RYU'S EYE
座右の銘
放送内容詳細
肌着の王者グンゼ・・・その正体は?危機感で挑み続けたサバイバル戦略
グンゼといえば肌着の代名詞。男性用肌着ではシェア16%と、トップを守り続けている。だが売り上げ1300億円の内訳を見てみると、肌着類は全体の約半分。残りは、肌着とは一見何の関係もないビジネスで稼いでいるのだ。その一つがフィルム事業。食品やペットボトルなどの包装用のほか、タッチパネル用のフィルムを製造している。また、体内で溶ける医療用の糸や、商業施設の運営も。その理由とは・・・? 1896年、地域産業の振興を目的に、「郡是製絲」という生糸メーカーとして創業したグンゼ。だが1900年代初めに化学繊維のレーヨンが爆発的に普及すると、生糸は壊滅的な打撃を受ける。ここから生き残りをかけた新規事業の開拓が始まった。その結果、生糸メーカー・グンゼはやがて肌着メーカーとなり、ストッキングの包装フィルムからタッチパネルのフィルム製造へ・・・。社長の児玉和は語る。「現状への安住は、後退を意味する」。
超オモシロ企業の実態が明らかに!・・・「人は財なり」
グンゼはちょっと変わった会社・・・。月曜から金曜日まで、始業の前には毎朝違う歌をうたう。また、社内を歩いていると、至るところに標語が。例えば「三つの躾(しつけ)」。そこには「あいさつをする」「はきものをそろえる」「そうじをする」。工場を訪れると、行きも帰りも社員たちが立ち上がって見送る、などなど・・・。こうした古き良き社風の背景には、創業者、波多野鶴吉の思いがある。児玉は言う。「人は“材料”ではなく“財産”」。社員を大切にしてきた結果、今や親子3代がグンゼ、という一家まで現れた。
“老舗肌着メーカー”が挑む、未来の医療
繊維で培った技術が、医療の分野で新たな可能性を生み出している。体内で溶ける糸から作る「縫合補強材」という医療品によって、アメリカの大手医療機器と提携を果たしたのだ。さらに、この溶ける糸を使って再生血管も開発。すでにアメリカのイェール大学では、4歳の女の子が命を救われている。グンゼの技術が、少女の未来を拓いた。
ゲストプロフィール
児玉 和
- 1948年鹿児島県生まれ
- 1972年大阪府立大学経済学部卒業、グンゼ入社
- 1989年アメリカELTECH出向
- 2006年取締役就任・経営戦略部長就任・人財開発部長就任
- 2012年社長 就任
企業プロフィール
- 創 業:1896年
- 本 社:大阪市北区
- 従業員:7949名(連結/2013年9月時点)
- 売上高:1323億円(連結/2013年度)
村上龍の
編集
後記
バブル期、「多角化」の概念が歪んだ。儲かりそうな他分野に手を出すという、卑近な意味合いが染みついた。だが、真の多角化は、本業で培われた知識と技術と人材による新しい挑戦の、「結果」として起こる。製糸業として誕生したグンゼは、戦前のレーヨンの普及、戦後の繊維業界の衰退など、危機に直面するたびに、本業を「深掘り」することで新規事業を開拓し、見事に生き残った。そして、その危機管理の源泉は、創業以来の「人道主義」である。「女工哀史」に象徴される製糸業において、創業者は女工ではなく工女と呼び、学校まで作った。極めてユニークで、かつ普遍的、こんな企業が他にあるだろうか。


















