65歳以上の高齢者の割合が30%を超え、病院のベッド数の不足などから死に場所に困る人が50万人にものぼるという深刻な事態が間もなく訪れるという。この問題の解決に一役買う、ある東京の病院の取り組みが注目されている。患者の自宅で診療する在宅医療を専門に手掛ける「祐ホームクリニック」だ。
現在、42歳の医師・武藤真祐はこれまで医師一人で行うことの多かった在宅医療を高齢者に関わる関係者のネットワーク化と事務作業を極力減らすIT化によって、在宅医療の常識を変えた。武藤の診療所は開設から4年ほどだが現在、患者数は450人を抱える人気クリニックとなっている。そんな武藤が最も大切にしているのが、患者の生活の質をいかに高め、患者と家族が満足な形で自宅で人生の最期を迎えてもらうことだという。
また武藤は東日本大震災の半年後に宮城県石巻にも拠点を設けて、超高齢社会の問題解決にあたっている。
東大医学部卒業後、天皇陛下の侍医として活躍する一方、コンサルティング会社のマッキンゼーで経営を学んだ異色の経歴の男が模索する新しい医療の在り方とは・・・。
社長の金言
まず概念をつくる 次に地道な作業だ
RYU'S EYE
座右の銘
放送内容詳細
日本の超高齢社会を支える〝在宅医療〟とは
今回のゲスト、武藤真祐医師は6歳のときに野口英世展を見て医師になることを決意。 東大医学部卒業後、天皇の侍医として活躍。 しかし医療の現状に満足せず医療の世界を飛びだし、コンサルタント会社・マッキンゼーで問題解決のノウハウを学んだ。独立後、つくり上げたのが患者の自宅で病気を診る在宅医療のクリニックだ。 一人で在宅医療に取り組む医師が多い中、武藤は30人もの専門医を揃え24時間365日対応、設立4年で450人もの患者を抱える人気クリニックに育て上げた。
武藤が最も大切にする看取りの現場を取材
今9割近くの人が病院で死を迎えるが、高齢者が増え続ける今後は病院で死を迎えることが難しくなる。 特に2030年には約50万人が死に場所を失うといわれている。人生最期をどこで迎えるかは大きな問題だ。 武藤は自宅で死を希望している人は実に9割近くに上るものの、逆に9割近くが病院で亡くなっていく現状を問題視する。 武藤が最も大切にしているのが、患者の生活の質をいかに高め、患者と家族が満足な形で〝自宅で人生の最期〟を迎えてもらうことだという。
被災地から始まる新しい医療システム
武藤は東日本大震災の半年後に宮城県石巻市に分院を立ち上げ、仮設住宅や孤立世帯への在宅医療に取り組んでいる。被災地は若者が流出し高齢者ばかりが取り残され、さらに高齢化が進む未来の日本を先取りした状況になっている。 そんな中、医師以外に高齢者の家を訪れるヘルパーと情報を共有出来るよう、最新のITシステムをつくり出したり、数十社もの民間企業も巻き込んで、ボランティアではなく民間で高齢者を支えるビジネスモデルを構築しようとしている。 型破りの医者、武藤の取り組みが日本の高齢社会を救う!
ゲストプロフィール
武藤 真祐
- 祐ホームクリニック 理事長・医師
- 1971年埼玉生まれ
- 1996年年東大医学部卒 循環器内科の専門医として活躍
- 2006年マッキンゼーで経営コンサルタントとしてキャリアを積む
- 2010年文京区で在宅医療中心の祐ホームクリニックを設立
- 2011年震災後の宮城・石巻に分院を設立
村上龍の
編集
後記
国連などの定義によると、今の日本は「高齢化社会」ではない。「超高齢社 会」である。65歳以上が全人口に占める割合はすでに23%超で、2030年には30%に達するという。そんな中、かってどこにでもあった「世間」という暖かな共同体が全国的に消滅しつつある。わたしたちは「世間」に代わるシステムを創出し、構築しなければいけないが、今のところ、政治、行政にはそんな動きはない。武藤先生は、看護師や薬剤師などのコメディカル、介護、各種NPO、それに企業と連携し、生活支援を含む在宅医療の先端的モデルを実践し、進化させようとしている。それは、単に高齢者の孤立を防ぐため、だけではない。日本固有の、暖かで、優しい「死生観」を守るという、貴重な、文化的事業でもある。


















