社長の金言
会社より 客をとる
放送内容詳細
グルメタワーから通勤用フェリーまで!「街力」を上げる戦略の裏側
野村不動産はマンションだけじゃない。2年前に開業したグルメタワー「ジェムズ立川」は、地元の美味を提供する店など10フロアに10店が入居。社員自ら知られざる地元の名店を発掘し、誘致する戦略でいまや東名阪に22棟を展開している。近年、このように事業領域を拡大する野村が注力するのが「まちづくり事業」。マンションを軸に商業施設や学校を誘致したり、区画を整理したりなど、街のニーズに合わせたものをつくり「街力」をアップさせるのが狙いだ。東京・亀戸、横浜、さいたまなど首都圏に7カ所を運営しているが、その中枢にいるのは「エリアデザイナー」と呼ばれる野村の社員たち。彼らはマンションに併設された「まちのリビング」といった交流施設の運営を通じて住民と地域の人をつなぐ役割を担っている。家族連れや高齢者など、住民の年代は様々だが、コミュニティを求めて入居する人も多いという。そんな野村のまちづくり戦略は、本社移転した芝浦でも。東京都と組み、街のニーズに合わせてつくったというのが通勤用フェリー。都心ベイエリアに新たな人の流れを生むのが狙いだ。
細部にこだわりぬく商品づくり 原点は人気マンション「プラウド」
松尾は1988年に野村不動産へ入社。ほどなく住宅開発の部署に配属された。当時はバブル崩壊直後で住宅の売れ行きが不透明な時代。そこで全社を上げ売り出したのが「オーダーメイドマンション」だった。通常、集合住宅は水道の配管の都合で水回りの位置を変えられないが、「オーダーメイド」ならば風呂・キッチン等を戸建てのように客が自由に決められる。工事の手間がかかり工期も長引くが、客のニーズに細やかに寄り添ったことでこれがヒット。軌道に乗ったマンション等の住宅商品を2002年には新ブランド「プラウド」に統一した。住宅事業で培った細部にこだわる姿勢を、松尾は建築家の名言を借り「神は細部に宿る」と表現。新規事業にも活かしている。たとえば、ハイグレードなオフィスに入居したいという中小企業のニーズを汲み、2008年から中型オフィスビル「PMO」を展開。カードキーで防犯性を高めた玄関、眺望の良いガラス張りのフロアなどハード面に加え、入居企業の従業員なら誰でも受けられる研修や優待サービスなどソフト面を充実させ、福利厚生を肩代わりしているのだ。不動産もサービスも、細部にこだわってこそ客に評価されると話す松尾。マンション以外の事業にも通じる野村不動産の“DNA”を紐解いていく。
ゲストプロフィール
松尾 大作
- 1964年鹿児島県生まれ
- 1988年同志社大学経済学部 卒業・野村不動産 入社
- 2005年大阪支店 事業開発部長 就任
- 2018年住宅部門長 就任
- 2021年社長 就任(同年HD副社長に就任)
企業プロフィール
- 本社:東京都港区芝浦1-1-1
- 資本金:20億円(単体)
- 設立:1957年4月15日
- 従業員数:2180人(単体)9041人(連結)
住居に悩んだことのない人はいないだろう。住まい選びとは、自分が譲れるものと譲れないものとを割り出していくことであり、それは自分自身を紐解いていく行為でもある。
不動産は予測できない。松尾さんはそう言う。確かに、東京オリンピック後に下がると言われていた不動産価格は上がり続け、首都圏の平均マンション価格は五年連続で過去最高を更新した。そんな魔物のようなものと相対していてよく平静を保てるなと、その穏やかさに驚かずにはいられなかった。
しかし収録中ずっと感じていたのは、彼の顧客に対する、不動産に対する、そして街に対する責任感だった。一人一人の中には、魔物が住んでいる。住まい探しは、魔物と魔物の戦いなのだ。しかしその間にデベロッパーの志が介入することで、私たちは少しだけ安心して、戦いに挑むことができるのかもしれない。
魔物を睨む温かな目
金原ひとみ


















