放送内容詳細
売り上げの8割が自販機!驚きの自販機特化戦略
実は売上げの8割以上が自販機による収入だというダイドードリンコ。コロナ禍でも、他社が置かない品揃えで逆境を凌いできた。特に話題となったのが「紙おむつ」が買える自動販売機。サービスエリアや複合施設の授乳室など全国200箇所で展開。1枚ずつのバラ売りなので、急に必要となった時に助かると子育て世代に重宝されている。他にもマスク、除菌剤、ストッキングなど、痒い所に手が届く商品を缶飲料と共に販売。また「無料レンタル傘」の自販機も話題に。さらに、おしゃべり機能付き自販機を進化させ、お悩み解決に一役買っている代物もあるという。例えば、特殊詐欺被害が増加している富山県では警察からの依頼で、方言で購入者に騙されないよう注意を喚起する自販機を設置。全国27万台の自販機を配するダイドーでは、自販機の魅力を子供たちに知ってもらいたいと「ペーパークラフト自販機」を小学校などへ寄付している。硬貨を入れたら紙で出来た缶飲料が出てくる仕組み。自販機の構造や買い物を学べる「学習ツール」として好評で、毎年、限定2000個がすぐになくなるという。「自販機は店」と社員は口を揃える。「ただ物を売るのではなく、自販機を通してお客に寄り添う」この精神をモットーにダイドードリンコは、他社とは一線を画す独自路線を走り続けているのだ。
若手3代目社長の企業風土改革
ダイドーは1956年、現社長の祖父・高松富雄が奈良県で創業した大同薬品という薬箱を家庭に置く「置き薬業」の会社が始まり。その後、栄養ドリンク剤の製造を皮切りに飲料業界へ参入。1975年、飲料販売事業を分社化しダイドー株式会社を設立すると、UCCやポッカと並ぶ缶飲料の御三家と呼ばれるまでに成長を遂げる。しかし90年代に入ると大手ビールメーカーが飲料分野に進出。飲料業界の競争は激化した。そんな中、創業家3代目・高松富也はのんびり屋の性格で、京都大学を留年して卒業。その後、三洋電機へいったん就職するも、祖父の他界をきっかけにダイドーへ入社する事に。富也が見た社内の第一印象は「みんな真面目でガチガチだな…」。そこで2014年の社長就任を機に、新たなことへ向き合える仕組みを作った。それが「チャレンジアイデア賞」という制度。今までの枠に囚われない企画を積極的に募集。年に1回、優秀企画の表彰式を行っているという。これにより「自分のアイデアでも認められる」という意識を社員に植え付けることに成功。「レンタル傘」や「ペーパークラフト自販機」など全てここから生み出された。富也は他にも、販機の売り上げがリアルタイムで遠隔集計されるPOSシステムの導入や、社員の副業解禁など、様々な改革を打ち出し、新たなダイドー像を作り上げている。
ゲストプロフィール
高松 富也
- 1976年奈良県生まれ
- 2001年京都大学経済学部卒業後、三洋電機入社
- 2004年ダイドードリンコ入社
- 2014年ダイドードリンコ 代表取締役社長 就任
- 2017年ダイドーグループHD 代表取締役社長 就任
企業プロフィール
- 住 所:大阪市北区中之島2-2-7
- 創 業:1956年
- 売上高:1107億円
- 従業員:780名
村上龍の
編集
後記
自販機は大切な店舗であり、現場の汗が、生命線らしい。自販機のオペレーションのことだ。夏は汗まみれに、冬は手がかじかむ。ルート担当者のトラックには清掃用具が積んであり、自販機だけではなく周囲も掃除する。グンゼと提携したストッキング、大王製紙と組んだベビー用オムツ、便利だと評判だった。最近、おしゃれって何なんだという論議になった。自販機は確かにおしゃれではない。おしゃれは大切だ。だが便利な方がいい場合がある。世の中はそっちのほうが圧倒的に多い。