そのコース上に、ランナーを一心不乱に撮影する青いビブスを着た男たちがあちらこちらにいる。彼らはフォトクリエイトという会社から派遣された、プロカメラマンたちだ。
東京・西新宿に本社を置くフォトクリエイトは、東京マラソンの他、地域のサッカー大会やバレエ発表会、体育祭など、様々なイベントにプロカメラマンが出向き、それらのイベントで撮影した写真をインターネット上で販売している。
プロカメラマンが撮影した写真は社内でインターネットにアップし、注文に応じて社内ラボで印刷・発送まで行なえるよう内製化されている。写真の価格は2L判で1枚あたり735~2100円と決して安くはないが、イベント終了から最短3日で写真の購入ができるインターネットならではのスピード感と、プロカメラマンが撮影する「思い出の一枚」が多くの顧客から支持を得て、2002年の創業から10年で売上24億円。従業員数100人の急成長中の企業だ。
社長の金言
人生の主役として ストーリーを作る時代
RYU'S EYE
座右の銘
放送内容詳細
新たなビジネスを模索し続けた白砂氏
フォトクリエイトの社長である白砂氏は、サイバーエージェント在籍時、忙しい仕事の合間をぬっては日々仲間たちと新たなビジネスの可能性を模索していた。 そこでアメリカ出張帰りの友人から聞いたインターネットでの写真販売のビジネスモデルをヒントにフォトクリエイトを立ち上げた。
粒ぞろいのプロカメラマン
フォトクリエイトのビジネスを支えるのが、全国各地にいるプロカメラマンたちだ。その数、なんと約1260人。 プロカメラマンには、それぞれ得意分野がある。例えば、サッカーやマラソンなどのスポーツ写真が得意な人、バレエやダンスなどの文化系イベントが得意な人、スクールなどのスナップ写真が得意な人など。それらの得意とする分野ごとにカメラマンを独自の判断基準を設けて、適材適所に振り分けている。子どものサッカー大会でも彼らが撮影すると、プロのサッカー選手顔負けの力のある写真になる。幼稚園の撮影では運動会や入学・卒業式などのイベントだけでなく、親が普段見ることのできない日常のスナップも撮影。カメラマンは子どもの笑顔を引き出すために、名前を覚えたり、面白い顔でおどけてみせたりと、撮るだけではないプロの技も持ち合わせているのだ。 そんなフォトクリエイトの「プロの技」はカメラマンだけではない。本社にあるラボでは写真の印刷から配送までを手がけているが、写真の印刷も単に印刷するだけではない。色補正や明るさ補正など、写真がより見やすくなるように精密な仕上げを行なう職人がいる。 そんな、スペシャリストたちの技によって、“大切な一枚”が出来上がるのだ。
目指しているのは写真館との共存・共栄!
フォトクリエイトはインターネットで写真を販売する上でのノウハウやシステムを自社のみで使用するだけでなく、町の写真館に提供もしている。特に、地方や離島の学校では、町の写真館にイベントの撮影をお願いしているが、撮影した写真を学校の廊下に張り出す販売スタイルでは、掲載する写真の数にも限界がある。そこで、フォトクリエイトのシステムを利用して、掲載できる枚数を増やせることができるのだ。さらに、撮影した後の「雑務」もフォトクリエイトのシステムを“間借り”することで、その煩雑な作業から開放され、効率よく売上を伸ばすことができる。 「すべての感動をカタチにして すべての人へ」という理念がフォトクリエイトは既存の写真館とのシェア争いではなく、共存・共栄を目指しているのだ。
ゲストプロフィール
白砂 晃
- 1974年、広島県出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、NTT入社。そこでインターネットの世界を知り、興味を深める。その後、サイバーエージェントに転職。子会社CAモバイルも立ち上げに参画するなど、同社の主軸として業績向上に貢献。2002年、フォトクリエイト創業。
企業プロフィール
- フォトクリエイト
- 設立:2002年
- 本社:東京都新宿区西新宿6-16-6 タツミビル2F
- 資本金:1億1400万円
- 従業員数:100名
- 売上高:24億円(2012年6月期)
村上龍の
編集
後記
これほどシンプルで合理的なビジネスモデルも珍しい。 優秀な技術と豊富な経験を持っているにもかかわらず、雑誌の相次ぐ廃刊など受難の時代を生きるカメラマンと、プロに写真を撮ってもらいたいという顧客を、インターネットで仲介する。出会い系でもなく、ゲームサイトでもなく、単なるネット販売でもない。人と人を上手につなぐことで、みなハッピーになるという真の意味のネットワークビジネスである。 起業して苦労したことは一度もない、と白砂さんは言う。苦労しなければ成功はないというのは、嘘だ。考え抜かれた画期的なアイデアと、実行力さえあれば、ITという本来ニュートラルな「ツール」が、かかわる人々に、優しい微笑みを提供してくれる。


















