カンブリア宮殿

村上龍 × 経済人

10001054

テレビ東京系にて放送中

20141030日放送

もうひとつの農協を作れ!
"ヤミ米屋"と呼ばれた男が仕掛ける農業維新!!

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大潟村あきたこまち生産者協会 社長
涌井 徹(わくい とおる)

TPPが締結すれば大打撃を受けると予想されているニッポンの農業。政府関係者を始め、国内の農家は、日々、その対応に頭を悩ませている。そんなニッポンの農業界に、TPP締結を見据えた戦力を打ち出し注目を集める男がいる。 東北・秋田に本社を置く大潟村あきたこまち生産者協会の社長・涌井徹だ。かつて琵琶湖に次ぐ国内2番目の広さを誇った八郎潟、その八郎潟を1964年に干拓して作られたのが湧井のいる大潟村だ。 「国内の食料不足を解消する」「日本の農業モデルを生み出す」大潟村は、まさにコメを作るために作られた町だった。 涌井も大きな夢を抱き、21歳のとき、大潟村に入植した。 しかし、涌井が入植した直後に、国は「減反政策」を打ち出す。一切の財産を処分し入植した涌井の人生は、直後から「米を作るな」という圧力にさらされることになったのだ。そこから40年にわたって、国や農協と戦い「農家の自主自立」を目指してきた涌井。行政や農協組織と正面から戦ってきた涌井の描く、未来のニッポンの農業のあるべき姿に迫る。

社長の金言

逆境の時こそ
夢とチャンスがある

RYU'S EYE

座右の銘

放送内容詳細

「米を作る自由」「米を売る自由」目指して“壮絶40年戦争”

静岡・浜松市に地元人気No.1を誇る、鰻屋さんがある。店の名前は「かんたろう」。“うなぎ”のうまさも人気の秘密だが、「かんたろう」の人気を支える主役は、もうひとつある。それこそ店主が選び抜いた蒲焼との相性が抜群のコメ「あきたこまち」だ。そのコメを販売している企業こそ、涌井が経営する「大潟村あきたこまち生産者協会」。取扱量は、年1万トン。その「あきたこまち」を個人会員7万人・法人会員7000社に届ける巨大組織だ。地元では「もう一つの農協」とも呼ばれている。いまや日本最大級の産地直送の米販売会社となった、その「あきたこまち生産者協会」を立ち上げた男こそ、涌井徹だ。しかし、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。「減反の強制」「青刈り」「農協によるコメの買い取り許否」など様々な圧力と戦ってきた大潟村の農家。涌井の人生は、まさに、強引な国の「減反政策」と戦ってきた歴史でもある。行政に抗いながら「米を作る自由」「米を売る自由」を目指してきた大潟村の軌跡を振り返りながら、創意と工夫で新しい時代を切り開いた涌井の経営哲学、その本質に迫る!

戦う農家 涌井の経営戦略!目指すは“儲かる農家”

契約農家から農協価格より60キロ当たり2000円ほど高く米を買い上げ、自社工場で加工し、独自の販売ルートで販売している大潟村あきたこまち生産者協会。コメの販売が完全自由化となった今も売り上げを順調に伸ばしているという。行政との戦いの末、産地直送を始めた涌井は、インターネットが普及する前から個人直販にこだわり、コメを売ってきた。涌井は、ただコメを安く売ってきたのではない。コメに付加価値をつける商品開発にも並々ならぬ情熱を燃やしている。 また、安全・安心にも、こだわっている。肥料は有機の米ぬか肥料だけを使い、除草剤の使用は年1回しか使わない。 どうすれば日本の農業全体が“儲かる農業”になるのか?涌井が描く、未来のコメ農家のあり方と、それを実現させる緻密な戦略を取材した!

日本農業の未来のためコメの消費拡大を狙う!新ビジネス

年々減少が進む国内の米の消費量。その現実に立ち向かうべく、涌井は新たな事業にも挑戦している。それが小麦食品を食べてもコメの消費量が増えていくという、奇想天外な新商品の開発だ。数年後には売り上げ1000億円という新市場を生み出すとも予想される涌井の新ビジネス。その知られざる秘密に密着した!

ゲストプロフィール

涌井 徹

  • 大潟村あきたこまち生産者協会 社長 涌井 徹(わくい とおる)
  • 1948年新潟県生まれ
  • 1970年21歳の時 父母を連れ大潟村に入植
  • 1971年減反政策開始
  • 1987年大潟村あきたこまち生産者協会を設立
  • 1995年食料法制定
  • 2013年東日本コメ産業生産者連合会を設立

企業プロフィール

  • 所在地:秋田県南秋田郡大潟村字西4-88
  • 創業:昭和62年10月
  • 従業員数:160名
  • 売上高:45億円(平成25年9月期)
  • (一般会員約5万人・法人会員7000社)

村上龍の
編集
後記

大潟村の農家が挑んだ「権力との闘い」は、他に類を見ないものだった。闘いを支えたのは、イデオロギーではなく、「生き延びる」という意思だった。青刈り、これほど残酷な仕打ちがあるだろうか。涌井さんたちの怒りは、団結を生み、アイデアあふれる戦略につながり、やがてそれは、合理的で先端的な「農業 経営」に結実する。「食管法」は、象徴的だ。国民が飢えている時代には有効だったが、米余りの状況では農家を縛る悪法となった。今後、再び食糧不足が起こったら、どうなるのだろうか。備えは充分なのだろうか。わたしたちは、涌井さんの米への思い、愛情を、真摯に共有すべきではないだろうか。

村上龍

読んで分かる「カンブリア宮殿」コラム

JMM Japan Mail Media 編集長 村上龍

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