RYU'S EYE
座右の銘
放送内容詳細
ご当地ハンバーガーチェーンの“真逆経営“
ラッキーピエロの商品や店舗の戦略は、ともすると非効率にも見える。まず、メニューの豊富さが半端ではない。甘辛く味付けした鶏の空揚げが具材の名物メニュー「チャイニーズチキンバーガー」をはじめ、ハンバーガー類だけで15種類以上。ハンバーガー店なのにカレーやオムライスなどもあり、メニュー数は100種類を超える。 地元・北海道産の食材にこだわり、原価率は業界平均よりかなり高い。店舗も1店1店テーマが設定されていて、内装が全て異なる。王社長は「函館から出る気はない」と語り、東京進出など規模拡大に走るつもりはないという。 規模の追求と標準化で低コストの効率的経営を進めてきた大手の真逆を行く、ラッキーピエロの経営戦略とは? 人気の秘密と、その裏にある王社長の狙いを徹底解剖する。
“えこひいき戦略”で常連客をがっちりゲット!
ラッキーピエロは、接客方針も独特だ。王社長いわく「常連客を“えこひいき”する」のだ。来店回数が増えると4段階で利用金額の還元率が高まるポイント制を導入。最高ランクの常連客は「スーパースター」と呼ばれ、来店すると大歓待を受けるなど特別なサービスもある。えこひいきされた客は自然と店に愛着がわき、熱狂的なファンが増えていく。 王社長は「会社のエネルギーは本来、一番買ってくれる客に注ぐべき」と考える。多くの客に1つの商品を買ってもらうのではなく、1人の客に多くの商品を長く買い続けてもらうことを重視しているのだ。さらに、常連客を「身内」と位置付け、彼らを巻き込んで店に新たな価値を生んでもらう仕掛けまで用意している。
客が客を呼ぶ“口コミ作戦”
函館の小さなハンバーガーショップだったラッキーピエロが人気店になったきっかけは、実は口コミだった。オートバイ愛好家が宿泊する宿に置かれた、旅行中の体験を書き込むノートから評判が広がったのだ。バイクに乗った客が大挙して訪れるようになり、やがて人気は地域全体に浸透していった。 口コミの大切さを知る王は、客を驚かせる仕掛けを次々と打ち出す。誰かに伝えたくなる体験をしてもらい、口コミを促そうというのだ。客が客を呼ぶ“口コミ作戦”とは…
ゲストプロフィール
王 一郎
- 1942年兵庫県神戸市生まれ
- 1961年高校卒業後、千葉県で親戚が経営する会社に入社
- 1964年独立し、千葉県内で中華料理店を開店
- 1969年函館市に移り、パブや洋食レストランなどを経営
- 1987年函館市内にラッキーピエロ1号店をオープン
企業プロフィール
- 本社:北海道函館市
- 店舗数:16店舗
- 従業員数:300人
村上龍の
編集
後記
先進国では、国の求心力が失われる傾向にある。なので必然的に「ローカル」と「グローバル」が、サバイバルのキーワードとなる。ラッキーピエロは、前者の代表で、商圏を函館に絞り、地元の人々に愛されることで、画期的な成功を収めている。終戦後の「胃袋で」食べる時代から、「舌で」「頭で」、「心で」食べる時代へと変化していると王さんは言う。正しい。 しかし、チャイニーズチキンバーガーは、私の胃、舌、頭、心、すべてで、おいしいと感じた。そして、そのおいしさは函館でしか味わえない。中央への、根拠のない憧れから脱皮する地方の企業が増えている。ラッキーピエロは、その象徴だ。


















