
先月22日に上陸が解禁になった長崎・端島。
通称、軍艦島。
ここを訪れる機会に恵まれた。
遠くから見ると、戦艦「土佐」の形に似ていることから、
いつしかそう呼ばれるようになった。
昭和49年、島の中心産業だった炭鉱の閉山が決まり、
そこで生活していた人々は島を出ざるをえなくなった。
「自分たちのあとに島で生活することになる人はいない」
そう知っていた島民たちは、生活の痕跡を完全に残したまま島を離れた。
それから35年。
島は完全に時を止めていた。
来る日も来る日も、風雨に耐え、雪に耐え、
そして時間にも耐え、建物たちはなんとかその命をつないできた。
これまでにも島の写真や映像は目にしていた。
しかしいざ目の前にしたら、しばし言葉を失ってしまい、
ただ立ち尽くすことしか出来なかった。
そして今度は急に、辺り一帯の静けさがとても気になり始めた。
軍艦島には音が無い。
聞こえるのは海の音、時折過ぎる観光船のアナウンスくらい。
とにかく静寂に包まれている。
しかし、何がここまで見る者を惹き付けるのだろう。
その答えを見つけるために、そして一つでも多く島の記憶を焼き付けたい!
必死で辺りを見回した。
ぼろぼろに朽ちて錆びた建物からは鉄骨が剥き出し、
時間の経過とともに自然に発生した緑は、
生命力を誇示するように建物を突き破り、覆い尽くしている。
その様子は、有機物が無機物をまるごと飲み込んでいるみたいで、
怖いくらいの迫力があるのだ。
自然の力強さが、本来は強固であるはずの鉄筋の行く末と対照的なのが
私たちに何かを示唆しているようで、背筋がぞくっとした。
島をただ観光資源にするだけではなく、
ここに至るまでの歴史、なぜこういう歴史を辿ることになったのかを
理解してほしいと案内役の坂本さんは繰り返していた。
その願いは、島を訪れた後の今、より深く理解出来ている気がする。











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