日経スペシャル ガイアの夜明け

毎週金曜日 10時 ~1054
テレビ東京系にて放送中

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2012320 放送 第509

逆襲者たち~小さな企業の大きな挑戦~

超円高、台頭する新興国、そして、動乱し続ける世界経済...。企業の大小を問わず、自らの存続をかけた生き残りを迫られる。厳しい状況の中、自ら磨いてきた「技術」や「発想」を活用して市場になかった、「新しい商品」を開発。日本へ、そして世界の消費者に向けて、打って出ようとしている企業たちがいる。それは、これまで大企業の下請けとして、言われるままに部品などを納め、有無を言わさず価格を決められてきた、中小零細企業たちだ。これまで、自らのブランドを冠した「商品」は作った経験はなかった。そんな彼らが、自らの商品を作り売ろうと立ち上がる、まさに下請けからの逆襲だった...。「進化していく」中小企業たちの姿から、日本企業が生き残るためには、変わり続けなくてはならないことを伝えていく。

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放送内容詳細

愛知の機械部品メーカー "下請け"だけではダメなんだ...

愛知ドビーは、船舶用の部品や建機部品を製造する、50年の歴史ある中小企業。かつては、繊維機械の「ドビー機械」を製造していて、鋳物と機械加工の技術に定評がある。だが、2次下請けという立場で、これまで激しい需要の変動にさらされ、社員は全盛の60人から3分の1に減少。典型的な、「下請け中小企業」だ。このままでは、会社の存続が危ぶまれていた...。
この愛知ドビーを救おうと、立ちあがったのは先代の息子たちだ。土方邦裕さん(37)は、長男で、会社員時代は豊田通商で為替ディーラーをしていた。工場の経験はなく、全くの門外漢だ。そして、2008年に社長になると、トヨタ自動車で原価の企画を担当していた弟の土方智晴専務(34)を呼び寄せた。2人の兄弟で、会社再建に乗り出したのは、今から3年前のことだった。だが、製造業の下請けに将来に先はない。自社で製造できる、消費者向けの製品を作ろうと、思案...。弟の智晴専務の結婚式の引き出物を、偶然みたとき、ヒントが湧いた。それは、フランス製の「鋳物ホーロー鍋」。鋳造品の機械加工部品を手掛けているだけに、「これなら作れる!」と、2人の挑戦が始まった。

自分たちの技術で...世界に負けない鍋を作れ!

愛知ドビーは、この外国勢が人気を独占している「鋳物ホーロー鍋」の市場に、切り込もうと考えた。見ようみまねで、製法を研究し続けたのだ。鋳物の加工技術は活かせるものの、フタがガタガタするなど密閉性がなかなか出ない。「砂型に鉄を流し込んで作るものなので、精度が低い」「ホーローをなかなか吹き付けられない」など、苦労の連続。工場内で職人たちを投入。本来の仕事をしながら、別のラインを作り製造を始めること、2年半。2010年2月。1000個以上の失敗作を経てようやく、愛知ドビー初のホーロー鍋が完成した。

"水を使わない"驚きの料理を実現!

完成した鋳物ホーロー鍋の名は「バーミキュラ」。素材の鋳鉄からとった、炭素記号だ。
この、バーミキュラは「密閉性」に優れているため、他社製品にはできない「無水料理」ができる。無水料理とは、野菜など素材、その物から出てくる水分を最大限活用、調味料がなくても素材本来の味が凝縮する料理の方法だ。例えば、カレー。材料を切って放り込むだけ。野菜や肉の煮汁だけで、カレーになる。素材のうまみを引き出せるため、料理をより美味しくなる。煮物や、蒸し系のものなど、何でも対応できる。料理研究家や、レストランシェフなどからも高い評価を得た。売り方は、ネット販売に特化したため現在、口コミで拡大中。職人が手作りでやっているため、生産量に限りもある。商品が手に届くまで、「15カ月待ち」という。
日本で隠れたヒット商品になった「バーミキュラ」。土方兄弟は次の目標に、海外展開を据えている。経済成長とともに、家での食文化も変化してきた中国。しかし、無水料理のできる「ホーロー鍋」に興味を示してくれるのか?思わぬ壁が立ちはだかっていた。

進化系町工場...開発力で生き残る

栃木県・岩舟町にある「グローバルエナジー」は従業員7人の町工場。10年ほど前までは車のバンパーや、風呂桶などを製作する下請けをしていたが、現在は全く違うことを事業にしている。風力発電システムの開発だ。
開発を一手に担うのは会長の鈴木政彦さん(60)。「人に言われた仕事を、言われた通りにするのが嫌い」という。大学の研究者から「風車を作ってほしい」との仕事を受けたことをきっかけに、風力発電の開発にのめり込み下請けの仕事を全て断って開発一本やりの会社へと鞍替えしてしまった。
鈴木さんは「下請けはもちろん、モノづくりで町工場が生き残るのは厳しい。新しいものを生みだす開発力があれば、仕事がなくなることはない。」と語る。
この工場には、設備らしい設備は全くない。「開発は、智恵と腕でやるもの。量産しないなら、設備は不要だ。大企業の方が開発力はあると思いがちだが、発想は個人の力量の勝負」。

しかし、実際の開発が簡単に成功するはずもない。風力発電に関してはズブの素人。試作品を作っては実験することを繰り返し、これまでに作った試作品の風車の羽は4000枚に上ると言う。売り上げゼロという日々が何年も続いた。
そんな鈴木さんの風車に興味を持ち、導入させてほしいとの話がきた。東京から南に290キロの離島・八丈島。観光と漁業の島だが、若者は働く場がないために故郷を離れていき、人口は減少を続けていた。果たして、鈴木さんの風車は、島のために役立てるのだろうか?

今週のピックアップ曲 ― あの場面でかかっていた名曲は何? ―

アーティスト パット・メセニー
曲名 Song For The Boys
アルバム ONE QUIET NIGHT

本編38分44秒。
グローバルエナジーの鈴木政彦さんは10年前、下請けの仕事を辞めて、小型風車の開発に懸ける事を決意する。
このシーンで使用している曲は「Song For The Boys」。
ジャズ・フュージョンバンド「パット・メセニー・グループ」のリーダーであるパット・メセニーのソロアルバム「ONE QUIET NIGHT」に収録されている。

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