2009年5月 6日 12:00 PM

衝撃の島


先月22日に上陸が解禁になった長崎・端島。
通称、軍艦島。
ここを訪れる機会に恵まれた。



遠くから見ると、戦艦「土佐」の形に似ていることから、
いつしかそう呼ばれるようになった。
昭和49年、島の中心産業だった炭鉱の閉山が決まり、
そこで生活していた人々は島を出ざるをえなくなった。


「自分たちのあとに島で生活することになる人はいない」


そう知っていた島民たちは、生活の痕跡を完全に残したまま島を離れた。
それから35年。
島は完全に時を止めていた。
来る日も来る日も、風雨に耐え、雪に耐え、
そして時間にも耐え、建物たちはなんとかその命をつないできた。


これまでにも島の写真や映像は目にしていた。
しかしいざ目の前にしたら、しばし言葉を失ってしまい、
ただ立ち尽くすことしか出来なかった。
そして今度は急に、辺り一帯の静けさがとても気になり始めた。



軍艦島には音が無い。
聞こえるのは海の音、時折過ぎる観光船のアナウンスくらい。
とにかく静寂に包まれている。


しかし、何がここまで見る者を惹き付けるのだろう。
その答えを見つけるために、そして一つでも多く島の記憶を焼き付けたい!
必死で辺りを見回した。
ぼろぼろに朽ちて錆びた建物からは鉄骨が剥き出し、
時間の経過とともに自然に発生した緑は、
生命力を誇示するように建物を突き破り、覆い尽くしている。
その様子は、有機物が無機物をまるごと飲み込んでいるみたいで、
怖いくらいの迫力があるのだ。
自然の力強さが、本来は強固であるはずの鉄筋の行く末と対照的なのが
私たちに何かを示唆しているようで、背筋がぞくっとした。



島をただ観光資源にするだけではなく、
ここに至るまでの歴史、なぜこういう歴史を辿ることになったのかを
理解してほしいと案内役の坂本さんは繰り返していた。
その願いは、島を訪れた後の今、より深く理解出来ている気がする。

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