カンブリア宮殿

村上龍 × 経済人

10001054

テレビ東京系にて放送中

2013214日放送

世界一の筆記具メーカーを目指せ!

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パイロットコーポレーション 代表取締役社長
渡辺 広基(わたなべ・ひろもと)

「消せるボールペン」や、米粒にも書けるという「超極細のボールペン」など、世界初の商品を開発し、世界の筆記具界でトップを走り続ける『パイロットコーポレーション』。95年前の創業当時から輸出を志し、現在売り上げのおよそ7割を海外であげている。革新的な筆記具はどのように生まれているのか、その開発力の秘密に迫る。

RYU'S EYE

座右の銘

放送内容詳細

パイロットの革新技術の結晶! フリクション

世界100カ国で売られ、大ヒットを飛ばしているパイロットのボールペン「フリクション」。ペンで書いた文字が、ペン尾についているラバーでこすることによって消えるという画期的な商品だ。摩擦熱を起こすことで消すため、消しかすも出ない。このペン、2006年にフランスで先行発売され火がついた。子どもたちは小学生でも、ノートを取る際に鉛筆ではなく万年筆を使う。間違った箇所は修正ペンなどで直してきたが、フリクションの登場でその習慣が一変。現在子どもたちの筆箱には万年筆に代わってフリクションが入っている。 しかし、この商品化には、実に30年の歳月がかかった。温度によって変色するインクの開発に成功したものの、筆記具として完成させるまでには大きな課題があった。涙ぐましいまでの開発者たちの奮闘を追う。

創業時代から続く技術開発力

パイロットは、大正5年、船乗りだった並木良輔が、国産万年筆を世界に輸出する!という志を抱いて創業した「並木製作所」が前身。伝統の漆技法である蒔絵を施した万年筆が評価され、今も万年筆の高級ブランドとして愛好家の注目を集めている。世界に通用する革新的な商品を作るその姿勢は、創業時から続くものだった。 ペン先が0.3ミリという超極細のボールペンなども、世界で初めてパイロットが生み出し、文房具界に革命を起こしてきた。 そうした商品が続々生まれる環境作りに、社長の渡辺は取り組んできた。毎月一回開かれる「技術プレゼンテーション」も渡辺改革の一つ。提案さえあれば、新人の技術者でさえ、自ら社長に直接プレゼンでき、商品化を即決してもらえる仕組みだ。

“手書き文化”が営業力を上げる

パイロットでは、手書き文書が重要視されている。営業部にもパソコンはほとんど無く、社員は営業報告書を1枚1枚万年筆で手書きすることが義務付けられている。その報告書は渡辺もすべて目を通す。パソコンで打たれた活字では読み切れない個人の性格や思いを感じとれるという。IT化の進む中、古き良き「手書きの伝統」を大事にしながら、5年後の創業100年に向け、社内の様々な改革を実行している。

ゲストプロフィール

渡辺 広基

  • 1948年茨城県生まれ
  • 1972年学習院大学経済学部卒業後、パイロット萬年筆に入社
  • 2003年パイロットコーポレーション東北支社長
  • 2004年東部支社長(執行役員)
  • 2006年取締役営業企画部長
  • 2009年代表取締役社長に就任

企業プロフィール

  • 従業員数:2500名(連結)
  • 売上高:693億円(連結/2011年12月)

村上龍の
編集
後記

渡辺さんの佇まいから、今ではほとんど死語になってしまった「ロマン」の香りを感じた。ほぼ一世紀前、海外貿易に携わる一人の若き船乗りが、数多くの舶来輸入品に接するうちに、「いつの日か、日本から世界に誇れるものを送り出したい」という夢を抱くようになった。そのロマンチックで、かつグローバルな思いが、パイロットの礎となり、その精神は、長い時を経ても確実に受け継がれ、現在も脈々と生き続けている。フリクションボールなど、数々の画期的な筆記具は、「技術を止めるな、これは完成ではない」というリアリスティックな信念と、創業者から継承されたロマンの両方に支えられて、開発されたのである。

村上龍

読んで分かる「カンブリア宮殿」コラム

JMM Japan Mail Media 編集長 村上龍

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