グループ 代表
井上 幸一(いのうえ・こういち)
社長の金言
手間を掛けた仕事で地域を活性化
RYU'S EYE
座右の銘
放送内容詳細
「フローからストックへ」、古材で日本の住宅文化に新風を!
元々は愛媛県の大手材木店を営む二代目社長だった井上幸一。材木店として大量の木材を外国から輸入していたが、新築して30年も経たないうちに壊される「スクラップ&ビルド」が繰り返される日本の住宅文化にずっと疑問を抱いてきた。さらに、年々減少を続ける住宅着工数…木材業界の衰退は必至だった。 井上は会社存続のために新しい道を模索する中、資材の買い付けに訪ねたオーストラリアとカナダで古材と出会う。日本ではゴミとして廃棄処分されてしまう古材が、外国ではなんと優良な資材として再利用されていた。「フローからストックへ!」、井上は古材に材木店として新たな可能性を見出す。 しかし、当時の日本の材木業界で古材は「貧乏人が使うもの」として価値がないものだった。それまでいた50人の社員は皆辞め、残った社員はわずか2人だけだった。苦境に立たされた井上、社員3人で古材ビジネスに向け新たなスタートを切った。
古材は宝だ!解体される日本民家から優良な資材を取り出せ!
実は、木材はだいたい100年経ったところに強度が一番増す。今から60年以上前に建てられた戦後・日本の古い民家にはそんな優良な古材がたくさん眠っていた。しかし、古くなった民家は資産価値0として今も毎年5万軒近くがただの産業廃棄物として取り壊されている。 井上が古材事業を始めた当初は、そうした古民家のある地域も分からず、古材を手に入れる流通システムどころか、市場すらない状態だった。そこで井上は『古材買います』のキャッチフレーズで伝統資材の買収を始める。すると、全国から問い合わせが殺到、「先祖代々、思い出のつまった家の資材を活かしてほしい」という想いある古い民家の持主が日本にもたくさんいたのだ。 さらに時代が追い風となり、建設リサイクル法の施行とともに、環境やエコの観点から徐々に古材活用のニーズは広まっていく。井上は一人、古材の確保から供給に奔走する日々を重ねた。
手頃な値段で安心・安全な古材を一般住宅にも!
以前から飲食店の飾りにも使われていた古材だが、一本一本が骨董品と同じ扱いで価格もまちまち。加工するにも伝統技法を心得た熟練の大工が手間ひまかけて商品化しなければならないため高かった。そんな古材を一般庶民にも手が届くように、全国どこでも安定した値段で販売する。日本にまだない「古材市場の創造」のために井上は新たに動き出す。 古い民家を手ばらしで丁寧に解体し、優良な古材だけを取り出し、資材として安全に再利用できるようにしっかりと品質管理する。今まで「手間も人件費も掛かる」と誰もが嫌がってやろうとしなかったが、井上は「一本でも二本でも古材を再利用してほしい」という一心で、800以上のサンプル品を用意し、品質管理のための200項目以上あるチェック表を作成、徹底して古材を安心・安全な商品として規格化していった。 そして、井上の「建てては壊す日本の住宅文化を変えたい」という想いに賛同する全国の経営者たちに呼びかけて、2004年、古材事業をフランチャイズ化、「古材倉庫グループ」をスタートさせた。協力グループの輪は今や全国各地に広まり、現在では全107店舗。「理想は全県にグループの加盟店を配置することだ」と語る井上は彼らと連携し、今日も伝統資材の流通システムの確立と古材活用の普及に努めている。
ゲストプロフィール
井上 幸一
- 1963年愛媛県生まれ。
- 1985年東京国際大学商学部卒。
- 1997年株式会社アイモク(旧・親会社)の代表取締役に就任。
- 2002年ヴィンテージアイモク設立、古材事業スタート。
- 2004年古材事業をフランチャイズ化 古材倉庫事業スタート。
- 2009年厚労省認可・古民家鑑定士制度スタート。
- 2011年グリーン建築推進協議会設置。
現在、グループの加盟店107店舗、古民家鑑定士数2137人達成。
村上龍の
編集
後記
木と土壁の家は暖かみを感じる。住み心地がいい。古い民家の佇まいはわたしたちを癒す。井上さんの話で、その理由がわかった。木は、木材になっても生き続ける。自然材を使った家は、生命に囲まれていることになる。そして古材は、資源と効率の見直しを促す。百年、千年という長期的視点で資源と効率に目を向けると、二つのキーワードが浮かんでくる。生命、そして日本固有の風土と文化である。
















