放送内容詳細
逆境に負けない!味とパッケージで大手を凌駕する中小メーカー
千葉県内で人気のジェラート店やインド料理店…そこで使われている牛乳の会社が、今年で創業80年を迎えた地域に根付く中小メーカー「古谷乳業」。牛乳づくりにおいて大手他社が機能性を重視する中、「おいしさ」をとことん追求している。『房の恵み』という牛乳は、タンパク質が変性しやすい高温殺菌ではなく、搾りたての牛乳、いわゆる「生乳」に近い味が保たれる低温殺菌を採用。この製法は物流コストも高いが、「今日のおいしさ、明日の健康」という理念のもと、味へのこだわりを貫いている。「生乳のおいしさを活かし、特色ある商品を作る」戦略を打ち出し、2023年10月には千葉のファミリーマート限定でミルクコーヒーの販売を開始した。その名も『ミルクの束縛』。一見ごく普通のミルクコーヒーだが、従来の大手メーカーが発売していたミルクコーヒーとは異なり、脱脂粉乳や香料は使わず、搾りたての「生乳」をたっぷりと75%も使用。残りの材料は砂糖とコーヒーのみというシンプルな配合で、生乳のコクが感じられる味わいを生み出した。じわじわと人気に火がつき、全国展開へ。ミルクコーヒーの販売は累計340万本を突破、爆発的なヒット商品に。そしてもう一つ、「攻めたパッケージ」戦略で話題となっているのが2024年9月から発売している『物語のあるヨーグルト』シリーズだ。従来の機能性や栄養性を訴求するヨーグルトとの違いを出すべく、パッケージを絵本のイメージでデザイン。外蓋を開けると絵本のストーリーが現れ、製造元などが記されている裏面には「著者:古谷乳業」「発酵者:乳酸菌」と遊び心いっぱいの記載が加えられた。絵本の世界観にこだわったパッケージが注目を集め、高齢者中心だった顧客層が女性や子どもにまで拡大。発売10カ月で累計450万本の大ヒットとなった。
ワンマンから共に作る会社に!3代目社長の奮闘記…倒産寸前から大ヒットへ
古谷乳業は終戦直後の1945年、現社長の祖父・古谷良作が創業。牛の乳の量り売りからスタートした。高度経済成長に伴い牛乳需要が増加すると、学校給食や宅配などで販路を拡大。初代、そして2代目社長となった父・健一のカリスマ性により、地元千葉での地位を確立していく。しかし2014年、2代目が急逝。現社長・古谷裕彦が44歳で社長に就任した時には過去最大6億円の赤字が発覚。高品質な商品づくりを追求するあまり、利益を確保できずに危機的状況に陥っていたのだ。古谷は、本社の売却などで資産を整理し、徹底したコスト管理を断行。また、商品開発を社長主導から社員中心の体制へと大きく転換。社員のアイデアを生かした商品づくりが始まり、生乳をふんだんに使った『ミルクの束縛』が大ヒット。業績は回復し、過去最高益を更新した。
酪農発祥の地・千葉の乳業メーカーとして…日本の酪農を支えたい!
年の物価やエネルギー高騰により、離農が相次ぐ酪農業界。牛乳離れを食い止め酪農家を支えたいと、古谷乳業は生乳の味わいをアピールした商品開発に取り組んでいる。低温殺菌牛乳を使ったベビーカステラをキッチンカーで販売するのもその一環。酪農の衰退を食い止めたいと、牛乳普及の活動を続けている。
ゲストプロフィール
古谷 裕彦
- 1970年千葉県千葉市生まれ
- 1993年明治大学商学部卒業、古谷乳業に入社
- 1995年他社の乳業メーカーへ出向後、古谷乳業に戻る
- 2006年取締役に就任、企画・営業を担当
- 2014年代表取締役社長に就任
企業プロフィール
- 本社:千葉県千葉市中央区中央3-10-6北野京葉ビル4階
- 創業:1945年
- 従業員:163名
- 資本金:1億円
- 売上高:157億円(2024年度)
村上龍の
編集
後記
「ミルクの束縛」は絶妙なネーミングだ。誰が束縛するのだろうと思ってしまうが、ミルクの味わいがその美味しさで人を虜にするのだ。たっぷりの生乳、それにコーヒーと砂糖のみを使用した自然な味わい。パッケージには「生乳、牛乳好き、珈琲、ミルク愛、甘い誘惑、砂糖、以上」と印刷されている。「以上」という文字の大きさが、他の言葉と同じ大きさだ。「物語のあるヨーグルト」も、そのままキャッチコピーになっている。外装のイラストが興味を引く。「古谷乳業」というメーカー名は非常に小さい。だが、見る人の印象に残る。


















